『村上さんは、授賞式への出席について迷ったと述べ、エルサレムに来たのは「メッセージを伝えるためだ」と説明。体制を壁に、個人を卵に例えて、「高い壁に挟まれ、壁にぶつかって壊れる卵」を思い浮かべた時、「どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ」と強調した。
また「壁は私たちを守ってくれると思われるが、私たちを殺し、また他人を冷淡に効率よく殺す理由にもなる」と述べた。イスラエルが進めるパレスチナとの分離壁の建設を意識した発言とみられる』(朝日新聞)
『「爆弾犯や戦車、ロケット弾、白リン弾が高い壁で、卵は被害を受ける人々だ」と述べ、名指しは避けつつも、イスラエル軍やパレスチナ武装組織を非難した』 (時事)
言葉で生きている小説家の注目される受賞のスピーチなので全文掲載してほしいところ。
時事の報道には「ロケット弾」とハマスがイスラエルに攻撃した武器とイスラエルの武器「白リン弾」とが並列されて述べられていたが、なぜか朝日はこのことを報じていない。
村上氏は卵を一般市民に例えた訳なのに、朝日の記事だけを読むと村上氏がパレスチナサイドだけにたっているように読めてしまう。
【記事追加 02/17 0:27 】
共同配信の中国新聞により詳しく掲載されていました。
以下中国新聞から引用
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【エルサレム16日共同】作家の村上春樹さんが15日行った「エルサレム賞」授賞式の記念講演の要旨は次の通り。
一、イスラエルの(パレスチナ自治区)ガザ攻撃では多くの非武装市民を含む1000人以上が命を落とした。受賞に来ることで、圧倒的な軍事力を使う政策を支持する印象を与えかねないと思ったが、欠席して何も言わないより話すことを選んだ。
一、わたしが小説を書くとき常に心に留めているのは、高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる卵のことだ。どちらが正しいか歴史が決めるにしても、わたしは常に卵の側に立つ。壁の側に立つ小説家に何の価値があるだろうか。
一、高い壁とは戦車だったりロケット弾、白リン弾だったりする。卵は非武装の民間人で、押しつぶされ、撃たれる。
一、さらに深い意味がある。わたしたち一人一人は卵であり、壊れやすい殻に入った独自の精神を持ち、壁に直面している。壁の名前は、制度である。制度はわたしたちを守るはずのものだが、時に自己増殖してわたしたちを殺し、わたしたちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させる。
一、壁はあまりに高く、強大に見えてわたしたちは希望を失いがちだ。しかし、わたしたち一人一人は、制度にはない、生きた精神を持っている。制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。制度がわたしたちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2009021601000180_Detail.html
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村上春樹さんに「エルサレム賞」=スピーチでガザ侵攻を批判(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009021600026
村上春樹さん、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判(朝日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009021600026