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終了高知県立美術館 春の定期上映会『ピエル・パオロ・ パゾリーニ監督特集』

生誕100年記念 スキャンダラスな巨匠 ピエル・パオロ・ パゾリーニ

  • 日程
    2023年05月26日 ~ 2023年05月28日

  • 時間
    10:00

  • 会場
    高知県立美術館ホール

イタリア映画のみならず世界の映画界の中でも最も独創的な映画作家の一人、ピエル・パオロ・パゾリーニの生誕100年を記念して、代表作6作品を上映します。
スキャンダラスなテーマや謎の死のイメージから、異端の映画作家と見られがちですが、現在改めて見ると内容の質の高さや表現の斬新さに驚かざるを得ません。
2022年の生誕100年を記念して、映画史上最大の問題作といっても過言ではない「ソドムの市」、キリストの生涯を原書に忠実に描いた「奇跡の丘」、ギリシャ悲劇を題材に大胆に解釈した「アポロンの地獄」「王女メディア」など、奇抜な作風が際立つ問題作6作品を厳選して上映します。
当館では1999年に「パゾリーニ映画祭/その詩と映像」と題し全長編作品を上映して以来の上映となります。今なお全く色褪せることのない傑作群を、是非この機会にご覧ください。

上映日:2023(令和5)年 5月26日(金) ・27日(土)・28日(日)
会 場:高知県立美術館ホール
入場料:《1プログラム券》前売:1,000円/当日:1,200円 (税込) ※各プログラム入替制
*身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・戦傷病者手帳・被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名)は3割引です。割引料金:《1プログラム券》前売:700円/当日:840円(税込) ※ローソンチケットは割引対象外
*当館の年間観覧券をご提示いただくと前売料金でご覧いただけます。

前売券販売所:
高知県立美術館ミュージアムショップ
TEL. 088-866-7653 (9:00~17:00)
ローソンチケット〔Lコード:63793〕

主催:高知県立美術館(公益財団法人高知県文化財団)
提供・配給:Park Circus、Compass Film、ザジフィルムズ
協力:カルチャヴィル、ユーロスペース
後援:高知新聞社、RKC高知放送、KUTVテレビ高知、KSSさんさんテレビ、エフエム高知、KCB高知ケーブルテレビ、高知シティFM放送

※ポスターには「ソドムの市」オリジナルポスターのイメージを使用しています。
Salo, Or The 120 Days of Sodom © 1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

■ Aプログラム(5月26日(金)13:00~/27日(土)15:00~)
①「奇跡の丘」Il Vangelo secondo Matteo
(1964年/137分/イタリア/白黒/35ミリ)
監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:エンリケ・イラソキ、マルゲリータ・カルーゾ、スザンナ・パゾリーニ

無神論者であるパゾリーニが「マタイによる福音書」を忠実に映画化。神の子キリストの誕生から、司祭らによる迫害、ユダの裏切り、ゴルゴダの丘における磔刑、そして復活までを原書に忠実に描く。リアリティに溢れる迫力満点の説教シーン、美しい白黒撮影、パゾリーニの母が演じるマリアを始め素人の出演者たちの魅力も相まって、映画界のみならず教会関係者からも高い評価を得た。
ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞。

5月26日(金)13:00~15:17
5月27日(土)15:00~17:17

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②「アポロンの地獄」Edipo Re
(1967年/104分/イタリア/カラー/35ミリ)
監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ 原作:ソフォクレス「オイディプス王」
出演:シルヴァーナ・マンガーノ、フランコ・チッティ、アリダ・ヴァッリ

ギリシャ悲劇「オイディプス王」の映画化。親に捨てられた赤ん坊がコリントス国に拾われ、国王の息子として育てられる。成人したオイディプスは「父を殺し、母と交わる」というアポロンの信託を聞き、国を去る。旅の途中テーベ国王ライオス一行と争いになりライオスを殺してしまう。テーベに流れ着いたオイディプスは、国を厄災スフィンクスから救ったことから王妃イオカステを妻にして国王になるが、やがて真実を知り・・・。パゾリーニは時代考証をせず自らの美意識に忠実に描くことで神話的古代世界を創出した。

5月26日(金)15:30~17:14
5月27日(土)17:30~19:14

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■ Bプログラム(5月26日(金)18:00~/28日(日)10:00~)
①「テオレマ 4Kスキャン版」Teorema  ※PG12
(1968年/99分/イタリア/カラー/ブルーレイ)
監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:テレンス・スタンプ、シルヴァーナ・マンガーノ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ラウラ・べッティ

テオレマとは定理の意。ミラノの工場経営者一家の家に見知らぬ青年が住み着く。4人の家族と使用人の全員が彼に魅了され性的関係を持つ。ある日青年が去ると同時に一家は崩壊してゆく・・・。
全裸になり荒野を彷徨う夫、街で若者を漁る妻、体が硬直する娘、才能のない絵画に没頭する息子、奇跡を起こす使用人。仮面を剥ぎ取った人間存在の根源を問いかけた作品。使用人を演じたラウラ・ベッティがヴェネツィア国際映画祭最優秀女優賞受賞。本作で妻を、「アポロンの地獄」でイオカステを演じたシルヴァーナ・マンガーノの妖艶な魅力に引き込まれる。

5月26日(金)18:00~19:39
5月28日(日)10:00~11:39

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②「王女メディア」Medea
(1969年/111分/イタリア=フランス=西ドイツ/カラー/ブルーレイ)
監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ 原作:エウリピデス「メディア」
出演:マリア・カラス、ジョゼッペ・ジェンティーレ、マッシモ・ジロッティ

オペラ「メディア」で主役を演じ、右に出る者のいないマリア・カラスを初めて映画界に迎え、ギリシャ悲劇を題材に独創的な神話世界を創出した。半身半馬の賢者ケンタウロスに育てられたイオルコス国の王子イアソンは、コルキス国で王女メディアと金毛羊皮を手に入れた後、コリントス国に移り二人の息子を授かる。国王に気に入られたイアソンは王女グラウケーと婚約する。裏切られたメディアは恐ろしい復讐を計画する・・・。
美しい衣装、カッパドキアを始めとする幻想的な風景、日本の長唄やご詠歌も使われるなど世界各国の民族音楽に彩られた傑作。

5月26日(金)19:50~21:41
5月28日(日)11:50~13:41

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■ Cプログラム(5月27日(土)10:00~/28日(日)15:00~)
①「豚小屋」Porcile
(1969年/99分/イタリア/カラー/35ミリ)
監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:ピエール・クレマンティ、ジャン・ピエール・レオ、アンヌ・ヴィアゼムスキー

二つの異なる話が並行して描かれる。一つ目の話は荒野を放浪する男が兵士を殺して人肉を食う話。男は仲間を増やしてゆくが、討伐隊により捕縛される。もう一つの話はドイツの実業家がライバルの実業家の過去の秘密を知るが、一方で息子が豚と獣姦しているというスキャンダルを掴まれてしまう。果たして人間は醜い豚なのか。

5月27日(土)10:00~11:39
5月28日(日)15:00~16:39

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②「ソドムの市」Salo,ole centoventi giornate di Sodoma
(1975年/118分/イタリア/カラー/35ミリ)
監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ 原作:マルキ・ド・サド「ソドムの百二十日」
音楽監修:エンニオ・モリコーネ
出演:パオロ・ボナチェッリ、ジョルジョ・カタルディ、アルド・ヴァレッティ

第2次世界大戦末期、ナチ政権下北イタリアの町・サロに集まった4人の最高権力者たちは、町中から美少年美少女を狩り集め、想像を絶する地獄の狂宴を繰り広げる。
人間の醜さの極限を描く阿鼻叫喚の衝撃的な描写に加え、撮影直後にパゾリーニが何者かに殺害されたことによりセンセーションを巻き起こした。パゾリーニの遺作にして映画史上最大の問題作と言っても過言ではない。この映画を正視し続けることができるか!

“「身も凍る傑作」 ガーディアン紙:ロンドン”
“「見ることのできる最もショッキングで身の毛のよだつ映画」アフトンブラーデッド紙:ストックホルム”
“「多くの人にとって最良の忠告は、この映画を見てはいけない!」シドニー・モーニング・ヘラルド紙”

5月27日(土)11:50~13:48
5月28日(日)16:50~18:48

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ピエル・パオロ・パゾリーニ Pier Paolo Pasolini
1922年3月5日、伯爵家出身で陸軍将校の父と教師の母の長男としてイタリアのボローニャに生まれる。幼いころから詩を書き始め42年処女詩集「カザルサ詩集」を自費出版。45年パルチザンに参加していた弟が殺される。47年中学教師として働き始めると同時に共産党に入党。49年冤罪で免職になり、共産党からも除名になる。50年母と共にローマの貧困地区に移る。55年長編小説「生命ある若者」発表。そのころ「河の女」の脚本執筆を機に映画界に進出。フェデリコ・フェリーニ監督の「カビリアの夜」や「甘い生活」、ベルナルド・ベルトリッチ監督のデビュー作「殺し」など数多くの脚本を執筆。61年「アッカトーネ」で監督デビュー。以降次々と話題作・問題作を撮り続けイタリアを代表する映画監督の一人になった。75年「ソドムの市」完成後、ローマ郊外の海岸で他殺体となって発見される。17歳の少年が犯人として逮捕されたが、死の真相は謎に包まれている。死後「パゾリーニ全集」(全11巻)が刊行された。享年53才。

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