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2009-02-10 13:31


エルサレム賞受賞の村上春樹氏への公開書簡

このトピックもイスラエル大使館文化部のニュースレターで知った。

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「村上春樹氏「エルサレム賞」を受賞

イスラエル最高の文学賞「エルサレム賞」の2009年度の受賞者に作家の村上春樹氏が決まりました。受賞式は2月15日にエルサレムブックフェアにて、ご本人出席のもと賞はペレス大統領が贈呈予定。受賞理由のコメントによると「日本文化と現代西洋文化とのユニークなつながりを描くなど、西側で最も人気がある日本人作家。読むのはやさしいが、理解するのはむずかしい」とか。村上氏のイスラエルでの知名度は相当なもので、かなりの数の作品がヘブライ語に翻訳されています。新たに翻訳本が出るときは、書店のディスプレイ・ショーウインドーの全面を覆うほどの人気。

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で、ガザを攻撃し多数の民間人を殺したイスラエルなんかにいくなという声もある。
以下、パレスチナ平和の会のサイトに掲載されている公開書簡

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2009年1月29日

エルサレム国際ブックフェア参加と「エルサレム賞」受賞に関する

村上春樹氏への公開書簡

エルサレム国際ブックフェア参加と「エルサレム賞」受賞のキャンセルを求めます。

私たちは、来る2月15日から20日にかけてエルサレムで行われる第24回エルサレム国際ブックフェアに、あなたが参加され、「エルサレム賞」を受賞されることになっているとのニュースを聞き、大変にショックを受けています。

私たちは、イスラエルがガザで1300人以上の尊い命を奪い、500人の重傷者を含む5300人以上の負傷者を出し、大勢の人々の生活を破壊しつくすという戦争犯罪を犯した直後のこの時期に、世界的に著名な小説家であるあなたが、イスラエル外務省、エルサレム市が全面的にバックアップする公的行事であるこのブックフェアに参加され、エルサレム市長から「エルサレム賞」を受賞されるということの社会的・政治的意味を真剣に再考されることを強く求めるものです。

とりわけ、深刻な点は、「エルサレム賞」が「社会における個人の自由」への貢献を讃えるとしていることです。この間、イスラエルがガザで行ってきた虐殺や封鎖政策、そして東エルサレムで行っている入植地や「隔離壁」の建設といった犯罪行為は、パレスチナ人の自由を抹殺する行為であり、「エルサレム賞」の表向きの趣旨に真っ向から反するものです。あなたが「エルサレム賞」を受賞することで、イスラエルがあたかも「社会における個人の自由」を尊重している国であるかのようなイメージが、メディアを通じて流布されることになります。私たちは、この間、イスラエルがパレスチナ人に対して組織的継続的に行ってきた想像を絶する人間性破壊の行為が相対化され、イスラエルが免罪されていく事態を恐れます。

国連人権問題調査官のリチャード・フォーク氏は、イスラエル軍がジュネーヴ議定書に対する重大な違反を犯した「明らかな証拠」があると語っています。ヨーロッパの市民団体は国際刑事裁判所に責任者を提訴する準備を進めています。かつてのワルシャワゲットーを想起させる今回の虐殺を繰り返さないためには、国際社会は、耳をふさぎ続けるイスラエルに対して「虐殺を許さない・見逃さない・忘れない」というメッセージをあらゆる機会を利用して訴え続けていく道徳的義務を果たさなければならないと考えます。このことと「エルサレム賞」受賞は明らかに矛盾すると私たちは考えます。

また、昨年11月にエルサレム市長に当選したニール・バラカット氏は、これまでの歴代市長と同様、東エルサレムにおける違法入植地の建設続行を表明しています。エルサレムの首都化、東エルサレムの併合、同地区への入植地建設は、いずれも国際法違反でありながら、イスラエルが強引に既成事実化をはかってきているものです。その結果、真の和平はますます遠ざかりつつあり、エルサレムのみならず、被占領地に暮らすパレスチナ人全体がアパルトヘイト政策の犠牲者となっています。彼らの「社会における個人の自由」はイスラエルによって徹底して抑圧され続けていると言わざるを得ません。この対パレスチナ人抑圧政策の中心にいるバラカット・エルサレム市長から「エルサレム賞」を受賞することは、イスラエルのアパルトヘイト政策を隠蔽し、擁護することになると言わざるを得ません。そして、そのことは決してあなたの本意ではないと私たちは信じます。

どうか、今も人間としての自由と尊厳を否定され続けている、そしてそのことに対し、日々を生き抜くというかたちで抵抗を続けているパレスチナ人たちの存在に目を向けてください。そして、「エルサレム賞」を受けるという行為が、今の中東情勢のなかで、世界にどのようなメッセージを与えうるのか、イスラエルにとってどのような宣伝効果を持ちうるのか、そして、満身創痍のパレスチナ人をさらに追い詰める危険性がないのか、再度、検討いただくことを誠心誠意、希望する次第です。

2009年1月29日

パレスチナの平和を考える会(Palestine Forum Japan)

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http://palestine-forum.org/doc/2009/0129.html

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