その昔、六本木には六本木ヒルズができる前に西武が築いた音楽とアートのWAVE城がありました。地下にはシネヴィヴァンというアート系のミニシアターがありデレク・ジャーマンの遺作となった『BLUE』はここで上映されました。
時は過ぎ、パルコの持ち物だったWAVEはタワーレコードに売られ、その次はタワレコが家電量販店ノジマに売り、そして今度は、8月31日にノジマが中古DVDの販売を行う「メディアマーケティングシステム」に、なんと19万円6千円で売却するそうです。
WAVEの今期の赤字は1億8900万円なので、その赤字込みの売却という事でしょう。
民事再生手続き中の青山ブックセンターは、ブックオフが再建の名乗りをあげ、WAVEも中古DVD屋さんが買収。
ライブハウスのクワトロが入っているビルはクワトロ以外全てのフロアがブックオフと古着屋になってオープンしていました。CD、DVDの中古も本や漫画と同じくがんがん売っていました。
渋谷にこんな大型中古屋さんができると若者は新作を定価で買わなくなり、近い未来に新作を販売しているお店にこの影響がボディブローのようにじわじわときいてきて、売上減少が加速されるるはずです。
ようするに、本、CD、DVDといった新作を扱うお店は売上が落ちて大変なのに、お店にすれば利幅の大きい中古市場だけが活性化している現状なのでしょう。
じゃ、新作はどうなるかというと、中古を数百円で買う事に慣れた人たちは、コストを正しく売価に反映した新作は高すぎて買わないということが起きています。
そして、中古市場も結局は大量に売れたCD、DVDが流れて来るだけなので、ブックオフに並んでいるのはメジャーな作品ばかりという状態で、あまりにも文化的に貧しい品揃えの棚です。
CD、DVDの文化状況、経済状況は深刻です。
(テキスト:浅井隆)
【以前アップした記事で、このビルがパルコのビルのように記しましたが、間違いだったので訂正します。パルコは契約が終わり、現在のビルのオーナーは別らしいです、従って、ブックオフと古着屋はパルコのテナントではなく、ビルのテナントという事で、パルコは、クワトロの部分だけを現在借りているという事です。パルコの地下には書店のリブロが入っているので、片方で新刊書、片方で古本、片方でアパレルを片方で古着を販売するなんて、いったいパルコそしてその親会社森ビルは、文化をどう考えているのかと憤った記事でしたが間違いでしたので訂正してお詫びします。リブロは渋谷にブックオフができる事で、万引きなどの警戒をしているということを関係者から聞きました】
2008年9月9日記事に間違いがあったので訂正。
ノジマ、CD販売子会社ウェイブを売却/NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080814AT1D1407D14082008.html
WAVEを買収したメディアマーケティングシステム
http://www.m-m-sys.com/index.html