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日程2022年10月22日 ~ 2022年11月11日
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時間12:00
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会場photographers' gallery
笹岡啓子は、2001年より広島平和記念公園とその周辺を撮影し、2009年に写真集『PARK CITY』(インスクリプト)を出版しました。その後も各地での写真展開催や東日本大震災による被災地域の撮影(『Remembrance』『SHORELINE』)、また『photographers’ gallery press no.12: 爆心地の写真1945-1952』での広島取材などを通じ、継続して公園都市・広島へ関心を寄せてきました。
スローシャッターやネガポジの反転像で捉えられた写真に写る人影は、現在の広島を行き交う人々としての顔貌を失い、ときに公園や街を浮遊する亡霊のように、ときに時制の交錯した人型として生々しく立ち顕れます。
本展では、軍都でもあった被爆以前の広島の写真を光の三原色のうちの一色として、現在の広島を撮影した写真に重ね合わせるというあらたな試みも展開しています。1945年8月6日の直接的な経験から大幅に隔てられた笹岡にとって、ヒロシマを経験するということは、過去の写らなさや見えづらさの困難に同伴してなお、幾重にも何度でも眼差すことの蓄積にほかなりません。笹岡の撮る広島は、過去に対して安易な理解や共感に陥ることなく、忘却のただなかにある個別の出来事とその複雑さをひとつひとつたぐり寄せる試みでもあります。
【展示内容/インクジェットプリント18点】