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東京都 渋谷区

2016-06-10 12:00


グスマン監督がチリ史描く4時間半大作劇場公開

グスマン監督がチリ史描く4時間半大作劇場公開
映画『チリの闘い』より © 1975, 1976, 1978 Patricio Guzmán

昨年、『光のノスタルジア』『真珠のボタン』が劇場公開されたチリのドキュメンタリー作家、パトリシオ・グスマンの全3部・4時間半に及ぶ大作『チリの闘い』が9月に渋谷ユーロスペースにて劇場公開されることが決定した。

この作品は、昨年の「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で日本初上映されたのに続き、製作から約半世紀を経て劇場公開となる。

また、8月には『チリの闘い』公開を記念し、アテネ・フランセ文化センターでパトリシオ・グスマン監督特集も行われる。

東西冷戦期の1970年、チリでは選挙によって選ばれた世界初の社会主義政権が誕生し、サルバドール・アジェンデが大統領に就任した。「反帝国主義」「平和革命」を掲げて世界的な注目を集め、民衆の支持を得ていたが、その改革政策は国内の保守層、多国籍企業、そしてアメリカ合衆国政府との間に激しい軋轢を生んだ。やがて民衆の生活は困窮。チリの社会・経済は混乱に至った。1973年9月11日、陸軍のアウグスト・ピノチェト将軍ら軍部が米国CIAの支援を受け、軍事クーデターを起こす。アジェンデは自殺。以後、チリはピノチェトを中心にした軍事独裁政権下に置かれた。

映画『チリの闘い』より © 1975, 1976, 1978 Patricio Guzmán
映画『チリの闘い』より © 1975, 1976, 1978 Patricio Guzmán

パトリシオ・グスマンはこのチリにおける政治的緊張と社会主義政権の終焉を記録する。そして、9月11日のクーデターを契機にキューバ、スペインを経てフランスに亡命。映画監督クリス・マルケルやキューバ映画芸術産業庁(ICAIC)の支援を得てこの「映画史上最高のドキュメンタリー映画」とも言われる3部作を完成させた。




映画『チリの闘い』チラシ

映画『チリの闘い』
2016年9月、ユーロスペースにて公開

監督:パトリシオ・グスマン(『光のノスタルジア』『真珠のボタン』)
第1部 ブルジョワジーの叛乱(1975年/96分)
第2部 クーデター(1976年/88分)
第3部 民衆の力(1978年/79分)
原題:La batalla de Chile 1,2,3
配給:アイ・ヴィー・シー

「パトリシオ・グスマン監督特集」
2016年8月24日(水)~8月27日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

8月24日(水)
17:00『頑固な記憶』(59分)
18:30『ピノチェト・ケース』(110分)

8月25日(木)
16:30『サルバトール・アジェンデ』(100分)
18:15トーク:「映画史の中のパトリシオ・グスマン」岡田秀則(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)
19:30『頑固な記憶』(59分)

8月26日(金)
16:40『ピノチェト・ケース』(110分)
19:00『サルバトーレ・アジェンデ』(100分)

8月27日(土)特別先行上映
14:30『チリの闘い』第1部(96分)
16:40『チリの闘い』第2部(88分)
18:40『チリの闘い』第3部(79分)
20:00トーク:「政治と詩が出会うところ グスマンの魅力」斉藤綾子(映画研究者)

料金などの詳細は後日発表


▼『チリの闘い』特報

▼映画『チリの闘い 第1部 ブルジョワジーの叛乱』海外版予告編

▼映画『チリの闘い 第2部 クーデター』海外版予告編

▼映画『チリの闘い 第3部 民衆の力』海外版予告編

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