(2より続く)
メモにかかれた住所を頼りに、バスはプノンペン市内を走り続けた。
程なく辿り着いてみると、ワクチン貯蔵庫は市内の中心部外れに、他の倉庫と紛れてひっそりとたたずんでいた・・・・。
見た目は何の変哲もないただの倉庫だ。
むしろ何の倉庫かよくわからないので怪しい。
ここなんだよね・・・?
クメール語で書かれた小さな看板の横のちょこんとした門をあけてもらうと、そこには大きな冷蔵庫が顔をのぞかせていた。
恐る恐るまわりを見渡すと、そこらへんに転がっている段ボールの箱に「vaccine (ワクチン)」の文字が!!
お!これは期待できる!
倉庫の奥では、ガイドのタンさんが何やらクメール語で交渉している。
タンさんが笑顔でこっちを向いて、こっちへ来いって手招きをしているじゃないか。
え??入っていいの?
ボクは一目散で駆け寄っていった・・・。
交渉の結果、なんと!貯蔵庫の中も見せてくれるという。
開けてもらうと、それはまさに冷凍庫の中。
マイナス16度の氷の世界。
肉や加工食品でも詰まってそうな、でっかい冷凍庫だ。
あ!!
冷凍庫の奥にはにはたくさんのワクチンのアンプルが見える!
しかも!!!
今回のH.U.G.で、来場してくれた人が購入する予定の「polio(ポリオ)」の文字が見える。
あった!!
これがポリオのワクチンだ!
これまでワクチンなんて実物すら見たことなかったのだが、目の前の初めて見るワクチンの実物にひとしおの感激があった。
そして、マイナス16度の寒さのせいで・・・否、極度の興奮のせいで震える手で、ワクチンを取り、目の前にかざした。
「これがボクたちが寄付するワクチンです!!」
気がつけば、H.U.G.当日に流すために撮影しているビデオカメラに向かって、こう絶叫していたのだった・・・・。
ボクたちが買うワクチンは、とりあえずココまで本当に来ている。
JCVに見せてもらったワクチンの写真と一緒だ。
今まで実感のなかった20円という寄付されたお金は、姿形を変え、国境を越え、ここまでは本当に来ているのだ!
ボクはこの目で見たのだ!
難しいといわれていたワクチン貯蔵庫の視察。
ボクはとうとうここまで来た・・・。
これは、(テレビなどのように)あらかじめお膳立ての整ったルートでなく、ましてやアポすら取れてなかった、いや、そのアポを誰に取ればいいのかわからなかった状況だった。
そして、何の後ろ立てもなく自費でやって来たほぼ一般人の立場と変わらないボクだったが、「見たい!」「知りたい!」っていう衝動で現場でどんどん転がっていき、最終的にここまでたどりつくことができたのだ・・・。
つまり、誰でも出来るのだ。
「カワイイは世界を救う」
この言葉にかりたてられて、ボクは遠くカンボジアまでやって来た・・・。
はじめはチャリティの寄付金って、本当にちゃんとしたことに使われているのかっていう単純な好奇心だけだった。
その単純な好奇心は、一個人のボクが、不可能といわれていたことを、ここまで可能にすることができた。
「カワイイ」ということの持っている潜在能力は、「暴力」や「破壊」といったネガティヴなパワーを超えて、もっと大きな可能性を秘めているのではないだろうか・・・・。
当日皆さんからお預かりする大切な20円は、ちゃんとワクチンに変わります!!
自信持って・・・。
このリアルで生々しい映像は、H.U.G.当日、トークと共に流します。
臨場感と共に「募金がワクチンにかわるまで」を一緒に追体験してください!
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ワクチンを追え!1
http://www.webdice.jp/diary/detail/1463/
ワクチンを追え!2
http://www.webdice.jp/diary/detail/1477/