2008-08-08

高橋留美子展と『今夜、列車は走る』他 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 6日は朝食を食べて部屋の掃除をしてから代々木上原経由で銀座松屋の高橋留美子店へ。午前中少し雲行きが怪しかったけれども、お昼には快晴。結局雷雨は夕方でした。

 http://www.matsuya.com/ginza/topics/080811e_takahashi/

 平日の日中とは言え会場は結構な人出。とは言え展示されている原画を一つずつじっくり鑑賞する程度の余裕はありました。

 客層は十代はちょっとだけ。二十代以上の人が中心で三十代四十代が一番多かったんじゃないかな。あくまで印象ですが。

 入ってすぐの所で上映されている、あたる、ラム、乱馬、犬夜叉、かごめが登場するサンライズ制作の、入ってすぐのアニメはまあ、お遊びという感じ。恐らく『いつだってマイ・ダーリン』以来の平野文のラムちゃんの声が聴けるのだけが収穫かな。

 展示は『うる星』→『めぞん』→『らんま』→『犬夜叉』→オリジナルアニメ→新装版『うる星』の単行本末尾に掲載されている他の漫画家さん筆のラムちゃんのイラストという感じ。

 最初の展示は『うる星やつら』。ちょっと保存状態が悪い原画もあったものの、チョイスもよく数も多く、ラムちゃんやサクラ等うる星の色っぽいキャラクターを満喫。或るマニアの人がブログで言っていた通り、初期の高橋留美子特有のワラワラした感じも溜まりません。原作最終回の原画も鉛筆書きの跡も残り、作家の苦労の伺えて感動ものでした。

 会場が代わる際に各々の作品のヒロインがバトンタッチをするイラストが展示されていたんですが、残念ながら現在の高橋さんの絵柄なため、ラムちゃんも響子さんも殆どかごめ。

 次は『めぞん一刻』。めぞんはですね、数もチョイスも今一つでガッカリでしたね。旧版の単行本の表紙とか、ビキニ姿の響子さんとか、観たい絵は全然ないし。八神も映画『完結編』のポスターの隅に書かれているだけだし。一刻館のミニチュアとか管理人室の再現はその埋め合わせだったのかなあ、という感じ。

 その次は『らんま1/2』。イラストは眼にみえて洗練されて観易くて綺麗です。とは言え、ひたすらドタバタしているだけという印象が強く、ギャグも何か作為的で、登場人物もうる星の縮小再生産という感じで、代表作の中では個人的にあまり愛着のない作品なんですよね、『らんま』って。最後のうっちゃんのイラストがキレイだったことくらいかな、収穫は。

 それから『犬夜叉』。最初は『らんま』末期の絵柄そのままで、かごめはうっちゃん似で可愛いんだけど、犬夜叉等主要人物が五頭身前後でチビなのが…。後者は徐々に改善されていく反面、2000年前後になるとキャラクターの顔の線が尖ってきます。一番マイナスなのが女の子が可愛くも色っぽくもないこと…。殺生丸は好きなんですけどね、やはり『うる星』や『めぞん』程入り込めないんですよね。展示の質と量に関しては、あまり印象に残るようなことはなかったです。

 次にオリジナルアニメの上映。メニューは日替わりでらんまと犬夜叉。僕が行った時は犬夜叉で、殺生丸が鉄砕牙に天生牙の能力を与える話の忠実なアニメ化。テレビシリーズと同じサンライズ制作で出来もよかったです。ただし上映時間が25分と結構あるので、時間の余裕をもって行くことをお勧めします。

 最後にいろんな漫画家さんの書くラムちゃん。高橋先生本人の書いたラムちゃんは、何か成長したかごめがコスプレしたみたいで今一。椎名高志が書いたものが一番かな。意外なところでは北条司と原哲夫も書いてました。

 出たらすぐにグッズの販売会場。うる星やめぞんのDVDが安く出ていたら考えたけれど、特に欲しいものもなかったので何も買いませんでした。地下道経由で丸ノ内線の銀座駅へ。

 移動中は正木高志『空とぶブッダ』, ゆっくり堂、2007年と、Joanna Macy, Mutual Causality in Buddhism and General Systems Theory, 1991.を読んでました。前者はごく薄い一般書なので読了。正直に言って内容的には学ぶべきものはなかったような気がします。ややガッカリ。『木を植えましょう』(2002年)はよかったのになあ。後者はすご〜く勉強になりそう。特殊な内容の英文なので消化するのに苦労しそうだけど。

 何とか下高井戸シネマに上映前に辿り着いて『今夜、列車は走る』(原題“Próxima Salida”、監督・脚本:ニコラス・トゥオッツォ、出演:ダリオ・グランディネティ他、2004年、アルゼンチン)を鑑賞。

 http://www.action-inc.co.jp/salida/

 九十年代メネム政権の新自由主義政策の下で、民営化された果てに廃線の憂き目を見て失業した国鉄の中高年の労働者達のその後を描いた作品。

 で、最初に言っておきたいのは、アルゼンチンを舞台にしているとは言え、新自由主義時代の容赦のない厳しさと、状況の激変に翻弄され冷酷な世間に騙される人々の惨めさを、救いのない程リアリスティックに描いているため、僕自身も含め、個人的に現在厳しい境遇にある人間にとっては観ているのが非常に辛い作品だということです。正直、僕もガッツリと落ち込み、その晩ワインを飲み過ぎて二日酔いになってしまいました(汗)。

 自主退職を余儀なくされた労働者達は、再就職先を探すが全くうまく行かず、困窮したあげくに、或る者はスーパーでガードマンになり、或る者はこともあろうにそのスーパーに押し入り客を人質にして立てこもり、或る者はタクシーや運送屋をするが失敗する。一人だけ自主退職を拒否して修理工場に寝泊まりしていた老人は心不全で急死。

 別の一人は、スーパーでのテレビで元同僚による篭城事件の報道を観て居ても立ってもいられなくなり、急遽テレビ局に行き、画面を通じて新自由主義経済政策の下でなす術も無く運命に弄ばれざる得ない一般人が感じる無力感と絶望感を訴える。

 スーパーに篭城していた男は結局、ガードマンになった元同僚とテレビで元同僚の訴えを食い入るように観ている隙に警察の狙撃手によって狙撃されて息絶える。その直後現場の前を、労働組合の指導者だった父を自殺で失った少年が二人の友人と共に、修理工場に放置してあった列車に垂れ幕(正確には忘れたが、廃線に抗議する内容だったと思う)を走らせる。これがラスト。

 最初に書いた通り、何か日常的に漠然と感じている絶望感を明確に分節化して表現されたようで非常に落ち込みました。

 ウォーキングで帰宅し、シャワーを浴びて着替えてから吉祥寺へロカリゼーションの読書会へ。井の頭公園駅で降りて、遠くで聞こえ始めた雷の音に不安を感じながらも、夏の夕方の井の頭公園を歩いて会場へ。

 勉強会では、何もかも僕が対応しなければならず、また前回と違いいろいろとムッとするような意見も出て、対応するのにかなり疲れました。

 まあ一番落ち込んだのは、自分の書いた物を客観視出来ない研究者としての自分の未熟さに、ですが…。

 帰りも蒸し暑い井の頭公園を歩いて井の頭公園駅から各駅停車で。ちょっとだけですが、電車の中で寝てしまいました。

 で、帰ってパソコンに向かいメールの返事等いろいろと細々とした用事を処理をしてからシャワー、パスタとワイン。ストレスが溜まっていたらしく、久しぶりにワインを二本近く空けて翌日は二日酔いでヘロヘロ…。

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知世(Chise)

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知世(Chise)

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