ーー昨日のツィートからーー
スティーブン・フライ原作の小説映画化「ヒポポタマス」を見ろ見ろと息子がウルサいので夕べ見た。事前に調べた映評だと☆2つ半とか3つとか散々なのだけど、予測に反して面白かった。嫌われる理由はわかる。上流階級のちょ〜スノッブな話で、言葉遣いから悩みの内容までめたくそイヤラシい。
かつては教科書に載るほど高名だった没落アル中詩人が、依頼を受けて元学友のカントリーハウスに行く。学友の息子にヒーリング能力があるとの噂の真偽を確かめるのが任務。ネタバレすると、結局そんな神秘的能力はなく、治癒を信じた依頼人は死に、詩人は再び猛然と詩を書き出す。
屋敷の主は、亡父にあったヒーラーの才能を自分の次男が受け継いだと信じているのだけど、この「ある種の才や財」を子々孫々に引き継ぐのは当然とする視線が上流階級の在り方そのもので、これは一方で、個(この場合は長男)の才を退ける。詩人は「個」としてこれを転倒させる役割。
主人公のアル中詩人は「一族に1人はいる変わり者の叔父さん」の役回りで、ぬるい日常に安住した人々の価値観を引っくり返して去って行く。それにより自分も変わる(中年アル中も変わる事ができる)点に好感。スノッブな悪態てんこもりの脚本がいい。役者はみな巧くセットも素晴しい。