2008-09-24

I just call to say I love you このエントリーを含むはてなブックマーク 

これ凄い!
いろいろな意味で完成度の高い作品だ。
広義にはSFの範疇で語られる物語ということもあって、映画の作りにも理系的な緻密さとテクニカルな雰囲気が覆う。ホワイトバランスをいじったカラーリングやカメラワークも効果的だし、音響も視覚を突然奪われた登場人物の感覚を実体験しているかのようなヴァーチャル感を与える。
でも、最も重要なポイントは技術偏重になってはいないこと。
高度な技術が支えていることを感じさせながらもメカニカルな部分は内側に納め、映画は人間の物語として綴られる。このテクニックと感情表現の両立は見事。
登場人物の心理状態は行動や心象風景として過不足なく描写され、マズローの自己実現理論をなぞるように展開するストーリーはさもありなんという感じで真実味が高く、社会科学の教材として観ることもできるほど。
スクリーンで展開する物語はシビアでシリアスでシニカルだ。
スティーヴィー・ワンダーの「I just call to say I love you」の使われ方は、『時計じかけのオレンジ』における、ジーン・ケリーの「Singing in the rain(雨に唄えば)」以来の傑作で思わずニヤリとせずにはいられなかった。

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ぴつ太

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