『カミーユ』
世界中の配信プラットフォームで行われるフランス語映画の祭典、「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)」がアップリンク・クラウドで配信中。長編12本、短編17本の作品のうち、60分以下の短編作品はすべて無料配信となっている。
2014年に取材中にアフリカで殺害された女性報道写真家カミーユ・ルパージュを描きロカルノ国際映画祭で観客賞を受賞した『カミーユ』や、『燃ゆる女の肖像』アデル・エネル主演のロードムービー『英雄は死なない』などをラインナップ。webDICEでは配信される長編12作品を紹介する。是非この機会に選りすぐりの日本未公開フランス語映画を堪能していただきたい。
開催期間:2021年1月15日(金)~2月15日(月)
◆長編作品は一作品¥250/1週間
◆短編作品は無料!
◆お得な全長編作品パックは¥1,000/30日間
【myFFF2021 長編】全12作品パック
長編(12作品)
『カミーユ』
『カミーユ』
理想に燃える若きフォトジャーナリストのカミーユは、内戦前夜の中央アフリカへと向かう。そこで目にしたものが彼女の運命を大きく変えていく…。命果てるまで紛争地や戦地の現状を世界に伝え続けた実在の報道写真家、カミーユ・ルパージュの生きざまに光を当てた作品。主演を務めたニナ・ムリスの力強くも繊細な演技が胸に迫る。ロカルノ国際映画祭観客賞受賞作品。
本作品については、2019年9月25日に掲載された維倉みづきさん(moonbow cinema)によるロカルノ国際映画祭レポートも合わせてお読みください。
「答えのない環境で生きるカミーユの姿を追いながら、個人が、数々の争いに満ちた歴史を理解した上でどのように振る舞うか、生まれた環境に恵まれたゆえに衣食住に不便なく教育を受け仕事を持つ人が、そうではない人に対してどう振る舞うのか、『自分はどうするのか』と観客に強く突きつける作品」
テーマ:トゥルー・ヒロイン
監督 ボリス・ロジキン
主演 ニナ・ミュリス、フィアクル・バンダラ、ブリュノ・トデスキーニ、グレゴワール・コラン
Camille/ドラマ/90分/2019/フランス
『英雄は死なない』
『英雄は死なない』
突然見知らぬ男に、1983年8月21日にボスニアで死んだ兵士の生まれ変わりではないか、とパリの路上で声をかけられたジョアキム。その日が自身の誕生日と一致することから、その話を信じるようになり、友人のアリスとヴィルジニを連れてサラエヴォへと旅立つ。戦争の亡霊たちで埋め尽くされた国で、ジョアキムの前世をたどる彼らの行く手には…。バルカン諸国を舞台に、ファンタジーと現実が交錯する異色のロードムービー。女性監督オード=レア・ラパン長編デビュー作。アデル・エネル(『燃ゆる女の肖像』)とジョナタン・クズィニエの、アイデンティティと真実をひたむきに追い求める演技が真に迫る。2019年カンヌ国際映画祭批評家週間上映作品。
テーマ:オン・ザ・ロード
監督 オード=レア・ラパン
主演 アデル・エネル、ジョナタン・クズィニエ、アントニア・ビュレジ
Les Heros ne meurent jamais/ドラマ/85分/2019/フランス
『思春期 彼女たちの選択』
『思春期 彼女たちの選択』
育った環境も、性格も、似ている点は1 つもないけれど大親友のアナイスとエマ。13 歳から18 歳、思春期まっただ中を生きる少女2 人の成長を追ったドキュメンタリー。5 年の間に、アナイスとエマはどんな女性に成長し、友情はどう変化していくのか。彼女たちの道のりからフランス社会の実情が浮き彫りに。『6才のボクが、大人になるまで。』を彷彿とさせる、誰もが思い当たる節のあるみずみずしい青春ドキュメンタリー。フランスの田舎町ブリーヴ=ラ=ガイヤルドを舞台に、2 人の少女の成長の断片から、地方に暮らす若者の2010年代の青春を描き出す。2019年ロカルノ国際映画祭 批評家週間上映作品。
テーマ:フォーエヴァー・ヤング
監督 セバスチャン・リフシッツ
主演 アナイス、エマ
Adolescentes/ドキュメンタリー/135分/2019/フランス
『奥様は妊娠中』
『奥様は妊娠中』
クレールは世界的な天才ピアニスト。夫でマネージャー、何でも係のフレッドと共に日々世界中を飛び回っている。子供は持たない、それが夫婦の共通認識だった。ところが、パリ~ニューヨーク間のフライト中に緊急出産に立ち会ったフレッドは、父になりたいとの強い思いに駆られ、クレールの避妊薬に細工をしてしまう。狙い通りクレールは妊娠、どんどんお腹が膨らんで…。妊娠・出産を経て親になることへの強い願望を、マリー ナ・フォイスとジョナタン・コーエンがユーモアたっぷりに演じる辛口コメディ。『ローズマリーの赤ちゃん』と『メリーに首ったけ』のファレリー兄弟のコメディ作品が交差したような一級エンターテイメント。
テーマ:クレイジー・ラヴィング・ファミリー
監督 ソフィー・ルトゥルヌール
主演 マリーナ・フォイス、ジョナタン・コーエン
Enorme/コメディ/101分/2020/フランス
『フェリチタ!』
『フェリチタ』
何にも縛られず、刹那的に楽しく生きるティムとクロエ、そして11 歳の娘トミー。刑務所から出たばかりのティムは、新学期1 日目は必ず遅刻せず学校まで送ると娘に約束していた。しかし夏休みの最終日、クロエが突然姿を消し、ティムは盗んだスポーツカーで娘と飛び出し、宇宙飛行士が現れて…。果たしてティムは学校に間に合うのか?夏休みの最終日に感じる焦燥感をロードムービータッチで描き出した、心温まるファンタジックコメディ。監督は『変態ピエロ』のブルーノ・メルル。どこか壊れた父親を快演するピオ・マルマイと、娘ティムを演じるブルーノ・メルル監督の実娘リタ・メルルのフレッシュな演技に注目。
テーマ:クレイジー・ラヴィング・ファミリー
監督 ブルーノ・メルル
主演 ピオ・マルマイ、リタ・メルル、カミーユ・ラザフォード
Felicita/コメディ/88分/2019/フランス
『ジャスト・キッズ』
『ジャスト・キッズ』
19歳のジャックと17歳のリザ、10歳のマティスの3きょうだいは相次いで両親を失うという悲劇に見舞われる。悲劇に直面した3 人の反応は様々。唯一成人しているジャックは弟マティスの後見人になり、リザは南仏で新生活を送るために旅立ち、それぞれの新しい生活が始まる。大人になりきる前に弟の責任を負うことになってしまったジャックは、葛藤しながらも健気に前に進もうとする。両親を失った兄妹たちがつむぐ絆、そして心の奥底から湧き出る希望の光で悲しみに対処していく様子をフラットな目線で描き出したエネルギッシュな作品。若いながらも成熟した演技を見せるフレッシュな俳優たちから目が離せない。
テーマ:クレイジー・ラヴィング・ファミリー
監督 クリストフ・ブラン
主演 ケイシー・モッテ・クライン、アンドレア・マジウッリ、アナマリア・ヴァルトロメイ
Just Kids/ドラマ/102分/2019/フランス-スイス
『ワーキング・ガールズ』
『ワーキング・ガールズ』
一見何の共通点もない3人の女性、アクセル、コンソ、ドミニクは郊外の集合住宅の駐車場で毎朝落ち合い、北フランスの街ルーベからベルギーへと国境を超え、体を売る。彼女たちが苦しみもがきながら求めるものとは…。女優陣の魅力に圧倒される、今見るべきフェミニズム作品。セックスワーカーとして働きながら、他人を思い合い、誇り高く生きる女性達へのエール。
テーマ:トゥルー・ヒロイン
監督 フレデリック・フォンテーヌ、アンヌ・パウリスヴィック
主演 サラ・フォレスティエ、ノエミ・ルヴォウスキー、アナベル・ラングロンヌ
Filles de joie/ドラマ/90分/2019/ベルギー-フランス
『バーニング・ゴースト』
『バーニング・ゴースト』
幽霊のジュストは自分のことが見える人々を探して、パリの街をさまよい歩く。死後の世界へ旅立つ人々のために、彼らの最後の思い出を集めていると、生身の女性アガトに巡り合う。幽霊と人間の恋の行方は…?ステファン・バチュ監督が夜のパリに魔法をかけ、ロマンチックなヴェールをまとわせる。ジャン・コクトー作品を思わせる幻想的な映像が味わい深いゴーストストーリー。2019年ジャン・ヴィゴ賞受賞。2019年カンヌ映画祭ACID上映作品。
テーマ:フレンチ・ゴースト・ストーリー
監督 ステファン・バチュ
出演 ティモテ・ロバール、ジュディット・シュムラ、ジョロフ・エムベング
Vif-argent/ドラマ/106分/2019/フランス
『ジュゼップ』
『ジュゼップ』
1939年2月、おびただしい数のスペイン共和党員がフランコの独裁から逃れようとフランスに押し寄せた。フランス政府は政治難民となった彼らを収容所に押し込め、冷遇する。そんな中、有刺鉄線で隔たれたフランスの憲兵と絵描きの間に友情が芽生える。1910 年にバルセロナで生まれ、1995年にニューヨークで没した実在の画家、ジュゼップ・バルトリの人生を描いたアニメーション。風刺画家オーレル初の長編アニメーション。歴史に翻弄されながらも絵を描くことで救われた男の人生が壮大なアニメーションで力強く物語られる。絵を描くことの意味に気付かされる。2020年・第73回カンヌ国際映画祭(新型コロナウイルスの影響で通常開催を見送り)のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」作品。
テーマ:オン・ザ・ロード
監督 オーレル
声の主演 セルジ・ロペス
Josep/アニメーション/80分/2020/フランス
コンペティション外
フランス語圏スイス招待作品
『マダム』
『マダム』
スイスのブルジョワ階級に属する90 歳の祖母と、同性愛者の孫息子の間で交わされる本音のやり取りは、ジェンダー、セクシュアリティ、アイデンティティの継承へと広がりを見せる。ステファン・リートハウザー監督のホームビデオに刻まれた記録で紡ぐドキュメンタリー。保守的なスイス社会に深く根を下ろす『家父長制』に焦点を絞り、祖母と孫の、世代を超えた闘いを描き出す。2020 年テッサロニキドキュメンタリー映画祭特別賞受賞。2019年ヴェネチア国際映画祭、2019年ロカルノ国際映画祭出品作品。
テーマ:ラヴ・イズ・ラヴ
監督 ステファン・リートハウザー
Madame/ドキュメンタリー/93分/2019/スイス
フランス語圏カナダ招待作品
『クエシパン~私たちの時代』
『クエシパン~私たちの時代』
ケベックの先住民インヌ族の居留地で育った2 人の少女、ミクアンとシャニスは子どもの頃からの大親友。何があってもずっと一緒にいようと約束していた。しかしシャニスは17 歳で子どもを産み、子どもの父親である気の荒い恋人を警察から守ろうとする一方、作家を志すミクアンは白人のフランシスに恋をし、狭い居留地を出ることを夢見るようになる。2 人の友情にすき間風が吹き…。居留地で生まれ育った若者が自由を模索する姿を描いた、女性監督ミリアム・ヴェローの長編デビュー作。役者として登場する、実際に居留地に暮らすインヌ族の人々のリアルな演技が胸に染みる。トロント国際映画祭上映作品。
テーマ:トゥルー・ヒロイン
監督 ミリアム・ヴェロー
主演 シャロン・フォンテーヌ=イシュパタオ、ヤミー・グレゴワール
Kuessipan/ドラマ/117分/2019/ケベック
クラシック作品
『オルフェ』
『オルフェ』
ギリシャ神話のオルフェウス伝説を詩人ジャン・コクトーが現代に蘇らせた不朽の名作。パリ左岸の『詩人カフェ』で詩作に耽るオルフェの前に突如、美しい『死の国の王女』が現れる。王女に心奪われたオルフェは、妻を忘れ、生と死の世界を往来するようになる。しかし、2 人の愛の先行きを案じた王女はオルフェを妻のもとへと送り返し…。戯曲『オルフェ』から25年、ジャン・コクトーが再び同作に取り組み、映画化した1950 年の作品。主演ジャン・マレーと女王を演じるマリア・カザレスの魅力がスクリーンから溢れ、哲学的で幻想的なスタイルが今なお新鮮に心に響くコクトーの代表作。
テーマ:フレンチ・ゴースト・ストーリー
監督 ジャン・コクトー
主演 ジャン・マレー、マリア・カザレス、マリー・デア
Orphee/ドラマ/95分/1950/フランス