骰子の眼

東京都 その他

2008-10-14 18:00


国立で『平和・環境』を考える!なぜ国立は市民活動が盛んなのか?”PEACE NOT WAR JAPAN” インタビュー

現在の受動的盲目的な飼い慣らされた情報のキャッチの仕方を変えていきたい。
国立で『平和・環境』を考える!なぜ国立は市民活動が盛んなのか?”PEACE NOT WAR JAPAN” インタビュー
yoshie氏によるベリーダンスショー

先月の9月20日から28日まで9日間、国立周辺のあちこちで、平和と環境を考える多種多様なイベント”ピースウィークinくにたち”が開催された。国立で数々の音楽イベントやダンスイベントを行ってきたライブハウス地球屋では、期間中4日間、様々なジャンルのミュージシャンや落語などの催し物を取り入れたチャリティー音楽イベントが開催された。開催中の4日間は、ベリーダンスやレゲエ、ジャズ、ワールドミュージックなどから豪華なアーティストが出演し、多くの音楽好きに加え平和活動に意識のある人達が詰め掛けた。

入場料2,000円の25%を4つの市民団体に寄付するという仕組みで団体名はストップ六ヶ所(六ヶ所村の核燃料再処理工場を止めようとしている市民運動)、ヘリパッドなんかいらない市民の会(沖縄のやんばる地域で、米軍の建設による環境破壊を止めようとしている市民運動)、Collateral Repair Project (イラク難民の援助をしている米国市民の団体)、ピースウィークinくにたちの運営委員会。このイベントを主催したPEACE NOT WAR JAPANの福井浩氏にイベントの内容や主旨に話聞いた。


── 9月20日から9日間、国立を上げて平和活動のイベントが行われてましたが、なぜ、国立はそのような活動が盛んなのですか。

国立はかねてから市民レベル、草の根レベルの平和活動が盛んです。 今では希少な革新市政です。 日の丸・君が代問題や違法マンション問題など、メディアにも取り上げられる機会も多くありますが、おかしいことをおかしいと、理不尽なことを理不尽と、市民が持つ当たり前の権利の上に立って発言しているだけのことです。 もちろんそれらは市民どうしの横の連帯があってのことです。 この街に住むと、自然とそういった平和への意識や感覚が磨かれていくのだと思います。 今回の”ピースウィークinくにたち”もそういった土壌から生まれてきたのだと思います。

── PEACE NOT WAR JAPANの活動を教えてください。

「カルチャーイズピース」という考え方を中心にして、音楽、アート、ファッションなどの文化の持つ力をうまく利用しながら、普段平和というものを意識したことがない人や、情報を持たない人に気付きの場を与えること。 平和、非戦、非暴力のメッセージをイベントなどから発信して、問題意識の入り口に立ってもらうことを後押しすること。 そして、それらの活動を通じて発生させた寄付を、より実践的な平和活動を行っている団体に寄付し、側面的に彼らの活動を支えることによって、世の中に平和的状況を少しでも作りやすくすることです。

福井

── 具体的に形になったものはありますか?

2008年8月に、日本初となるチャリティーCDをDYNASTIC RECORDSより発売しました。現在も、チャリティーCDの制作と販売、今回のようなイベントのオーガナイズ、各平和イベントへの自主的な参加を進めております。 平和な状況で音楽を楽しめる日本にあって、ただお酒を飲んで騒ぐだけでは、音楽が元来持つピュアな力を無駄にしてしまうかもしれません。 音楽から分け与えられる不思議な力を借りて、それを楽しむことが出来る平和的状況を享受しつつ、扮装地域にある人々のことも思い憂いながら、その場に参加し楽しむといった形を作りたいです。 決して急進的な活動ではないかもしれませんし、ある種の矛盾も孕んでいるとは思いますが、まず'気付き'のチャンスを作るという僕らの目的と現在の社会的状況の中では、この方法論は有効であると信じています。

今回のイベントの主旨について語るPEACE NOT WAR JAPANの福井浩氏

── 今回の国立でのイベントも多彩なアーティストが出演されてましたが、どのような経緯で出演してもらったのですか。

コーディネートは僕とキムが行いました。 普段から親しくしていただいているミュージシャンの方々にこのイベントの主旨をお話して、共感いただいてご出演いただきました。 落語の日は、元々地球屋にブッキングされていた落語会に僕らのイベントを組み合わせていただきました。馬楽師匠はじめ、落語会の企画者であるはじめさんのご好意で実現しました。 僕が落語ファンであったこともあり、この日が入ることで文字通り面白味が増しました。

アイリー

── なかなか、あの料金では見られないような、豪華なアーティストも出演されてましたね。やはり、アーティストの方々の平和に関する意識が高かったからでしょうか。

 

もちろんその通りです。

レゲエアーティストAilleによるソロライブ

── アーティストサイドも国立という場所を意識されているんですか。

寿のお二人やリクルマイさんなどはチャリティーCDへも参加いただいてますし、ベン・ケンプさんは先の9条世界会議の僕らの自主企画に参加いただいたアーティストです。 寿やジンタらムータを率いる大熊ワタルさんたちは、数々の平和イベントや座り込み現場などで支援的演奏をなさっています。 今回のイベントが持つ一貫した空気感や雰囲気として意識し目標としたのは、システムを糾弾し政治的なアジテートによって戦争反対を叫ぶようなイベントではなく、あくまでも”ピースウィークinくにたち”という草の根レベルの平和的祭典への参加という意味を大事にした有機的で丸みを持ったものにしようとしたことです。

その目標はある程度達成できたと思いますし、アーティストのみなさんも国立で行われる平和イベントの一貫ということは十分理解していただいていました。 そういった意味では。国立という街を象徴的なものとして捉えていただいていたかも知れません。


寿

── イベントを終えて、何か反響はありましたか。

活動歴20年を迎えた琉球音楽バンド寿によるライブ

4つの市民団体には平等に寄付ができましたし、手応えは十分に感じました。 ただし、もう少し組織的な準備やオーガナイズをしないと、一過性なものとなってしまうという危惧にも気付かされました。 僕らもまだまだ本当に入り口に立ったばかりです。


沖縄

── ライブの間に、沖縄県高江区のヘリパッド問題を扱ったドキュメンタリー『〜やんばるからのメッセージ〜東村高江の記録』の上映や実際に高江で被害にあわれている方のお話は興味深かったと思います。 どういったつながりで、上映をされたのですか?

高江の活動は、地球屋が発足記念の会の場であったという縁もありますが、同じ多摩地区にあり、市民参加の平和的イベントである'立川砂川まつり'において、ボランティアによるブース出展での交流が始まりです。 彼らの「高江の現状を知ってもらいたい」という純粋な行為が、今回の上映に結びつきました。

『~やんばるからのメッセージ~東村高江の記録』上映後、高江のヘリパッド問題の現状を訴える支援者の近藤一郎氏

──ヘリパッド建設反対の為に座り込みをやっているのでしょうか?

現在でも座り込みは行われており、現地の人に加え、東京からも学生ボランティアが座り込みに参加するために沖縄に渡ったりしています。

── PEACE NOT WAR JAPANでは、ワンクリックドネーションという面白い企画を考えているようですが。

まだまだ計画段階というかアイデアの一つです。 幸いに僕の拙い音楽的活動の延長線上にたくさんの素晴らしいアーティストのみなさんとの繋がりがあります。 なかなかCDというアウトプット自体の求心力が弱まっているご時世なので、ダウンロードと同時に寄付が生まれる方法として、なんとか実現していきたいと考えています。 それには、平和的基盤を持ち合わせた企業との連携が必要となるかもしれません。


── PEACE NOT WAR JAPANの最終的な目標、もちろん、「戦争をなくそう」ということだと思うのですが、将来的にどのような過程、形で平和を実現したいですか。

まず、現在のメディアからは流れてこない様々な現実を人々が知ることが出来るようにしたいということがあります。 企業的利潤追求を前提に選択され、あるいは封印された、現在の受動的盲目的な飼い慣らされた情報のキャッチの仕方を変えていきたいです。 現代は他者への興味が不足してしまっています。 それは自分と社会との距離感に現れ、想像力の欠如に繋がり、他者への思いやりを無くしてしまいます。 まずはそこから変えていきたいです。 もちろん僕自身への強い自戒も込めてです。

── 今後も、チャリティーイベントを企画されてますか?

来年4月に代々木公園を借りて新しいオーガニゼイションの協力のもと、まず活動の知名度を上げるためにフェスティバルを考えています。 もちろん新しい寄付の形を伴ったものにするつもりです。 誤解を恐れずに僕らにしか出来ない形の運動にしていきたいと考えています。


peace not war japan

PEACE NOT WAR JAPAN

『カルチャー・イズ・ピース』をテーマに、東京を拠点に、平和と戦争、非暴力による紛争の解決に対する、人々の意識向上を目的に活動するボランティア組織。 2004年にイギリスの組織 Peace Not War と提携して活動を開始。社会的関心をもつアーティストと、平和や社会正義を目ざす日本の団体とが共に手をとる機会をつくり、ネットワークの構築と活動資金の寄付により、草の根の平和運動を支援している。

【関連リンク】

PEACE NOT WAR JAPAN
『〜やんばるからのメッセージ〜東村高江の記録』


キーワード:

国立 / 市民活動 / PEACE / NOT / WAR / JAPAN / チャリティー / Aille / 音楽


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