2008-08-31

終わりゆく命と終わらせる命 このエントリーを含むはてなブックマーク 

とにかく映像が美しい。夢と現実を行き来する幻想的な空間。どこか古めかしい感じがするがそこが逆に郷愁を感じる。

ストーリーはというと、すっきりしない。主人公の木室、妻のエミ子、精神を蝕まれていく学生の村上。それぞれが解消しようのない痛みを抱えている。映画の最後でその傷を克服して前向きに進んでいく、というわけではない。痛みと共に生きてきて、抱えながら最後まで生きていくという感じだ。
村上は自身の問題と対峙出来ずに、死という道を選ぶことになったが、、、。
現実とは全くもってそういうものだと思う。全てが丸く収まるハッピーエンドなんて存在しない。

戦争で独りぼっちになり、互いに支えあいながら生きてきた木室とエミ子。生と死のあり様を身近で感じてきた彼らと、この平和な現代で誰かに命を脅かされているわけでもないのだが、内から侵食してくる闇に呑まれてしまう村上。ゆっくりと終わりへと近付いていく命と終わらせる命。
どちらも理解できる。どちらの命の重さも変わりはないと思う。
もうすぐ、戦争を体験した世代がいなくなる。この先、本や映像でしか当時の出来事を知れなくなる。それが怖いと思う。命の重さを考えさせられた映画だ。

キーワード:


コメント(0)


ゆめ

ゲストブロガー

ゆめ

“はじめまして”


月別アーカイブ