これは世界最強の自主制作映画だ。撮影前も最中も、上映どこでするとか、なんも考えず、とにかく撮ったのだという。こういうキチガイなところに、共感を覚えてしまう僕。
落下の王国、観てきました。最初にいっておくと、ストーリーは陳腐なので、物語性を求める人が行くとがっかりする。僕は、ビジュアルさえよけえばそれでいい。だから、まるで強烈な写真のオンパレードのこの映画に感動した。
あの色使いは、日本人にはできないと、前の席に座ったカップルが話していた。しかし、僕は、まったくそうは思わない。この狭い日本の中でも、地方によって、色の好みはまったく違う。いくつか気づいたことなのだけど、京阪神地区の人間は、<あおによし>な枕詞が似合う色の使い方ができる。つまりは、だからか、僕も、この色使いが好きだ。
映画の話に戻すと、前作、The Fallに比べ、世界中の世界遺産をロケ地に使うという壮大なスケールであったが、たしかに贅沢なのだけど、頂点の風景とはいえ、オンリーワンの風景には敵わないのだということがよくわかった。The Fallで作り込んだあの自前の世界観の方が、奥深く、謎めいていて、美しい。
でもまあ、僕は、ターセム・シンだとかシルクドソレイユだとか、そういう人間の想像力の限界に挑戦する作品が好きだし、僕自身も、そこで勝負したいと思っている。ライバルは強力だ。がんばらねば。