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終了「正しい歪み方」

伊佐治雄悟、太田遼、小沢裕子、藤林悠

  • 日程
    2016年07月09日 ~ 2016年08月07日

  • 時間
    11:00

  • 会場
    gallery COEXIST-TOKYO

「歪み」という言葉について考えてみた。歪みを見つける為には、本来、元の状態を知らなくてはいけない。だから私たちが見つける歪みとは全て既知のものの歪みであって、初めて出会うものが歪んでいるかどうか知ることはできないはずである。また他人が何を歪みとしているのかも知ることはできないはずである。しかし私たちは、様々なメディアを通じて似た様な情報や経験を得て、共有することで、何が歪みで何が歪みでないかをお互いに了解しているようである。その時に他人が「元の状態」をどんなものと想定しているのか、いちいち考えたり、確認する人は少ないだろう。

このまま言葉遊びを続けてみようと思う。
私たちが作品を造る時に起きる、もしくは起こしてしまう歪みを、他人と共有する事ができるだろうか。というより、ある作品の歪みに気付くために、作家たちが見ていた「元の状態」を知る事は可能なのだろうか。それは本来、文脈とか背景、或はコンセプトと呼ばれるもので補われるのかもしれない。私も含めて多くの人が作品を理解している様に振舞っている。この展覧会では、作家たちが見た「元の状態」も体験してほしい。

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この度gallery COEXIST-TOKYOにおいて、伊佐治雄悟(いさじ・ゆうご)、太田遼(おおた・はるか)、小沢裕子(おざわ・ゆうこ)、藤林悠(ふじばやし・はるか)によるグループ展を開催いたします。

伊佐治は、これまでにカッターの刃やボールペンといった日用品を用いたり、割れた器の内側と外側をひっくり返し金継するという作品を発表してきました。用途に応じて適切に製造された日用品の形を、シンプルな手法を用いて変化させます。

太田の建築的な手法を用いたインスタレーションは、現実の空間にフェイクを挿入し、空間の内部と外部、表と裏を共存させることで、あらゆるものに存在している境界を問い直します。『自己と「モノたち」は決して同化できない』とする太田は、この隔たりと真摯に向き合って距離をはかり、関係性を親密にしていくことを試みます。

小沢の作品は、映像、音源、文章など様々なメディアで制作されます。近年ではYouTubeにアップロードされたアマチュアミュージシャンの音源に独自にPVを制作しました。彼女の作品の中では「私」「あなた」「彼・彼女」といった「主体」が常に曖昧で、映画やテレビなどから映像や音響のリテラシーを身につけた私たちに非常に新鮮な体験を与えてくれます。

藤林はモノクロームの写真によって、室内のスプリンクラーや電球を、私たちの通常の認知とはかけ離れた姿で提示します。写真に映し出された、幾何学形態として収まりを見せる「もの」は、見慣れたものであるにも関わらず、機能や目的を剥奪され、宙づり状態となっています。

「もの」があるべき姿、求められるべき姿であるとき、我々はそれを「当然そうあるもの」と見做し、これといって気にかけることはありません。しかし一旦「もの」がその求めらる姿から逸脱した途端、人々は「スタンダード」の存在に気づきます。「スタンダード」は「日常」に言い換えることもできるでしょう。もしかすると我々は、歪みを含んだ非日常を、日常として過ごしているだけなのかもしれません。

2014年に開催された、映像作家の小沢裕子と伊佐治雄悟による二人展「I am there」において「想像はできるけど、ありえなそうなこと」を現実の空間や画面を通して共有することを試みました。今回の展覧会を通して「ありえそうなこと」の体験を更に拡張したいと考えています。そして、その経験が私たちにもたらす効用についても、イベントやトークショーなどを通して言及します。本企画での展覧会は、観客に思考を強いる様な難解なものではなく、親しみ易い逸脱体験だと付け加えたいと思います。
(本展企画者 伊佐治雄悟)

出展作家:伊佐治雄悟、太田遼、小沢裕子、藤林悠

●イベント情報:
小沢裕子×角銅真実によるオープニングコンサートや、太田遼と粘土によるコラボイベント、豊嶋康子氏を招いてのトークイベントを開催いたします。
イベントの詳細はこちら→ http://coexist-tokyo.com/tadashiiyugamikata_event/

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