骰子の眼

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東京都 杉並区

2008-02-26 22:15


3月1日、真の紙芝居王者が決定する!

『紙-1グランプリ』って、なんだ?
3月1日、真の紙芝居王者が決定する!
  • 『紙-1グランプリ』を主催しているマンガ家の三本美治さん

  • 大橋裕之さんのイラスト。どんな紙芝居が出てくるのか楽しみです

  • 決勝に出場するピン芸人のウメさん、注目です

いまや紙芝居といえば古き良き時代のもの…と思いきや、ここに『紙-1グランプリ’08』と題する紙芝居イベントが登場した。敢えてデジタル時代を逆行しているのか!? その思惑とは!? と、思わずいろいろ疑いをかけてしまいたくなる同イベントを主催しているのがマンガ家の三本美治さん。ではでは、お話をきいてみましょう。(題字:三本美治さん)

「紙-1グランプリ」を始めたきっかけは?

川崎ゆきおさんの漫画などを取り扱っている神戸の「幻堂出版」という出版社が、10数人で紙芝居をやる「創作紙芝居ウォーズ」というイベントをやっていて、3年くらい前に僕が呼ばれたんです。そのときに、紙芝居だけでひとつのイベントができるということに感銘を受けて、東京でもできないかなぁと思って。そこで、知り合いの花くまゆうさくさんや堀道広さん、毛皮族や芸人の元気いいぞうさん、車掌というミニコミをやっている編集長さんなど、いろいろなジャンルの人を集めて、昨年第1回目を開催したんです。
いま、紙芝居で食べていける人がいないと思うんです。なので、紙芝居のトップを目指しても仕方がない。M-1なら漫才の究極の形みたいなのはあるけど、「紙-1」は何もないので逆に何が出てくるのかわからないような面白さがあって。勝ちにこだわらない自由なイベントができたらなぁと。今回は、もっと自由なことをやろうと思って一般参加者を募集して、昼に予選(オープン)、夜に決勝大会という2部構成にしました。

第1回目は一般の参加者はいなかったんですね。

前回は、完全に僕が知り合いの人にお願いをして。それもそんなに深い考えではなくて、打ち上げでこの人たちと飲んだら楽しいだろうなぁという感覚で(笑)。でも結局、平日だったのであまり打ち上げに残ってくれる人もいなかった(笑)。

いま、どれくらい応募がきているんですか?

現時点で10人近くの応募があります。僕から誘った人もいて、「アックス」の漫画家の田中六大さん、ライターの若松あやのさん、「クイック・ジャパン」などで描いている漫画家の大橋裕之さんも出場します。一般の方と漫画家さんたちが混じるような感じになります。審査員には神戸の「創作紙芝居ウォーズ」で優勝したエロ漫画家の山井逆太郎さんに来ていただきます。
それと、前回優勝の森元暢之&たらすなさん、準優勝の堀道広さん、3位の花くまゆうさくさんは無条件で招待しています。プラス、R-1グランプリなどに出ている芸人のウメさんと、ぶっ飛んだ絵を描く漫画家のキクチヒロノリさん。あと、もう一人予定しています。で、予選(オープン)から勝ち残った3~4人と合わせて、決勝は10人くらいでやります。

豪華メンバーですね~。

なんか、好きな人はビビっとくるんじゃないかなと。一般的にはどうなのかわからないですが(笑)。何が起こるんだろうというワクワク感があると思います。

一般の人は漫画の経験がなくてもいいんですか?

ええ。なんか、応募者の中には黄金バットの紙芝居をやっていたような、本格的な人もいるようですが(笑)。なんでもありという感じです。僕としては、例えば、「紙」と書いてあるTシャツを着て踊ってくれても全然いいですし(笑)。M-1グランプリをみていて、すごいスポーツ的というか、結果を気にして勝つぞ!みたいなのは、あんまり馴染めない。紙芝居なのにこんなことやってるみたいな、紙芝居というものをテーマに独自の表現をしてほしいと思っています。

優勝者に何か賞品はあるんですか?

心苦しいのですが、基本的に優勝しても何もないので(笑)。一応、決勝大会に出る人には、家の中のいらないものを持ってきてくださいと言ってるんですけど。

それを優勝者にあげると(笑)

前回は、偶然にも2人がバイブを持ってきていて(笑)。そんなもんもらっても迷惑そうでしたけど(笑)。勝ってもなにもないけど、その代わりなんでも自由にやってください、という感じでお願いしています。

第2回目を開催するということは、第1回目で手ごたえがあったということですか?

そうですね。お客さんは、平日のわりには集まってくれて、まずまずの成功という感じがありました。やっぱり、紙芝居を生で見る機会も少ないでしょうし。あと、僕は昔から紙芝居をやっていて、ダイレクトに反応が返ってくるのがすごく良かったんです。しかも、紙芝居をやっている人は少ない。このまま自分ひとりでやっていると縮小化されるというか…自分だけのものにしちゃいたくなるのも嫌だし。みんなでもっと紙芝居をやって、いずれ誰もが紙芝居をやるような…ゆずみたいに路上でとか(笑)。紙芝居とバンドが一緒になってイベントをしたりとか、そんなふうになったらいいなと思って。それのためにやるイベントだという想いもあります。

ちなみに、三本さんはどういう紙芝居を作っているんですか?

僕は、もともと紙芝居アンチみたいなので始めたので、人に見せられないようなものを…ア○パンマンのパロディでパイパンマンとか(笑)。で、梅毒マンというのがいて(笑)。パイパンマンの顔は、毛がないアソコ(=パイパン)みたいになっているという(笑)。そういうのを幼稚園でやったり。

幼稚園で!?大丈夫なんですか、それ(笑)!!!

大丈夫じゃなかったです(笑)。数日前に幼稚園にアポをとって、先に園長先生たちに見せるんですよ。もちろん、普通の紙芝居らしい内容で。当日、体育館で子供たちが並んでいるところで、「さぁお兄ちゃんがやりますよ~」って。その当時、僕は“ドイツ三本”という、軍服姿にスキンヘッドで極悪紙芝居をやっていて(笑)、そんな格好にさすがに先生たちも「あれ?おかしいな」って気付き始めているんですけど、もう紙芝居がどんどん進んでいくわけです。
最初は「古い文化を見直したいから、紙芝居をやり始めた」とかって言っていたのに、当日になったら変な軍服を着て(笑)、フェ○チオがどうのこうのとかって言って(笑)。半分くらい紙芝居が進んだところで、先生が泣きながら紙芝居をバンッ!てたたきつけて「帰ってください!」と(笑)。

ぎゃははははははは~(笑)

そういうことばっかりやってたんですよ、嫌がらせみたいな。でも現在、“ドイツ三本”は昨年末のバンドイベントの紙芝居で封印しました。でも、いまも内容的には変ってないんですけどね。軍服を着なくなっただけで。逆に、普通の格好で毒のある紙芝居をやった方がインパクトはあるかなぁと思ってて(笑)。 実は昨年、この大会に自分でも出場して、最下位になっちゃって。すごいショックを受けて(笑)。今回、僕も出場したいからオープン(予選)を作ったというのがあるんですけどね。僕は一般の参加者として出ます。ほんとに、イチからやり直す気持ちで、がんばって決勝を目指します!

紙芝居を見るお客さんの反応はどうですか?

いやぁ~すごい正当ですね、お客さんは。前回優勝した森元暢之さんは、叙情的というか、ほんとに物語性のあるアーティスティックな紙芝居だったんですよ。ちゃんとしていて。だから僕みたいなのは最下位だった(笑)。お客さんの眼は確かですよね。

では、最後に今回の意気込みなどをお聞かせください。

やっぱり勝ちにこだわるんじゃなくて、紙芝居を使ってどれだけ人がやらないようなことをやるか、というのが根本的にあります。漫画を極めようとしている人たちを誘って、悪い道へ引き込んでいるようなものなので(笑)。結局は、出場者の方々が楽しんでいただくことが一番です。そうすれば、お客さんもきっと楽しいと思います。
それと、昔の「ガロ」のように映像や漫画とかがゴチャゴチャになっていたフリーキーな60年代後半~70年代、そのときの熱気やパワーみたいなものを再現できたらいいなと思います。漫画やお笑いなど、いろいろなジャンルが混ざった空間というか。今回は、何が起こるかわかんないという意味で言うと、一般参加者も混ざっている予選(オープン)が面白いと思いますね。僕は今回、そこに力を入れています。お客さんにとっても、「決勝にいけなかったけど、この人が好き」みたいな、自分が気に入った人を見つける楽しみもあるかと思います。

さて、3月1日に何が起こるのでしょうか。なんだかワクワクしてきましたね。「紙芝居をやりたい!」「日頃のうっぷんを紙芝居にこめる!」など何でも構いませんので、『紙-1グランプリ』に出場したい方はメールでご応募ください。前日2月29日(金)までギリギリ募集しています。

【参加お申込み】
yoshiharusanbon@yahoo.co.jp
※参加の申し込みを頂いた方々には、随時ご連絡いたします(その時点で参加手続き完了となります)。定員により〆切りになる場合があります。


三本美治(みつもと・よしはる) PROFILE

1969生まれ、北海道出身。マンガ家。’91年「ガロ」にてデビュー。著書に「マンガの本」(’97/青林堂)、「順風」(’02/青林工藝舎)、「テロル」(’03/ワイズ出版)。

◎マンガ掲載…「アックスvol.61」(2月25日発売)
◎イベント出演…4月20日 (日)「ザ・漫画家バンド大戦」(紙芝居付き) @桜川montage(大阪)


『紙-1グランプリ’08 ~真の紙芝居No.1決定戦~』

日程:3月1日(土)
会場:阿佐ヶ谷Loft A(東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-36-16-B1)
出場者:森元暢之&たらすな、堀道広、花くまゆうさく、ウメ、キクチヒロノリ、他

時間・料金:
オープン(予選)…開場12:00/開演13:00 1,000円
決勝大会…開場18:00/開演19:00 2,000円
*オープン、決勝大会通し券 2,500円

チケット取扱:ローソンチケット(Lコード L:39415)

◆『紙-1グランプリ』公式ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/mitsumotogk22000

◆阿佐ヶ谷Loft A
http://www.loft-prj.co.jp/lofta/

◆青林工藝舎
http://www.seirinkogeisha.com/

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