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日程2022年08月27日 ~ 2022年09月15日
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時間12:00
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会場photographers’gallery
岸幸太は、2005年から2020年の15年にわたり、大阪の釜ヶ崎、東京の山谷、横浜の寿町を撮影し、2021年に写真集『傷、見た目』(写真公園林)を刊行しました。以降も冊子シリーズ『連荘』を発表するなど、写真を撮ることでそれぞれの街の歴史を嗅ぎ取ろうとするかのような制作は撮影地域の拡がりをみせながら続いています。写真集『傷、見た目』の中で岸が、「毎年8月13日から15日に開催される祭りの夜には、炭坑節や河内音頭を時間の許すかぎり踊っては汗まみれで宿に帰っていく彼らや彼女たちの姿がいつもあった。盆踊りに参加できずにずっと眺めている私は、写真を撮ったりしなくてもこの場所に安心していることができた」と語るように今年も釜ヶ崎での「盂う蘭ら盆ぼん会え」を過ごしています。 本展は、「傷、見た目」としてこれまで発表してきた写真および未発表の写真を再構成し、なかでもこれらの街に暮らす人々の手によって残された壁の落書きや伝言、貼り紙などをつぶさに捉えた写真を中心に展覧します。越冬闘争のスローガンである「黙って野垂れ死ぬな」、薄汚れた壁に書かれた「オレらは応援 東北 頑張れ」、朽ちかけた掲示板に残る「金貸してくれ OBAMA」などの手書き文字。その時々に真剣にあるいは冗談のように書き記された言葉の一つ一つは、観る者を静かに惹きつけ、見過ごしてはならない人の姿や物の在りようがあることを注視する作者の一貫した姿勢が感じられます。
【展示内容/インクジェットプリント、モノクロ】