骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2021-03-25 20:00


ギレルモ・デル・トロ絶賛!SFストップモーション・アニメ『JUNK HEAD』

たった1人で制作をスタート、7年かけて14万コマを仕上げた堀貴秀監督インタビュー
ギレルモ・デル・トロ絶賛!SFストップモーション・アニメ『JUNK HEAD』
『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN

クリエイター堀貴秀が本職だった内装業を続けながら独学で7年の歳月をかけ、総コマ数約14万、フィギュアはすべて手作りというDIY精神を発揮し完成させ、ギレルモ・デル・トロ監督が激賞したほか、世界的に高く評価されたSFストップモーションアニメ『JUNK HEAD』が3月26日(金))よりアップリンク渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺他にて公開される。webDICEでは、公開にあたり堀監督のインタビューを掲載する。環境破壊が止まらず、地上に住めないほど汚染された地球を舞台に、絶滅の危機に瀕した人類と人工生命体の奇想天外な冒険が描かれる。今作のベースとなる短編『JUNK HEAD』は2013年11月に堀監督の自主上映企画としてアップリンク渋谷にて上映されたこともあり、今回のアップリンクでのロードショーは7年越しの凱旋上映となる。


「自分には作れるという根拠の無い自信があり、40歳目前になり一か八かの挑戦として制作を始めました。主人公はスーパーヒーローではない普通の一般人。どんな人間にもドラマがある。ガラクタだったとしても一生懸命頑張れば、何かができる」(堀貴秀監督)


コマ撮りを独学で覚えながら制作

──JUNKHEADを作った経緯を教えてください。

もともと20代の頃は絵や彫刻などアルバイトを転々としながら芸術家を目指していました。
その後、アートワーク専門の仕事で独立し、ディスニーランド等の商業施設で作業していました。

『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN 0291天井ワーム (5)
『JUNK HEAD』堀貴秀監督 ©️2021 MAGNET/YAMIKEN

仕事をしながらも自身の芸術活動を続けていたのですが、何をやっても中途半端で満足できる結果を出せませんでした。
自分は昔から映画が好きでしたが、個人で作れるようなものではないと思っていたのですが、
その頃新海誠さんが一人で映画を作ったという話題を知り、新しい可能性を感じました。

映像制作の知識は何も無かったけどそれまでの創作活動で得た技術を生かして自分には作れるという根拠の無い自信があり、40歳目前になり一か八かの挑戦として制作を始めました。

『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN
『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN

──アニメーションはどうやって学んだのですか?

今回のコマ撮りという技法はマイナーで情報も極端に少なかったので、
少ないネット動画を観たりして研究しながら作りました。
映像制作自体を学んだ事が無いので、その都度独学で覚えながら制作していきました。

──たった1人で作り始め、7年かけて作られたのですよね?

最初の30分位までの自主制作部分はほぼ一人でしたが、
今回公開する長編は短編を膨らませて、3年かけて完成しました。
出資を受けてからはスタッフを雇えましたが、トータルで考えると平均3人程です。
短編の時は、内装業の傍らであったので、3~4時間の睡眠時間以外、秒を惜しんでずっと作業していました。
寝るのも作業の横でした(笑)。

『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN
『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN

Youtubeにアップしたら、ハリウッドからもオファー

──なぜコマ撮りアニメ?

コマ撮りが好きというよりは、もともと操り人形を作っていたので、それを動かせばできるのでは?と始めは安直に考えていました。
<コマ撮り長編SFアニメ>は世界的にもない、未体験レベルだと思っています。
本作では、コマ撮りながらに実写のリアリティを追求しました。

──ストーリーや構想はどこから?

一番影響をうけている映画は『不思議惑星キン・ザ・ザ』です。シュールコメディの世界が好きです。
特にSFが好きで、『エイリアン』や『ヘルレイザー』や弐瓶勉氏なども好きです。
映画は非日常を経験したいので、SFではそれができる。しかしSFだけどドラマを優先させたいとも思いました。

──2013年に完成した短編『JUNK HEAD』が海外映画祭やギレルモ・デルトロからいきなり絶賛されました。

Youtubeにアップしたら、ハリウッドからもオファーがあって。
でも英語がわからなかったので、最初はスルーしていたんです(笑)。
ギレルモ・デルトロさんは『シェイプ・オブ・ウォーター』で来日された時に、
舞台挨拶でいきなり「堀さんいますか?」と指名されてびっくりしました。

『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN
『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN

──短編はアップリンク渋谷で1日限りの上映をさせていただきました。そして満を持して3月26日にアップリンクで公開します!

1日4回のみのレンタル上映だったのですが、立ち見の行列になっていて、驚きましたね。
いよいよ長編の劇場公開ですが、まだまだ信じられないというか。
昔から応援してくれるファンがいてくださるのですが、一般に出す恐怖心がありますね(笑)。

──『JUNK HEAD』に込めた想いは?

主人公はスーパーヒーローではない普通の一般人。どんな人間にもドラマがある。
ガラクタだったとしても一生懸命頑張れば、何かができるということでしょうか。

(オフィシャル・インタビューより)



堀貴秀(ほりたかひで)

1971年生まれ、大分県出身。
1990年
大分県立芸術緑丘高等学校卒。
2000年
アートワーク専門の仕事で独立。
2009年12月
短編『JUNK HEAD 1』(30分版)を自主製作として制作開始。
2013年10月
短編『JUNK HEAD 』(30分版)完成。
2013年11月
渋谷アップリンクにて一日だけ自主上映を行う。
2014年1月
『JUNK HEAD1』をYouTubeに無料公開。クラウドファンディングで続編の制作費募集をするが失敗。
2014年2月
クレルモンフェラン国際映画祭(フランス)アニメーション賞受賞。
2014年3月
ゆうばりファンタスティック映画祭(北海道)短編部門グランプリ受賞。
2015年1月
株式会社やみけん設立。長編『JUNK HEAD』制作開始。
2017年4月
長編「JUNK HEAD」完成。海外国際映画祭で入賞入選多数。
2021年3月26日
『JUNK HEAD』劇場公開




『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN
『JUNK HEAD』©️2021 MAGNET/YAMIKEN

映画『JUNK HEAD』
3月26日(金) アップリンク渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺他 全国順次公開

監督・原案・キャラクターデザイン・編集・撮影・照明・音楽:堀貴秀
音楽:近藤芳樹
制作:やみけん
配給:ギャガ
製作:MAGNET
2017年/99分/G/日本

公式サイト


▼映画『JUNK HEAD』予告編

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