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日程2023年08月21日 ~ 2023年09月03日
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時間12:00
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会場photographers' gallery
篠田優は2015年から、東京に程近い2つの半島、三浦と房総に点在する軍事的な遺構やそれらをとりまく自然環境を撮影し、発表を続けてきました。本展覧会ではそれらの中から、三浦半島に位置する一つの海岸に取材した作品を出品します。そうした写真群の結節点として篠田が位置づけているのは洞窟状の陣地跡であり、その多くがアジア・太平洋戦争の末期に本土決戦を期して構築されたものです。海岸線付近に開口する陣地跡は、大小さまざまな物がその内部に捨て置かれるとともに、暗がりのなかで虫や植物がひそやかな生を営む、静かな場所でもあります。また、掘削時の痕跡をその表面に生々しく残している岩肌は、人類の歴史を包摂してもまだ余りある時間の存在を、地層というかたちで可視化しています。
そのような場所で撮影された写真は、「いま」と呼ばれる瞬間が、実は多様な時の重なりであることを伝えているかのようです。また、これらの写真群を通じて、見る者がもつ現在という時間の在り方を解きほぐし、「風景」に対する新たな視座を拓くことが試みられています。
『目の前には様々な時間が形を成して存在しているように思えた。俯瞰的に見れば、わたしもまたそのうちの一つなのかもしれない。遥かな昔という時間でさえも、いまのわたしと、共に在る。そのように考えるとき、肩の荷が下りるような心地よさを感じた。わたしをそのような思考に導いてくれたのは、半島で出会った「風景」、そして、それをうつした「写真」だった。 篠田優』
展示内容/インクジェットプリント、カラー、約13点
【同時開催】 Keizo Kitajima/北島敬三「PORTRAITS-L」
2023年7月23日〜9月3日 *8/14~8/19は休廊
KULA PHOTO GALLERY(photographers’ gallery同フロア)