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2015-05-26 17:05


『Dheepan』他カンヌ受賞作日本で続々公開決定

『Dheepan』他カンヌ受賞作日本で続々公開決定
映画『Dheepan(原題)』より © Paul Arnaud / Why Not Productions.

5月13日から24日まで開催されていた第68回カンヌ国際映画祭が閉幕。ジョエル&イーサン・コーエン兄弟が審査委員長を務め、ロージー・デ・パルマ、ソフィー・マルソー、 シエナ・ミラー、ロキア・トラオレ、ギレルモ・デル・トロ、グザヴィエ・ドラン、ジェイク・ギレンホールが審査員を担当した本年度のコンペティション部門の最高賞パルムドールに、フランスのジャック・オーディアール監督の『Dheepan(原題)』が輝いた。




【パルムドール】
ジャック・オーディアール監督『Dheepan(原題)』
〈配給:ロングライド 2016年公開〉

【グランプリ】
ラズロ・ネメス監督『Son of Saul(英題)』[原題:Saul Fia]
〈配給:ファインフィルムズ 2016年公開〉

【監督賞】
ホウ・シャオシェン監督『黒衣の刺客』
〈配給:松竹メディア事業部 2015年秋公開〉

【脚本賞】
ミシェル・フランコ
[ミシェル・フランコ監督『Chronic』]

【男優賞】
ヴァンサン・ランドン
[ステファヌ・ブリゼ監督『A Simple Man(La loi du marche)』]

【女優賞】
ルーニー・マーラ
[トッド・ヘインズ監督『Carol(原題)』
〈配給:ファントム・フィルム 2016年新春公開〉]
エマニュエル・ベルコ
[マイウェン監督『Mon roi』]

【審査員賞】
ヨルゴス・ランティモス監督『The Lobster(原題)』
〈配給:ファインフィルムズ 2016年公開〉

【短編部門パルムドール】
Ely Dagher監督『Waves '98』

【カメラドール】
セサル・アウグスト・アセベド監督『LAND AND SHADE(La Tierra y la Sombra)』





ジャック・オーディアールは、初監督作『天使が隣で眠る夜』で1994年のカメラドールを受賞、1996年の『つつましき詐欺師』で脚本賞、2009年の『預言者』でグランプリを受賞。今回『Dheepan(原題)』で初のパルムドール受賞となった。

『Dheepan(原題)』は、あるタミル人(タミル語を話すヒンドゥー教徒の民族)兵士が、見知らぬ女性と少女の3人でスリランカの内戦から逃げ、新天地を求めパリにやってきて、新しい生活を築くまでにいくつもの困難を乗り越えるという物語。オーディアール監督はプロの俳優でないタミル人を起用して本作を完成させた。今作は日本ではロングライドの配給により2016年公開予定となっている。

オーディアール監督は受賞スピーチで、審査委員長のコーエン兄弟や出演者への謝辞とともに、「今年出品しなかったミヒャエル・ハネケに感謝します」と、自身が『預言者』でグランプリとなった際に『白いリボン』でパルムドールを獲得したカンヌの常連ハネケ監督についても触れた。

グランプリを獲得したのは、 ナチスのホロコースト時代にアウシュビッツの強制収容所で働くユダヤ人を描いた、ハンガリーのラズロ・ネメスの『Son of Saul(英題)』[原題:Saul Fia]。ネメス監督は、カンヌの若手映画監督の登竜門シネフォンダシオン出身で、この初監督作品で見事受賞となった。今作品はファインフィルムズ配給により2016年日本公開予定となっている。

映画『Son of Saul』より
映画『Son of Saul(英題)』[原題:Saul Fia]より

監督賞には、妻夫木聡が出演する、唐の時代の中国を舞台にした武侠時代劇『黒衣の刺客』(配給:松竹メディア事業部 2015年秋日本公開)のホウ・シャオシェン監督が選ばれた。

脚本賞は『Chronic』でスペインのミシェル・フランコが受賞。男優賞にはステファヌ・ブリゼ監督『A Simple Man』のヴァンサン・ランドンが選ばれ、女優賞にはトッド・ヘインズ監督『Carol(原題)』のルーニー・マーラと、マイウェン監督『Mon roi』のエマニュエル・ベルコがダブル受賞となった。

そして審査員賞は『籠の中の乙女』で知られるギリシャのヨルゴス・ランティモス監督の新作『The Lobster(原題)』が受賞。コリン・ファレルとレイチェル・ワイズ主演で、独身者は拘束され45日以内に結婚相手を探さなければいけないという近未来の世界を舞台にした、ランティモス監督初の英語作品だ。今作はファインフィルムズ配給により、2016年公開が予定されている。

映画『The Lobster』より
映画『The Lobster(原題)』より

新人監督に与えられるカメラドールは、コロンビアのセサル・アウグスト・アセベド監督『LAND AND SHADE(La Tierra y la Sombra)』が受賞した。

コンペティションにラインナップされていた是枝裕和監督『海街diary』、渡辺謙がマシュー・マコノヒーとともに出演するガス・ヴァン・サント監督『The Sea of Trees』(提供:パルコ ハピネット/配給:東宝東和株式会社 2016年日本公開)、オフィス北野とビターズ・エンドが製作に関わるジャ・ジャンクー監督『Mountains May Depart(山河故人)』は、受賞とならなかった。


受賞後の審査委員の記者会見で、審査委員長のコーエン兄弟は「『Dheepan』にパルムドールを授与する決断はすぐになされた。我々はこの作品にとても熱くなった。他にも他の審査員メンバーが気に入った作品はあったが、この作品には全員一致だった」と語った。

CANNES
コンペティション部門受賞結果発表後のプレス・カンファレンスより

また、今回の審査が今後どのような影響を与えるか、という質問に対し、グザヴィエ・ドランは「これほど知的な人たちと、こんなに深く映画についてディスカッションをしたことはなかった。今回審査員を務めたことは、アーティストとしてではなく、『映画とはなにか』を考えるひとりの人間として僕を変えてくれた。ほんとうに驚いたよ、僕はより人間的に成長できたと思う」と語った。

ドランの発言に対し、審査委員長のジョエル・コーエンも「たくさんの映画を集中的に観て人々と討論しなければならない映画祭での貴重な経験は、人生と映画を観る者としての視座を変える」と返した。




カンヌ国際映画祭公式サイト
http://www.festival-cannes.fr/jp.html



▼映画『Dheepan(原題)』抜粋映像


▼映画『Son of Saul(英題)』[原題:Saul Fia]抜粋映像


▼映画『The Lobster(原題)』抜粋映像


▼カンヌ国際映画祭、コンペティション部門受賞結果発表後のプレス・カンファレンス

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