フィンランドのアニメーションというと、国の印象からか、どこか優等生的なイメージがしたが、ほとんどがそれを裏切るものばかり。こんなアンダーグラウンドな感性で突っ走っていいのか?と心配したほど。シュールでナンセンスなユーモアに溢れ、一筋縄では行かない毒ッ毛のあるファンタジーが展開していく。意外…と感じながらも、それらのマニアックな作品の世界観にすっかり引き込まれてしまった!面白い!
数ある作品の中で特に印象に残ったのは(引っ越して悪かった事)
新しい家に引っ越して来たカップルの女性の方が、毎日何度もあーでもないこーでもないと部屋の家具のレイアウトを変えているうちに、こだわりすぎが災いして、ついには身体中に家具をくっ付けた怪物に変身し、部屋を徘徊してしまうようになるというストーリー。
どこか可愛らしいクレイアニメーションのルックスではあるが、全体がグレートーンのアニメーションで、このプチホラーな展開にマッチしている。人形の表情や動きも最低限に抑えられ、無機質な印象を敢えて作っているようだ。このトーンで部屋のレイアウトがどんどん変化し、女性が怪物になって行く様が、淡々と、かつリズムカルに展開して行き、飽きさせない。
こだわり過ぎも程々に…。メッセージはそんなとこか。
日常によくある風景を毒のあるユーモアで染めた、コンパクトでユニークな作品だ。
終わり