2008-11-28

瑞々しい人間臭さ このエントリーを含むはてなブックマーク 

カラン コロン カラン コロン と
山間のこぢんまりとした街にサンダルの乾いた足音がよく響く。

ノン子は36歳で、バツイチで、実家に出戻っていて、家事手伝いと言ってるけど実際殆ど手伝ってなさそうで、恋人はいなくて、友達は少なそうで、他人の大吉おみくじを投げ捨てたり、酔っ払っては深夜に商店街のゴミ箱を蹴り飛ばしながら自転車を走らせたりする、そんなオンナ。
なんか、やる気なくて半ば人生諦めているような、乾いた諦観漂わせてる。

でも年下のオトコからしてみると、思い切りの良いところや、タバコの吸い方とか、ちょっとした笑顔とか、そういった仕草のディテールが妙に魅力的に思えたりするんです。そういうの、気になり出したらもう好きになっちゃってたりするんですよ。

ノン子だって別に諦めているわけではなくて、現状を打開しようともがいていて、物語の終盤、ついにノン子はサンダルを脱いで、再び歩き出す。

この映画には、馬鹿で愚かしくて、でもそれだからこそ愛着の湧く、人間が描かれている。
そして、都心から1時間程度で行ける場所とは思えない程の、豊かな自然、美しい風景、少しノスタルジックな街並みが画面に爽やかな空気を運び、とても透明感のある心地よい印象を残してくれる映画体験でした。

カラン コロン カラン コロン
今度あの街に行くとノン子の足音が聞こえてくるような気がする。

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