Openingの非常に美しい空撮で異世界へと引き込まれる。
モーテル、幹線道路、農地用水路と思しき人工の川が激しく流れる。
映画の出だしとしてはこの上なく好ましい。
最初よくぞこんなロケ地を見つけてきたなと思ったがもしするとアメリカの典景(てんけい)なのかも。
撮影はマイケル・グレディ(最近ではファクトリーガール等)。
主人公の部屋の内装はセットだろうけどそれにしても外光で照らされる室内を非常に美しく捉えている。
話が進むにつれ転調が起こるこの映画の主役の一人ではないか。
もう一つの主役はあちこちに仕掛けられた音響。最近は当たり前のように映画館内を効果音とか音声が飛び回るけどこの映画はホントに音響が完全に映画の一部になっている。
音を観ろとでも言っているかのよう。
前半の電話や子供の件など非常に丁寧に話が進行する。少々スローだが何かが始まる前兆が匂ってくるので退屈せずに観られる。
主人公のアシュレイ・ジャッドはうらぶれたモーテルでの一人暮らし。ホントは麗しい人なのだけどこれがまた良い感じのうらぶれぶり。
後半、もう一人の主人公マイケル・シャノンとの台詞の応酬は気を抜いていると置いて行かれてしまうので注意が必要だ。
しかし置いて行かれてもそれはそれで二人の突っ走りぶりに唖然と言うか笑いさえてでしまう。
この話は舞台の映画化との事。
監督フリードキンのメッセージが公式サイトにあるので読んでいった方がいいかもしれない。
http://www.bugmovie.jp/
あんなカットこんなシーンが別の意味を持って見えると思う。