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2015-12-11 21:07


想田監督「テロに備えて日本は今、何をすべきか」

想田監督「テロに備えて日本は今、何をすべきか」
12月10日(木)に開催された渋谷アップリンクでの『レストレポ前哨基地』アフタートークに登壇した想田和弘監督

全米公開時に、その圧倒的にリアルな描写で、アカデミー賞をはじめ25もの賞に選ばれた戦場ドキュメンタリー映画の傑作『レストレポ前哨基地(パート1&2)』が、現在、渋谷アップリンクで公開中である。

本作は、地上で最も危険といわれたアフガニスタンの戦線へ2007年に派兵された米軍小隊に密着し、“治安維持”という名の「対テロ戦争」の現実を捉えた作品。

去る12月11日(木)に、新作『牡蠣工場』が来年2月公開予定の映画作家・想田和弘監督をゲストに迎え、『レストレポ前哨基地 パート1』のアフタートークが開催された。

想田監督は、本作を観た感想を、「映画は疑似体験の装置。優れた映画には、自分があたかもそこいるかのような臨場感がある。この映画にもそれが言えて、自分が兵士になって戦場に放り込まれた感覚を味わった」と話した。

また、1993年からニューヨーク在住で、この映画で描かれている「テロとの戦い」の発端になった2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を現地で体験した想田監督は、国が一丸となって戦争に進んでいった当時のアメリカの様子を次のように振り返った。「野球が好きでよく球場に観に行くが、大リーグの試合では7回表が終わると“私を野球場に連れて行って”という曲を皆で歌う慣習がある。けれど、あの頃それがアメリカの第2の国歌といわれる“ゴッド・ブレス・アメリカ”に替わった。僕は起立するのが嫌で座っていたが、周りが全員起立して斉唱している中、一人座ってるのは恐怖だった。そのくらい当時アメリカは愛国心で一色になっていた」

さらに、911では冷静だったフランスが、自国でイスラム国によるテロが起きると、直ちに報復としてシリアへ大規模な空爆を始め、12月6日に行われた地域圏議会選挙でも極右が圧勝したことについて、「人間は、やられたらやり返す感情的な動物であることを、われわれは自覚すべき」「日本でも同じようなテロが起こる可能性は、非常に高いと思う。その時には理性的な話し合いはできなくなるはずなので、今から冷静に話し合っておくことが大切」と述べた。




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これがアメリカによる“治安維持”という名の戦争の現実──映画『レストレポ前哨基地』
緊急公開が決定した戦場ドキュメンタリーの監督インタビュー(2015-05-08)
http://www.webdice.jp/dice/detail/4909/




『レストレポ前哨基地 PART.1』
『レストレポ前哨基地 PART.2』
渋谷アップリンクほか全国順次公開中

『レストレポ前哨基地』PART.1&2ポスター_s

『レストレポ前哨基地 PART.1』

監督:ティム・ヘザリントン、セバスチャン・ユンガー
原題:RESTREPO : one platoon, one valley, one year
2010年/アメリカ/93分

『レストレポ前哨基地 PART.2』

監督:セバスチャン・ユンガー
原題:KORENGAL : this is what war feels like
2014年/アメリカ/84分

公式サイト:www.uplink.co.jp/restrepo
公式Facebook:www.facebook.com/restrepomovie.jp
公式Twitter:twitter.com/restrepo_jp


▼映画『レストレポ前哨基地(PART.1&PART.2)』予告編

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