webDICE 連載『サーチャーズ2.0』 webDICE さんの新着日記 http://www.webdice.jp/dice/series/10 Tue, 17 Dec 2024 05:05:24 +0100 FeedCreator 1.7.2-ppt (info@mypapit.net) アレックス・コックス不滅のインディーズ魂!若い映画作家は一体何をやっているんだ! 三留まゆみ×岩田和明(映画秘宝)『サーチャーズ2.0』トークイベント http://www.webdice.jp/dice/detail/1244/ Tue, 27 Jan 2009 16:00:40 +0100
三留まゆみさん(左)と岩田和明さん


アレックス・コックス監督の最新作『サーチャーズ2.0』が渋谷アップリンク、吉祥寺バウスシアターで公開されているなか、1月24日アップリンクで公開記念トークショーが開催された。ゲストに、独特なイラストで映画紹介をするイラストライターの三留まゆみさん、映画雑誌「映画秘宝」編集部の岩田和明さんを迎えて、「アレックス・コックス映画入門 『サーチャーズ2.0』が100倍楽しめる元ネタ大放談!」と題して濃厚なトークが繰り広げられた。






「レポマンの人生は緊張だ」を座右の銘にして生きてきた



岩田和明(以下、岩田):アレックス・コックス作品との最初の出会いは、やっぱり『レポマン』(84)ですか?



三留まゆみ(以下、三留):そうですね。『レポマン』でコックスの洗礼を受けた人はすごくたくさんいると思います。



岩田:『レポマン』の衝撃ってよく語られますが、具体的に何が衝撃だったんですか?



「サーチャーズ2.0」トークイベント02


三留:だって、こんなにとんでもない、先にまったく読めない映画を誰がつくったんだよ、おい!っていう。使われている曲とか、主人公のエミリオ・エステベスがパンクの少年っていうこともあって、パンクスにすごい人気あって。主人公が、ローンをためた人の車を取り返すレポマンっていう仕事にスカウトされるという話なんだけど、途中から宇宙人は出てくるわ、それを追いかけるメン・イン・ブラックは出てくるわ、一体この話はなんなんだ!?と。しかも、イギリス人だけど舞台はロサンゼルスっていう。最後にU.F.Oで飛んでっちゃうんだよ。「レポマンの人生は緊張だ」というセリフがあるけど、まさにそんな映画で。だから、これを座右の銘にして生きている人たちは、私たちの世代にはいっぱいいますよ。




岩田:僕はリアルタイムじゃなくて、DVDでしか観たことないので、どのあたりで何が衝撃を与えたのかなと思ってはいたんです。



三留:何回同じところを観ても興奮するしね。



岩田:当時コックスは自主映画出身で登場したわけですが、三留さんも自主映画界の70年代後半から80年代を駆け抜けたわけなんですけど、当時のコックスはどういう存在でしたか?






三留まゆみイラスト


三留:やっぱり、インディーズの人です。コックスの映画をずっと観てきて、総インディーズの人なんだろうなって思いますね。『シド・アンド・ナンシー』(86)等の大作も撮ってるけど、ぐるっとまわって、今回の『サーチャーズ2.0』でロジャー・コーマンと組んだりとか。そこに描かれる世界を見ても、やっぱりこの人は絶対インディーズ作家なんだなって。



写真:三留さんが「映画秘宝」(洋泉社刊/09年2月号)にて描いた『レポマン』のイラスト


岩田:インディペンデント・スピリッツを持っている。



三留:ずっとあんな感じでしょ。でも、コックスって写真を見ても分かる通り、とっても紳士な人なんですよ。オックスフォード出身っていうので、「え?そんなプロフィールの人がなんでこんな映画を?」と。ある意味、不良の映画なんです。パンクスイコールという意味じゃなくて。でも、いつもアウトサイドに立って、だけどもアナーキーな、すごくメッセージ性の強いものを発信しているというのは、『レポマン』でのアメリカ批判であったり、『サーチャーズ2.0』もそうでしたし。



岩田:映画そのものに対する批判であったり、映画業界に対する批判というものがありますよね。



三留:そういうものを、全然丸くならずにずっと抱き続け、表現を続けるっていうところで、コックスの生き方はすごいカッコイイと思います。






映画の常識を破壊する作品とは裏腹に、紳士的な人柄



「ザ・ウィナー」パンフレット


岩田:この劇場用パンフレットは『ザ・ウィナー』(96)というコックスの作品です。三留さんも人物相関図を描いていますね。これは社会派の作品なんですよね。



写真:『ザ・ウィナー』劇場用パンフレット


三留:けっこう壮絶な話です。だけどもコックス節。『ウォーカー』(87)に続き、『ザ・ウィナー』(96)、『デス&コンパス』(96)をつくるんだけど、その辺でコックスはしばらく映画制作から遠くなってきて。



岩田:『サーチャーズ2.0』は日本で公開されるコックスの映画としては、約6年ぶりの新作となりました。今回コックスが来日したとき、「映画秘宝」ではインタビューをしましたね。






三留:話していても、すごく知的で紳士。だけど、映画はいつもこうなんですね。「濱マイク」のシリーズをコックスが撮ったときに、日本のスタッフ・監督のチームだと、押せ押せで、これだけは撮るみたいな感じで毎日朝まで撮影だったんだけど、コックス組はきっちり時間に終わるんだって。だから役者もスタッフも天国だって言ってたみたいで。



アレックス・コックス来日


岩田:映画の内容は映画の常識を破壊するつくりだけれども、それをつくっているご本人は紳士的だし、驚くほど常識的な人ですよね。三留さんは来日したコックスにお会いしていかがでしたか?



写真:今回来日したアレックス・コックス監督


三留:この人が『レポマン』で『ザ・ウィナー』でって思うんだけど、なんか違うかもしれないっていう、どこで変わるんだろうっていうのが常にあって。でも来日したとき、試写のあとに監督のQ&Aがあって、「チャールズ・ブロンソンとクリント・イーストウッドのどっちが好きか」という質問が出たんですね。コックスは「そりゃブロンソンだよ」って答えたから、すごく親近感が湧きました(笑)。イーストウッドに関しては、イーストウッド作品を褒めちぎったり評価しなければならない風潮がイヤだって。ここもコックスっぽいなって思ったんだけど。






岩田:その辺はいまだにインディペンデントが貫かれていますね。



三留:そういうことをはっきり言い切れるところがいいなと思います。




ジョン・フォード監督『捜索者(サーチャーズ)』が物語のベースに



岩田:『サーチャーズ2.0』は、映画自体は2006年製作でタイムラグがあって、ようやく日本で公開されました。いまコックスの映画を観られるのは素晴らしいことだと思います。僕の印象では、コックスは常に何かに怒っている、もしくは、何かに苛立っている主人公に対して、ものすごくシンパシーを持って映画をつくる作家という印象があるんですが、今回の新作はいかがでしたか?



三留:『レポマン』でもそうですが、「そんなわけないだろ」っていう話をかくもつくってしまうっていう。この映画も初老に差しかかったオヤジたちが主人公で、娘が入って3人のロードムービーなんだけど、そのオヤジたちは元・子役の設定で(笑)。そこまではいい。で、その2人には子どもの頃に撮影現場で脚本家に虐待されたっていうトラウマがあって。その脚本家に復讐するため、3日間車をとばしていくわけですよ。でも、コックスが言っていたけれども、「脚本家が現場で虐待するなんてあり得ないだろう」って(笑)。このストーリーの発想は素晴らしいなと思って。普通考えてもやらないでしょ。



岩田:50歳過ぎの人が発想する映画の発想ではないですよね。若い感覚というか。このトークショーは元ネタ大放談というタイトルになっていますが、実は元ネタといってもそれほど別に元ネタを知っているからどうこうっていうような映画ではなくて、あえて言うならばあらゆる西部劇、ジョン・フォード監督の『捜索者(サーチャーズ)』の物語構造がベースになっています。



三留:岩田くんは観たんでしょ。



「サーチャーズ2.0」場面


岩田:ジョン・フォードの『捜索者(サーチャーズ)』と、コックスの『サーチャーズ2.0』を続けて観ました。『捜索者(サーチャーズ)』は簡単にいうと、家族をインディアンにさらわれたジョン・ウェインが復讐の旅に出るという話。物語構造は完全に『サーチャーズ2.0』と同じなんです。すごく面白かったのは、主人公が独善的な思い込みに縛られて、目的のために爆進するというところが、2作品ともほんとにそっくりで。『捜索者(サーチャーズ)』は、さらわれた家族を発見したときには家族がインディアンに完全に染まっちゃってた。それを知った瞬間に、ぶち殺してやるということになってしまう。それはあり得ないだろうっていうところがあって。あとは、舞台のモニュメントバレーの美しさも見どころなんですけど、『サーチャーズ2.0』もモニュメントバレーの撮影が素晴らしくて。と言っていると、とても真剣な話に聞こえるんですが、実は『サーチャーズ2.0』はコメディなんです。それを知った上で観ていただけると嬉しいですね。この映画の80%は、くだらない映画談義ですし。



写真:『サーチャーズ2.0』より (c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION





三留:映画談義が延々とあるんだけども、たとえばタランティーノ映画での映画談義とは全然違うと思う。


岩田:どこが違うんですかね?


三留:どっちも映画が好きなのはとてもよくわかるんだけども、でもコックスは、そのくだらないことを垂れ流していたり、そこに傍観者がいたりとか。「何をくだらないこと話してるの」って言い切っちゃう。それに、この映画って繰り返し観ると、かなり仕掛けがしてあったりとか、元ネタわかんなくても100%楽しめると思います。わかったらわかったで、また楽しめるっていう。だから、ある一部の映画マニアに向けてつくっているというわけではないんですね。



いまでも健在のインディペンデント・スピリット



岩田:本作には映画の固有名詞や人名がいっぱい出てきますね。



三留:でも、嘘もいっぱい入ってる。



岩田:そうですね。架空の映画タイトルや人名も出てきます。その辺を「これは本物?嘘?」っていうのを考えながら観ていただけると楽しめますね。



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三留:それに、いろんな本物の風景を使っています。9.11以降のアメリカが映っているんです。「奴らを倒し、石油を奪え!」と書かれたステッカーが、車のバンパーに貼ってあったりとか。アメリカ人ではなく、しかもイギリスから遠く離れてしばらく中南米にいて映画を撮っていてというコックスが見たアメリカがはっきり映し出されている。それは皮肉だけでなく、そこで自分も今の生活をしているっていうのが見えてくる。



写真:『サーチャーズ2.0』より (c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION


岩田:復讐の理由もとてもくだらないんですけど、深読みがいくらでもできるという映画ですよね。それに、今回コックスが何に対して怒りの矛先を向けているのか?というところがまた面白い。






三留:これだったのかっていう。それはコックスの映画人生なんだと思う。何回観ても、絶対面白いです。



岩田:映画業界人にとっては涙なしでは観れないような部分もあったり。でも、コックスとロジャー・コーマンがこういう今のシネコン文化が席捲する映画業界に対する皮肉の効いた映画をつくったのがすごいと思いますね。若い映画作家は一体何をやっているんだ!という声が聞こえてきますよ。



三留:ロジャー・コーマンって80歳超えてるでしょ。実は、この映画はお金がとってもかかってないそうです。だけど見せ方のプロだなって。お金かけなくてもちゃんとつくれるっていう。



岩田:きちんとインディーズ映画なりのソフィスティケイトがなされています。



三留:10人くらいの少ないクルーでつくったんですよね。



岩田:それこそインディーズ魂ですね。



三留:そういう意味では、久しぶりにコックスの映画を観たっていう感じがしました。やっぱり待っていてよかった。



岩田:濃度100%コックス映画ですね。僕たちが見たかったものをようやく見せてくれました。最後に、コックスの次回作が『レポチック』というレポマンの女性版があるらしいですね。



三留:メインのキャスト以外は出演するって聞いてます。



岩田:撮影がそろそろ始まるみたいで。『サーチャーズ2.0』がヒットした暁には、日本でも是非公開してほしいですね。






【PROFILE】

■三留まゆみ(みとめ・まゆみ)

イラストライター/映画評論家。デス・コード・ジャパンCEO。

公式サイト



■岩田和明(いわた・かずあき)

79年生まれ。『映画秘宝』編集部所属。

映画秘宝・洋泉社公式サイト








『サーチャーズ2.0』

アップリンクX、吉祥寺バウスシアターにて絶賛公開中



監督・脚本・編集:アレックス・コックス

エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン

出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン

2007年/アメリカ/96分

提供:JVCエンタテインメント 配給・宣伝:アップリンク



【公開記念トークショー開催】

★1月30日(金)21:00の回上映終了後


『サーチャーズ2.0』で読み解く映画業界の「裏」

ゲスト:黒沢清(映画監督)×わたなべりんたろう(ライター 「ホットファズ」公開署名運動主催)



公式サイト



[youtube:0Doh5TNbRd8]




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映画の中で脚本家フリッツ・フロビシャーがモニュメント・バレーで自ら売っていたフリッツ・フロビシャーTシャツ(グリーンブラックグレー)と『サーチャーズ2.0』パンフレットを販売中。



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ALEX COXは帰ってきた! 次はALEX COXの観客が帰ってくる番だ!! トークイベント連続開催! 三留まゆみ×岩田和明(映画秘宝) 黒沢清×わたなべりんたろう(ライター) http://www.webdice.jp/dice/detail/1216/ Thu, 15 Jan 2009 11:50:15 +0100
アレックス・コックス監督 (c)2008 bamboo boy


パンクムービーの鬼才アレックス・コックスとB級映画の帝王ロジャー・コーマンが放つ、痛快オフビート・コメディ『サーチャーズ2.0』の公開を記念して、アップリンクでトークイベントが開催される。1月24日(土)は「『サーチャーズ2.0』が100倍楽しめる元ネタ大放談!」と題して三留まゆみさん(イラストライター)と岩田和明さん(「映画秘宝」編集部)、1月30日(金)は「『サーチャーズ2.0』で読み解く映画業界の“裏”」と題して黒沢清さん(映画監督)とわたなべりんたろうさん(ライター)がトークを繰り広げる。

映画通から多大な支持を得ているアレックス・コックスを直撃した2009年一発目のQ&Aをご紹介!





アレックス・コックス監督Q&A




Q:クリスマスとお正月はどう過ごしましたか? 現在お住まいのオレゴンの新年はどんな感じですか?



「クリスマスも正月も家でワインを飲み酔っ払いました。パエリアを食べました。家の外では約1メートルの雪が積もり、木々を被い尽くしています。地元の消防士が道の雪かきをしてくれたので1月5日にはLAに旅立てそうです。その前にまた降らないと良いのですが!」



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Q:人々はあなたを最良の意味で「パンク」な映画監督として捕らえています。来日中のインタビューを拝見しているとあなたはそう見られる事に辟易していたようですが、本当のパンク・ムーブメントが持っていた精神に衝撃を受けた『サーチャーズ2.0』サポーターの40代代表としては、その後それが形骸化した事を知っていながらもやはり誇りを持って自らを「パンク世代」と呼びたいと思います。その運動の当事者であった監督がその後も常に賢く、誠実に、情熱を持って驚くべき娯楽映画を撮り続けている事に励まされています。もし「パンク」が死んでしまった言葉ならその精神を受け継いでそれにとって代わる言葉はなにかありますか。



写真:『サーチャーズ2.0』より (c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION


「当時のパンクが持っていたカタにはまらず自分自身の芸術を創造するという考え方には敬意を表しますがもうそれは過去のものです。パンクもまたシュールレアリズムやダダイズムの様に最初はよき運動でありながら後には流行語やお高い美術品に成り果てたのです。

反資本主義で芸術、自然を大切にする<緑>の運動は今最も希望を持てる斬新な第三の道だと思います。この考え方なら犬猿の中であるパンクとヒッピーを結びつけ、1970年代の都会の裏通りからもっと大きな世界の街へ、郊外へ、山へ、海へと踏み出す事が出来ます。これは変革の為への絶好のチャンスです。…多分最後のチャンスです」






(インタビュー:バンブー・ボーイ)







『サーチャーズ2.0』

アップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティにて絶賛公開中



監督・脚本・編集:アレックス・コックス

エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン

出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン

2007年/アメリカ/96分

提供:JVCエンタテインメント 配給・宣伝:アップリンク



【公開記念トークショー開催】

★1月24日(土)21:00の回上映前


アレックス・コックス映画入門 『サーチャーズ2.0』が100倍楽しめる元ネタ大放談!

ゲスト:三留まゆみ(イラストライター/映画評論家)×岩田和明(「映画秘宝」編集部)



★1月30日(金)21:00の回上映終了後


『サーチャーズ2.0』で読み解く映画業界の「裏」

ゲスト:黒沢清(映画監督)×わたなべりんたろう(ライター 「ホットファズ」公開署名運動主催)



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アレックス・コックス監督来日レポートPart2 中野ブロードウェイで「サブカル・ミステリー・ツアー」 http://www.webdice.jp/dice/detail/1202/ Wed, 07 Jan 2009 14:23:58 +0100

「奇跡の一夜、ALEX・COX in 中野ブロードウェイ」

加瀬修一(ライター/レコミンツSIDE-Bスタッフ)



それは偶然。いや、必然だったんだと思う。その日、2008年10月21日。職場で書類の整理をしていたら、試写状を見つけた。僕宛ではない。アレックス・コックス監督の新作『サーチャーズ2.0』。以前アップリンクの石井さんから、噂は聞いていた。これかー、公開はいつからだろうと裏を見ると、監督来日、11月17日の試写でQ&Aありの文字が。心の目盛りがグッと上がった。パッと頭に浮かぶ。アレックス・コックスを中野ブロードウェイに呼びたい!周りは誰も実現できると思っていなかった。でも僕は、根拠は何も無かったけれど、できる!と思った。何故って?死ぬほど会いたいから!!

すぐ石井さんにメールした。この時すでに来日まで一ヶ月を切っていた。ここから奇跡が始まる。



■インディペンデントな場所に呼びたい!



石井さんもすぐに打ち合わせの時間を取ってくれた。企画のあらましは28日にほぼ決まる。あっと言う間だった。その場で試写状を頂き、翌々日の試写で初めて『サーチャーズ2.0』観る。面白い~っ!!オフビートでブラックでもの凄く自由。監督のぶれることのない価値観。この映画は、既存の枠組みを撃ち砕く弾丸だ。アレックス・コックスのパンク・スピリッツ健在!!目盛りがまた一つ上がる。企画のハードルも上げる。



ロックとサブカルが渦巻く中央線沿いにある「中野ブロードウェイ」。インディペンデントなこの場所に、インディペンデント・スピリットを持ち続けるアレックス・コックス監督を呼びたい。ガイドは僕がやります。3、4階を散策して、締めくくりにDVD専門店レコミンツSIDE-Bで、先行上映イベントのチケット購入者限定サイン会っていうのはどうでしょう?ガイドもサイン会もやった事など一度も無い。おまけに僕はNO Englishだ。勢いだけの滅茶苦茶な企画とスケジュールを、石井さんがフォローしてくれた。



フライヤー


あとはギリギリまでやるしかない。手書きでPOPを書きまくった。メールや電話をしまくった。協力してくれる人くれない人、全てをひっくるめて走り出した。まずは店内に監督のイラストを飾りたい。でっかく引き伸ばして。知り合いのイラストレーターに持ちかける。興味があったらでいいんだけど、一週間でアレックス・コックスのイラストを描かない?無理ならいいんだけど。彼は乗ってきた。できたイラストは、後に監督も大満足の仕上がりだった。スチールカメラマンもプロがいいな。お世話になっている映画芸術の福田さんに相談する。すぐ何人か当たってみます。と言われてから2日待つ。良い人いましたよ~、と矢吹さんを紹介される。本番4日前だった。





ここまで来ると、どんどん人と人とがつながり始めていた。イメージが一気に具現化して行く。加速する。石井さんから、監督無事に来日しましたと連絡。ホッとするも、いよいよ時近し。準備も最終段階。目盛りはとうにレッドゾーンに入っていた。






■「中野はビールを飲むところはありますか?」



11月17日。監督の歓迎パーティーに顔合わせも兼ねて呼んでいただく。『リベンジャーズ・トラジティ』DVD特典のTシャツを着て気合いを入れる。会場につくと、監督の姿が!当然だけど普通にいる。おぉ、背が高い。嬉しさと緊張で、テンションがおかしくなる。いざ、挨拶の瞬間。○*#&%&$…。上手く言葉が出てこない。石井さんが紹介してくれる。頷く監督の笑顔が素敵だ。「明日は楽しみましょう。よろしく」そう差し出された大きな手。握り返すとこちらの緊張もほぐれてきた。こちらこそ、よろしくおねがいします!



アレックス&加瀬


写真:ライターの加瀬氏(左)とアレックス・コックス(撮影:中平一)


「中野はビールを飲むところはありますか?」たくさんあります。「良かった、一緒にビールを飲みましょう」はい、楽しみにしています。Tシャツに気づく監督。「リベンジャーズ・トラジティだね!」今日着なくていつ着るんだと思って着てきましたと、健さんよろしくもろ肌脱ぐ勢いで、ジャケットを捲って背中のロゴを見せた。「エクセレント!!」おっ、喜んでもらえたかな。そして持って行った本「e/m booksアレックス・コックス」にサインをお願いする。監督の映画作りがどういうものか知りたくて、この本を何度も読みました。「ありがとう。うれしいよ」中の写真を見て、「ビールを飲んでて、ちょっと酔っている顔だね」と笑う監督。「この次に300ページくらいの本を出しているんだけど、まだ和訳されてないんだ」そうなんですか、日本版が出版されるのを待っています。「(通訳さんに)彼が暇な時にちょっとやってくれればいいんだ」是非明日から、お願いします!みんなで笑った。






■中野ブロードウェイでジョー・ストラマーのDVD購入



11月18日。ついに中野ブロードウェイにアレックス・コックスが来る。18時に中野サンプラザ前で待ち合わせ。中野通り沿いに立つ監督の姿、一瞬現実感を無くす。夢じゃない。大きく息を吸い込む。これから短くも熱い「サブカル・ミステリー・ツアー」が幕を開ける。監督、Let’s Goです!「よし!行こう」





アレックス・コックス中野ブロードウェイ




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アレックス・コックス04

アレックス・コックス03




中野ブロードウェイを散策するアレックス・コックス



中野ブロードウェイに着くと、直通エスカレーターで3階まで一気に上がる。漫画やショーケースのおもちゃ達を興味深気に見つめる監督。CDショップの前まで来ると、噂を聞きつけたファンが待ち受ける。気軽にサインや写真撮影に応じる監督。昨夜もそうだった。妙な取り巻きはいない、物腰はやわらかで優雅、常に気遣いとユーモアを忘れない。そして笑顔が最高に素敵なのだ。監督のジェントルな姿勢には、本当に感動させられる。CDショップでは、亡き親友ジョー・ストラマーの『レッツ・ロック・アゲイン』のDVDをお買い上げ。「これはいい作品だよ」買います!!そのあとも、髑髏グッズやミニカーを眺めながら、終始穏やかな笑顔をみせてくれた。



アレックス@中野


監督が次回作の撮影機材を探していると聞いていたので、4階のフジヤエービックプロショップへ案内する。ここでは監督の表情が一変する。真剣な眼差しで機材を見つめ、デモ機を手に取り、細かに通訳さんに確認しながら質問を繰り返す。答える店長の長谷川さんも真剣だ。その監督の姿に、撮影現場の様子を垣間見た気がした。






■BGMはゴジラ!「いい曲だよ!」



ついに締めくくりのサイン会。集まったファンの拍手に、照れながらおどけてみせる監督はチャーミング。ここに至っては、僕も完全に目盛りを振り切ってしまっていたので、ブースでの立ち位置を間違っている。通訳さんを間にしなければいけないのに、監督に寄り添ってしまった。ただその時は全く気づいてなくて、ただただ嬉しかった。





アレックスサイン会


「さあ、始めよう!」一人一人丁寧に声をかけ、ファンの名前を間違えないように、スペルをメモで確認する。最後は笑顔で握手。緊張していたファンも顔がほころぶ。監督BGMわかりますか。「もちろん!ゴジラだ。いい曲だよ!」店のボルテージは最高潮に達した。監督は、タイトなスケジュールできっと疲れているはずなのに、そんな素振りは微塵も感じさせない。自分がすべき事を知っている。笑顔は笑顔を呼び力を生む。

闘いつづけているからこその強さと柔軟さ。その懐の深さに僕だけじゃない、みんなが魅了されていた。やがて終りの時。湧き上がる拍手。監督、本当にありがとうございました。「こちらこそ、本当にありがとう」握手をした手は一段と大きく感じた。




約束通り、打ち上げはビールで乾杯。ごめんなさい。そこで話した事は、僕の胸にしまっておかせて下さい。一つだけ、監督の言葉を紹介します。

「人生は先に何があるかわからない。だから肩の力を抜いて行こう」

それは監督やゲストではなく、人生の先輩からの一言だった。ずっしりと心に響いた。



タクシーで帰るアレックス・コックス監督の姿を見送りながらふと思った。

これは夢じゃないか。いや、夢ではないけれど、奇跡だ!






(文:加瀬修一/写真:矢吹健巳)





『サーチャーズ2.0』

2009年1月10日(土)よりアップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティにてロードショー



監督・脚本・編集:アレックス・コックス

エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン

出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン

2007年/アメリカ/96分

提供:JVCエンタテインメント 配給・宣伝:アップリンク



初日限定、特別併映あり!

『アレックス・コックス・イズ・バック』(約20分)


2008年11月に来日したアレックス・コックスに密着したドキュメンタリー。単独取材、横浜、東京で行ったイベントなどを通して彼の溢れる映画愛、ハリウッド・映画業界に反抗し続ける生き様、貫き続けるインディペンデントスピリッツの原点を探る。田口トモロヲ、永瀬正敏などにも取材を行い、アレックス・コックスの人物像に迫る。

・渋谷アップリンクX:1月10日(土) 13:00~/21:00~

・吉祥寺バウスシアター:1月10日(土) 21:15~

・横浜シネマジャック&ベティ>:1月10日(土) 20:00~



公式サイト



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アレックス・コックス監督来日レポートPart1 「これは凄いことになったぞ!!」 http://www.webdice.jp/dice/detail/1161/ Wed, 24 Dec 2008 11:59:12 +0100
写真:吉祥寺バウスシアターでおこなわれた田口トモロヲ氏(左)とアレックス・コックス監督のトークショー


アレックス・コックス監督と過ごした3 Days

ライター/翻訳家 小林真里



十数年前、当時大学生だった僕が、深夜なにげなくTVで観た『レポマン』が、アレックス・コックスとの最初の出会いだった。この映画に込められたパンク精神は、この独特のユーモアは一体なんなんだと、衝撃を受けると同時に深く感動した。イギー・ポップの主題歌が、暫くの間、頭から離れなかった。その数年後には、リバイバル上映された『シド&ナンシー』を観て、再び激しく心を揺さぶられたものだ。そして今年、アレックス・コックス監督は、6年ぶりの新作『サーチャーズ2.0』を引っ提げて戻ってきた。相変わらずの風刺と批判精神とパンク・スピリットが込められた、らしい作品だった。アレックス・コックス節は健在だった。



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その新作を観た一ヶ月後。宣伝を担当されていたアップリンクの石井さんから、アレックス・コックス監督が来日し、『サーチャーズ2.0』の先行上映イベントを吉祥寺と横浜でやるので、そのときのトークショーの司会進行をやってくれないかというオファーをいただいた。しかも、ゲストは田口トモロヲさんと永瀬正敏さんという、監督に縁のあるお二人だ。司会業なんてやったことなかったが、こんな貴重な機会は滅多にあるもんじゃないし、なにがなんでもやらねば!と、躊躇なく、是非やらせてくださいと返事をした。これは凄いことになったぞ!!この日は、興奮してアドレナリンが体中を駆け巡り、夜眠れなかった。



写真:『サーチャーズ2.0』より (c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION





■11月16日(日)

アレックスと初顔合わせ 「やばい、興奮してきた」



アレックス・コックス来日



夜、石井さんから連絡が入った。アレックス監督が無事来日し、渋谷でディナーをするので、顔合わせのためにも是非ご参加くださいというお誘いだった。アップリンク前で石井さんや提供元JVCの安藤さんらと落ち合い、ホテルに監督を迎えに行く。やばい、興奮してきた。頭の中でイギー・ポップの曲が鳴り響いていた。そして遂に対面した監督の第一印象は、顔が小さくて長身、しかも笑顔が素晴らしい、なんてジェントルで物腰がエレガントな人なんだ!というものであった。




ホテルそばのレストランに移動し、食事そっちのけで監督のトークに耳を傾ける。ジョー・ストラマーとの初めての出会いは『シド&ナンシー』製作中の、あるパーティのトイレだったという話。次回作となる『レポマン』の続編、『Repo Chick』についても色々と教えてくれた(「列車」「おもちゃ」がキーワードとなる、CGを多用した作品になるよetc)。さらに穏やかな口調でオバマ政権については懐疑的な見解を示し、笑顔ながらも時折痛烈なコメントを繰り出し、変わらぬパンク的な資質を垣間見せてくれてゾクゾクした。そして、石井さんがトークショーのゲスト2人の名前を告げると、「エクセレント!」と顔をくしゃくしゃにして喜んでいたのがとても印象的だった。アレックスは長旅の疲れを一切見せず、結局晩餐は2時間半にも及んだ。なんてアメイジングな時間を過ごしたのだろうかと興奮に酔いしれながら、この夜もなかなか寝付けなかった。






■11月21日(金)

バウスシアターで先行上映 「安堵と興奮で気分はハイに」



先行上映イベント初日の会場は、吉祥寺のバウスシアター。アレックスと田口トモロヲさんの話を一番間近に見られるという幸運に感謝しつつ、エキサイトしながら吉祥寺に到着。劇場の控室で田口さんとご対面しお話を聞いていると、アレックスとの再会と、この日のトークショーを心底楽しみにしていたのだという想いがひしひしと伝わってくる。アレックスが到着し、田口さんと再会を喜び合っている姿は、なんとも感動的だった。




トークショーが始まり、最初の出会いや過去に一緒に仕事をしたときの話を中心に、二人が絶妙の掛け合いを見せてくれる。エンターテイナーである田口さんのユーモアに満ちたトークに、自分もいちオーディエンスであるかのように笑ってしまった。田口さんを主役に想定してアレックスが既に脚本を書き上げたという、『カワサキカラスとガキ』の製作が早く実現することを祈らないわけにはいかなかった。あっという間に40分弱のトークショーが終了。あまり緊張することなく、とりあえず無事役目を果たせたという安堵の気持ちと、二人の刺激的なトークを目の前で聞けたという興奮でハイになっていた自分がいた。





小林×アレックス・コックス


その後、近くのアジアン居酒屋で打ち上げ。この日もアレックスの隣で興味深い話の数々を拝聴した。『ラスベガスをやっつけろ』は、当初アレックスが監督するはずで脚本も書いたのだが、テリー・ギリアムにその座を奪われてしまったという。完成した映画は観たの?と尋ねると、「いや、観てない。でも僕が撮ってたら、もっと面白い作品が完成していたはずだ」と笑いながら語っていたが、目は真剣だった。他にも、ハリウッドの映画ビジネスがいかにマフィアと密な関係にあるのかという裏話や、書き上げた脚本が40本近くあり、そのうちの半数は既に売れたという話を次から次へと披露してくれて、前日以上の興奮に酔いしれる。



写真:小林真里氏(左)とアレックス・コックス監督




0時前に店を出て、井の頭線の終電に乗り、アレックスらと一緒に帰路につく。アレックス・コックスと一緒に電車に乗る日が来るとは、なんともシュールな気分だった。






※横浜シネマジャック&ベティで行われたイベントレポートを含む全文章は、劇場で販売するパンフレットに収録されています。





『サーチャーズ2.0』

2009年1月10日(土)よりアップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティにてロードショー



監督・脚本・編集:アレックス・コックス

エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン

出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン

2007年/アメリカ/96分

提供:JVCエンタテインメント 配給・宣伝:アップリンク



初日限定、特別併映あり!

『アレックス・コックス・イズ・バック』(約20分)


2008年11月に来日したアレックス・コックスに密着したドキュメンタリー。単独取材、横浜、東京で行ったイベントなどを通して彼の溢れる映画愛、ハリウッド・映画業界に反抗し続ける生き様、貫き続けるインディペンデントスピリッツの原点を探る。田口トモロヲ、永瀬正敏などにも取材を行い、アレックス・コックスの人物像に迫る。

・渋谷アップリンクX:1月10日(土) 13:00~/21:00~

・吉祥寺バウスシアター:1月10日(土) 21:15~

・横浜シネマジャック&ベティ>:1月10日(土) 20:00~



公式サイト



[youtube:0Doh5TNbRd8]
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映画への「愛」がたっぷり、映画バカのつくるバカ映画だ!『サーチャーズ2.0』クロスレビュー http://www.webdice.jp/dice/detail/1130/ Fri, 12 Dec 2008 20:45:06 +0100
『サーチャーズ2.0』より (c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION


『レポマン』『シド・アンド・ナンシー』の鬼才アレックス・コックスが帰ってきた。5年ぶりとなる新作『サーチャーズ2.0』は自身が愛するウエスタン/マカロニ・ウエスタンのスタイルを通して描くオフビート・コメディだ。



アレックス・コックス


「マカロニ・ウエスタンの影響が見られるのは、対決の場面だと思う。その構造は、セルジオ・レオーネのほとんどの映画のフィナーレとよく似ている。特に『続・夕陽のガンマン』では、3人の男のいわば“アパルトヘイト(分離)”が描かれている。でもこの映画では、21世紀の現代だから4人の間のアパルトヘイトを描こうと思ったんだ。女性も入れた。もっと面白くなるからね」



インディペンデント製作にこだわり、ジャンルムービーにしたことにも意図があるとアレックス・コックスは語る。
「私が興味を持っているのは、我々欧米の文化が資源を巡る大国と交戦状態に入っているということなんだ。それが理由でアメリカはイラク戦争を起こし現地に足がかりを作った。だから、そういう映画をハリウッドで作ることは不可能だ。そこで、そういう問題を議論できるような話をひとつのジャンルの中で描くことにした。ジャンル映画ならそれも許される。観客を楽しませている限り、少々の政治的メッセージや議論は許されるんだ」









『サーチャーズ2.0』

2009年1月10日(土)よりアップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティにてロードショー



監督・脚本・編集:アレックス・コックス

エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン

出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン

2007年/アメリカ/96分

提供:JVCエンタテインメント 配給・宣伝:アップリンク



初日限定、特別併映あり!

『アレックス・コックス・イズ・バック』(約20分)


2008年11月に来日したアレックス・コックスに密着したドキュメンタリー。単独取材、横浜、東京で行ったイベントなどを通して彼の溢れる映画愛、ハリウッド・映画業界に反抗し続ける生き様、貫き続けるインディペンデントスピリッツの原点を探る。田口トモロヲ、永瀬正敏などにも取材を行い、アレックス・コックスの人物像に迫る。

・渋谷アップリンクX:1月10日(土) 13:00~/21:00~

・吉祥寺バウスシアター:1月10日(土) 21:15~

・横浜シネマジャック&ベティ>:1月10日(土) 20:00~




公式サイト



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アレックス・コックス来日中!「お金にならなくても映画を撮るのが好きなんだ」 http://www.webdice.jp/dice/detail/1076/ Tue, 18 Nov 2008 20:41:07 +0100

『レポマン』(84)や『シド アンド ナンシー』(86)などの作品によって、カルト映画界屈指の映画作家として名高いアレックス・コックス監督が笑顔で試写会場に登場し、来日の喜びを語った。



「日本に来るのは6年ぶりで、いつも楽しみにしています。前回は『私立探偵 濱マイク』の撮影で横浜に滞在していたけど、僕の出身のイギリスと日本は似ていると思っています。イギリスも日本も保守なものを残している場所だし、最近知ったんだけど日本はオカルトやお化けが好きでしょ(笑)。イギリスと似ていて親近感がありますね」



アレックス・コックスQ&A


アレックス・コックス監督Q&A


※一部ネタバレとなりますのでご注意ください



Q:本作はネットで出資者を募ったそうだが、その経緯は?


「ネットで出資者を募っている人がいることを知って、自分もやってみようと思ったんです。結局、最終的には集まらなくて、エグゼクティブ・プロデューサーのロジャー・コーマン、BBC、ビクターの協力によって制作することができたんだ。ネットで出資者を募って成功した人はいるのかな?バンドやミュージシャンならあり得るだろうけど、映画は難しいだろうね」



Q:今回、フィルムではなくビデオで撮影したのはなぜ?


「長い間、ビデオで撮影するのは拒んでいたんだけど、物語をつくっていくところではビデオの良さがありました。私自身、時代に乗り遅れていたかもしれないですね。ロジャー・コーマンが35ミリを貸そうとしてくれたんですが、コンパクトなものを使って早く撮影を進めたかったのでビデオを使用しました。ビデオの利点は安くコストをおさえられ、編集もすばやくできますが、デメリットはビデオの規格がバラバラすぎて上映のときが大変です。でも、フィルムもビデオも良いところと悪いところを知った上で使えばよいかと思います」






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『サーチャーズ2.0』より (c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION


Q:チャールズ・ブロンソンとクリント・イーストウッド、どっちが好き?


「どっちかといえば、ブロンソンが好きかな。イーストウッドは…素晴らしい監督であり俳優であると言わないといけない雰囲気があるけど、いいとは思わないね(笑)。復讐劇ではジャン=ルイ・トランティニャンが好きです」



Q:映画制作において監督を突き動かしているものは?


「私はただ映画をつくることが好きなだけなんです。お金にならなくてもね。さまざまなところで知り合った人たちと仕事をすることが楽しいんだ」



Q:本作では映画談義のシーンがたくさん出てくるがその意図は?


「この映画は“俳優”についてのドラマです。私は俳優をやっていたこともあるのでわかるのですが、俳優業界の中では演技の仕方など映画トークが永遠に止まらないんです。それを表現しました」



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Q:俳優が脚本家を復讐するという設定にしたのはなぜ?


「ハハハ。バカらしいから(笑)。面白いかなと思っただけ」



Q:部屋にあったウェスタンのポスターは監督の持ち物?


「ロスにいる友人の持ち物で、家を撮影場所に借りたんです。まず、インディーズ映画の鉄則として、友人を撮影に関わらせること、絶対に現場にあるものを壊さないこと(笑)」







Q:ニカラグアでサンディニスタ政府と共に反帝国主義映画『ウォーカー』(87)を制作してアメリカ批判をしているが、そこでの経験が本作にも影響されているのか?


「本作は『ウォーカー』に出演していた俳優が出ているので同じようにも感じるだろうが、『ウォーカー』が本作にリンクしていることはないです。独立した作品だと思っています」




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Q:架空の著作権協会が出てくるシーンがあるが、それは監督が誰かに対する復讐なのか、単なるバカバカしい設定なのか、あるいはその両方なのか、どういった意図があるのか?


「著作権は大企業によって守られているからインディーズ映画が殺される。それの警鐘として自分の反発心があったんです。今まで著作権法は一定の期間だけ守られていたのに、延長されてしまい永遠に著作権が守られるかもしれないといったバカらしいことになってきています。クロサワ映画などの巨匠作品はどんどん活用するべきなのに、著作権法によって文化活動が邪魔されていますよね」



Q:低予算でありながら空撮のシーンがありますが、あれは本物?合成?


「空撮映像はCGです。友人がプレイステーション用につくったヘリコプター映像があったから、それを使ったんだ(笑)」



11月21日(金)・22日(土)は、『サーチャーズ2.0』の先行上映会を開催。アレックス・コックス監督と豪華ゲストによるトークをおこないます。乞うご期待!










監督来日記念 トークイベント付『サーチャーズ2.0』先行上映会


日時:2008年11月21日(金) 開場20:30/開映20:45

会場:吉祥寺バウスシアター

ゲスト:アレックス・コックス×田口トモロヲ

料金:1,800円



日時:2008年11月22日(土) 開場18:30/開映18:45

会場:横浜シネマジャック&ベティ

ゲスト:アレックス・コックス×スペシャルゲスト

料金:1,800円



★前売り券は、バウスシアター、ジャック&ベティ、アップリンクの各劇場で購入できます。定員に達し次第チケットの販売は中止いたします。



『サーチャーズ2.0』公式サイト






『サーチャーズ2.0』

2009年1月10日(土)よりアップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティにてロードショー



監督・脚本・編集:アレックス・コックス

プロデューサー:ジョン・デイビソン

エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン

出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン

2007年/アメリカ/96分

提供:JVCエンタテインメント 配給・宣伝:アップリンク

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パンクムービーの鬼才アレックス・コックス来日! 豪華ゲストに田口トモロヲら新作『サーチャーズ2.0』プレミア上映11/21より http://www.webdice.jp/dice/detail/1056/ Thu, 06 Nov 2008 20:44:50 +0100
アレックス・コックス監督 (c)Kazuko Wakayama


アレックス・コックス待望の新作『サーチャーズ2.0』は、早撮り&超低予算で400本以上もの映画をプロデュースし「B級映画の帝王」の異名を持つロジャー・コーマンと手を組み完成させた、破壊力抜群のオフビート・コメディだ。来年1月の公開に先駆けアレックス・コックスが来日し、先行上映会を東京と横浜で行う。ゲストにはアレックス・コックスが最も愛する俳優田口トモロヲなど豪華なメンツが揃う。






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タランティーノのガレージ感覚、マイケル・ムーアが持つ批評眼の先駆け的存在アレックス・コックス。5年の沈黙を破り完成させた新作は、彼ならではのインディペンデントスピリッツ溢れる方法で作られた。

『サーチャーズ2.0』の企画はアレックス・コックスの公式HPサイト「alexcox.com」の中で正式に発表され、出資を募った。そこにはいくつかの金銭的条件とともに一風変わった条件も書き記してあった。 “俺(アレックス・コックス)の代りにテリー・ギリアムを起用しないこと”“キャストとクルーは全員が同じ給与をもらい、利益の一部をともに分け合う”というものだった。






ある大物プロデューサーはこの脚本を読み「この映画を作ろう。予算は350万から500万ドルで、ビル・マーレイとチーチ・マリンをキャスティングする」と提案してきた。しかしアレックス・コックスは「ロス・アンジェルスに住む億万長者の俳優を2人キャスティングし、ホームレスのふりをさせても腹が立つだけだ」とその話を断った。「低予算で作る映画の大きな長所は、監督が俳優やクルーと直接仕事ができることである。もし仮に金額的に余裕のある予算が組める場合には、必ず妥協する点が出てくる。それがキャスティングだ」とも語った。



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インディペンデントでの製作にこだわったことと、名匠ジョン・フォードの『捜索者-The Searchers』のロケ地モニュメント・バレーで撮影し、マカロニ・ウエスタンの匂いをつけたのには、意図があったとアレックス・コックスは語る。

「映像作家は、伝えるべきストーリーのためにジャンルを利用することが出来ると思う。僕が興味を持っているのは、我々欧米の文化が、資源を巡る大国と交戦状態に入っているということなんだ。それが理由でアメリカはイラク戦争を起こし、現地に足がかりを作った。だから、そういう映画をハリウッドで作ることは不可能だ。そこで、問題を議論できるような話をひとつのジャンルの中で描くことにした。ジャンル映画ならそれも許される。観客を楽しませている限り、少々の政治的メッセージや議論は許されるんだ」






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また本作でマカロニ・ウエスタンの影響が特に顕著に見られるのは対決の場面である。

「『続・夕陽のガンマン』では、3人の男のいわば「アパルトヘイト(分離)」が描かれている。でもこの映画では、21世紀の現代だから、女性も入れた4人の間のアパルトヘイトを描こうと思ったんだ。もっと面白くなるからね。それに、大勢が殺されるようなバイオレントな映画も好きだけれど、誰も殺されないように作るのも面白いだろうなと思ったんだ。ひどい目にあっても、どうにかして全員が生き残る、そういう映画だ」とアレックス・コックスは語る。






『レポマン』『シド・アンド・ナンシー』でハリウッドを登りつめた男が今は、ハリウッド映画産業のシステムに組み込まれない彼独自のやり方、インディペンデントで実験精神溢れる自由なスタンスで映画を撮り続けている。吉祥寺では田口トモロヲ、横浜ではまだ公表できないがスペシャルゲストが登場予定、スタイルではない態度としてのパンクを体言するアレックス・コックスのプレミア上映会は、映画ファンならずとも見ていただきたいイベントだ。



本文中の写真はすべて(c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION





監督来日記念 トークイベント付『サーチャーズ2.0』先行上映会


日時:2008年11月21日(金) 開場20:30/開映20:45

会場:吉祥寺バウスシアター

ゲスト:アレックス・コックス×田口トモロヲ



日時:2008年11月22日(土) 開場18:30/開映18:45

会場:横浜シネマジャック&ベティ

ゲスト:アレックス・コックス×スペシャルゲスト



>>>>>>前売り券は、バウスシアター、ジャック&ベティ、アップリンクの各劇場で購入する事ができます。



『サーチャーズ2.0』公式サイト






『サーチャーズ2.0』

2009年1月10日(土)よりアップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティにてロードショー



監督・脚本・編集:アレックス・コックス

プロデューサー:ジョン・デイビソン

エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン

出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン

2007年/アメリカ/96分

提供:JVCエンタテイメント 配給・宣伝:アップリンク

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