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東京都 渋谷区

2018-05-25 18:00


ラジオで"いつもの声"届けることでつながる希望

ラジオで"いつもの声"届けることでつながる希望
映画『ラジオ・コバニ』トーク・イベントより、秀島史香さん(左)と武村貴世子さん(右)

映画『ラジオ・コバニ』は戦闘で瓦礫と化した街でラジオ局を立ち上げ、自らラジオDJも務めた女子大学生ディロバンの軌跡を追ったドキュメンタリー映画『ラジオ・コバニ』の公開を記念し、5月22日(火)アップリンク渋谷ではラジオDJの秀島史香さんと武村貴世子さんをゲストに迎え、トークイベントを開催した。この日は、ディロバンと同じく大学在学時にラジオDJを始め、デビューの同期であり、かねてより親交の深いという秀島史香さんと武村貴世子さんが登壇。ラジオDJから見た本作の感想とともに、人々へ発信を続ける「ラジオの力」について語り合った。

感想を聞かれると秀島さんは「びっくりしたし、ショッキングだった。同じラジオDJとして、まず言葉を届けたという思いから始まるラジオがあるということに衝撃を受けました」とコメント。

映画『ラジオ・コバニ』
映画『ラジオ・コバニ』

震災時にニュース出しをしなければならない状況について触れた武村さんは、「リスナーから、“君の情報は僕たちの命につながっている”という声がよせられたのを思い出しました。そういった大変な状況な時に、どういう言葉で伝えようかと悩みます」と話すと、秀島さんは「そういう時、“言葉が見つからないとはこのことか”と、思い知らされます。ライフラインは大切で、人の命を救うもだから正確な情報が必要ではあるけど、一定期間を過ぎると情報だけではなくなってくるのを感じます。ラジオの本来のパワーってそれだけではないんですよね」とラジオの力について解説。

映画『ラジオ・コバニ』
映画『ラジオ・コバニ』

武村さんは「ラジオが、いつも通りの日常を放送してくれたことに救われたという声をよく聞きます。難民支援の活動に関わってきたなかでよく考えるのですが、人は生命を維持するライフラインだけではなく、そこに〈希望〉がないと生きられない。『ラジオ・コバニ』では紛争で傷ついた街にラジオという日常が戻ってきたことが希望だと思った」と解説する。さらに映画でディロバンが発言する“幸せな一日にしましょう”というセリフについて「映画のメッセージとして忘れてはいけないし、とても大事で責任のある言葉。ラジオDJとしてこの言葉を伝えていきたいと思います」と語気を強める。

映画『ラジオ・コバニ』
映画『ラジオ・コバニ』トーク・イベントに登壇した武村貴世子さん(左)と秀島史香さん(右)

最後に秀島さん「いつも通りの日常がある。いつも通りの声がある。それはかけがえのないこと。ラジオは見えないからこそ強い。そして、まだまだ世の中は知らないことばかり。その中で知ることはとても大切。意識も変わるし、視点も変わる。スルーするのは簡単ですが、現実を知ることで、人生も幅広く変わっていくものだと思います。この映画をきっかけに、いろいろ知れましたし、ラジオの良さも再認識させられました」と締めくくった。




映画『ラジオ・コバニ』ポスター
映画『ラジオ・コバニ』ポスター

映画『ラジオ・コバニ』
アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開中

監督・脚本:ラベー・ドスキー
配給:アップリンク
字幕翻訳:額賀深雪
字幕監修:ワッカス・チョーラク
2016年/オランダ/69分/クルド語/2.39:1/カラー/ステレオ/DCP

公式サイト

▼映画『ラジオ・コバニ』予告編

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