ジョン･ウォーターズ15年ベスト10にドラン､ノエ

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2015-12-07 22:00

『ピンク・フラミンゴ』（1972年）などで知られるアメリカのジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2015年の映画ベスト10が、米「ARTFORUM」誌12月号で発表された。

1位となったのは、オーストリアのアンドレアス・ホーヴァート監督による『Helmut Berger, Actor』。イタリアのルキノ・ヴィスコンティ監督の愛人として寵愛を受け『地獄に堕ちた勇者ども』（1969年）『ルートヴィヒ』（1972年）といった作品で一世を風靡したものの、その後貧窮生活を余儀なくされた男優、ヘルムート・バーガー（71歳）の転落人生とうらぶれた生活を描くドキュメンタリー映画だ。ウォーターズ監督は「今年の最高もしくは最低映画。私たちの見せ物がカメラの前で洋服を脱ぎ、マスターベーションをして確かに射精するとき、ドキュメンタリーの方法論のルールは永久に破られる。まさに“呪われし者”（『地獄に堕ちた勇者ども』の原題）だ」と激賞。なおヘルムート・バーガーは、現在公開中の『サンローラン』で老年のイヴ・サンローランを演じている。

また4位には、今年アメリカで公開されたグザヴィエ・ドラン監督の『トム・アット・ザ・ファーム』がランクイン。今作についてウォーターズ監督は「生意気なヒップスターと、彼の死んだボーイフレンドの兄─弟をたぶらかした男の口をかき切った暴力的で危険なゲイの男─とのジュネ的なラブストーリー。これはセクシーだと思う」とコメントしている。

そのほか、3位にはロイ・デュプイ、ウド・キア、マチュー・アマルリックらが出演し、スパークスが音楽を担当するガイ・マディン＆エヴァン・ジョンソン監督作『The Forbidden Room』（原題）、今年の東京国際映画祭上映作で、トランスジェンダーの娼婦をめぐるトラブルを全編iPhone5Sで撮影したドラマ『タンジェリン』が8位に選出。9位は「裸足の泥棒」と呼ばれた窃盗犯コルトン・ハリス＝ムーアを追ったドキュメンタリー『Fly Colt Fly : Legend of The Barefoot Bandit』、そしてギャスパー・ノエ監督の3D新作『LOVE』（原題）が10位に選ばれている。

【ジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2015年映画ベスト10】

1位『Helmut Berger, Actor』（原題）アンドレアス・ホーヴァート監督
2位『シンデレラ』ケネス・ブラナー監督
※2015年4月日本公開
3位『The Forbidden Room』（原題）ガイ・マディン、エヴァン・ジョンソン監督
4位『トム・アット・ザ・ファーム』グザヴィエ・ドラン監督
※2014年10月日本公開
5位『マッドマックス怒りのデス･ロード』ジョージ・ミラー監督
※2015年6月日本公開
6位『キャロル』トッド・ヘインズ監督
※2016年2月日本公開
7位『The Diary of a Teenage Girl』（原題）マリエル・ヘラー監督
8位『タンジェリン』ショーン・ベイカー監督
※2015年10月第28回東京国際映画祭で上映
9位『Fly Colt Fly : Legend of The Barefoot Bandit』（原題）アダム・グレイ、アンドリュー・グレイ監督
10位『LOVE』（原題）ギャスパー・ノエ監督
※2016年日本公開