Erice Soy Anaさんの日記
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2014
2月
11
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『ダブリンの時計職人』クロスレビュー:究極的には人は存在するだけで既にクリエイティブな存在
映画の冒頭のシーンでは散りゆく枯れ葉に雨が降りしきる。その後も作中の折々に、アイルランド、ダブリンの美しい風景が差し挟まれる。早朝や夕暮れの海の彩り、空の輝き、緑の田園景色、揺らめく夜景の灯り。 その風景の中でそれぞれの悲しみを抱えた三人の登場人物達が出会いすれ違う。職を失ったり、親の愛を見失ったり、大切な家族を亡くすなど、内側に喪失感を抱えながら自己の存在を模索している。 そんな彼ら...
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2013
8月
21
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『美輪明宏ドキュメンタリー ~黒蜥蜴を探して』クロスレビュー:美輪明宏という存在・「個」を突き詰めると「普遍」になる
美輪さんは、美輪明宏という「存在」であり、「波動」であり、「振動」。そして、唯一無二であると同時に、普遍的な存在そのもの。禅問答のようだけれど、ここ20年程見つめてきた美輪さんは、私の中ではそんな印象の人。 三島由紀夫を愛読していたことが切掛けで、私が美輪さんの舞台を観るようになった当時、周りの反応は「え、あの不思議な人の舞台…?」と、もの好きだねといわんばかりの表情をされたものの、何年か前...
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2013
2月
03
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『故郷よ』クロスレビュー:いつの日か「地球よ」と悲しみで振り返る日が来てしまう
ウクライナのプリピャチというチェルノブイリから3キロの隣町を舞台に、チェルノブイリ事故前後の数日間とその10年後の様子が描かれる。普通の人々の日常が事故前後からどのように続き、何も知らないままに人生を切り裂かれて行く様をドラマのかたちで綴られ、これまで観てきた他のチェルノブイリのドキュメンタリーよりも、やりきれない気分になってしまったような気がする。特に先の震災での原発事故を体験した日本人にとって...
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2012
12月
18
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『アルマジロ』クロスレビュー:兵士達のリアリティを思考停止になる前に観てほしい
「戦場」という“場“のリアリティが、画面に溢れている。それは、若い兵士達が体験する「現実」というよりも、変遷する「心の中」のリアリティだったと思う。 (ドキュメンタリーとしてみると、息子達を送り出すデンマークの家族とのやりとりや、荒涼とした美しくさえあるアフガニスタンの風景に、ドラマのような調和感を感じる面もあるが、ただ、それを含み置いても、余りある程の「戦場」のリアリティがそこにはある...
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2012
11月
29
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『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』クロスレビュー:全ての答えは個々の内側にある
冒頭から、新旧の映画監督、そして普段は裏方で製作を支えている撮影監督、編集者、技術者、機材メーカーなど多岐に渡る映画製作に関わる人々が、それぞれの立場からフィルム、デジタルに関する見解を語っている。そこから感じとれるものは、技術的なものへのこだわり…というよりも、映画に携わる熱い思い、さらには発言の端々に各々の生き方や人生感が透けて見えてくる。そんな一人一人の個別インタビューによる「語り」を、フ...
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