映画『ザ・プロム』
Netflix映画『ザ・プロム』が12月11日（金）全世界独占配信に先駆けて12月4日（金）より全国のイオンシネマほかヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷、アップリンク吉祥寺・京都にて日本劇場公開される。
ミュージカル『ザ・プロム』は、エマとアリッサという女子高生の同性カップルを主人公に、LGBTQの子供たちがプロムに連れて行くことを禁じられた実話に由来した物語で、2018年にブロードウェイで開幕し好評を博した。このミュージカルを、「glee/グリー」を手掛けたヒットメーカー、ライアン・マーフィーが映画化。大ベテラン、メリル・ストリープそしてニコール・キッドマンのほか、新人ジョー・エレン・ペルマンと、新星アリアナ・デボース、そしてジェームズ・コーデン。など実力派キャスト陣も脇を固めている。
監督のライアン・マーフィーとNetflixはこの後もリミテッド・シリーズとしてミュージカル『コーラス・ライン』などの権利も獲得したことが発表された。
webDICEでは『ザ・プロム』の劇場公開にあたり、アメリカのメディアに掲載された情報やマーフィー監督の発言から、作品の魅力についてまとめた。
■ストーリー
ニューヨークの“元”超人気舞台俳優ディーディー（メリル・ストリープ）とバリー（ジェームズ・コーデン）は、新作ブロードウェイ・ミュージカルが大コケしてしまい、役者生命の危機が訪れ大ピンチ。一方、インディアナ州の田舎町では、恋人同士の女子高校生エマ（ジョー・エレン・ペルマン）とアリッサ（アリアナ・デボース）が、女性カップル２人でプロムに参加することが問題になって禁止され、悲嘆に暮れていた。ひょんなことをきっかけにその事実を知ったディーディーとバリーは、この機会に乗じて自らの役者イメージを挽回しようと、同じくキャリアアップを図るアンジー（ニコール・キッドマン）らと共に計画を練ることにするが、ベテラン俳優たちと、若い女性カップルが交わることで、思いもよらない騒動と、愛と感動のドラマが待ち受けていた──。
映画『ザ・プロム』
実話に由来した物語
ミュージカル『ザ・プロム』は、舞台プロデューサー、ジャック・ヴィアテルの原案により、LGBTQの子供たちがプロムに連れて行くことを禁じられた実話に由来した物語。演出家ケイシー・ニコロウが舞台監督を務め、2016年にジョージア州アトランタのアライアンスシアターで世界初演された後、2018年にブロードウェイで開幕した。2019年のストーンウォール50周年を記念するニューヨークのワールドプライド期間中にも上演され、この年のトニー賞にノミネートされるなど好評を博した。なお、日本でも2021年3月より葵わかなと三吉彩花が主人公の女子高生カップルに扮し初上演される。
恋人同士の女子高校生エマとアリッサが主人公であることもあり、2019年のブロードウェイ公演時には、カーテンコール中に、スタッフであるスクリプト・コーディネーターのアルメル・ケイ・ハーパーと音楽ディレクターのジョディ＝ケイ・スミスの同性カップルが結婚のセレモニーを行い、ステージ上でキスしたことも話題を呼んだ。
The New York Timesより、ステージ上でキスするスクリプト・コーディネーターのメル・ケイ・ハーパーと音楽ディレクターのジョディ＝ケイ・スミス
ライアン・マーフィーは、2019年1月、ブロードウェイのロングエーカー劇場で上演されたこの作品を観て、Netflixでの制作契約の下で映画化をしたいとすぐに思ったという。実はブロードウェイ公演は1,350万ドルの製作費を回収できていなかったが、この作品のポジティブなメッセージをNetflixのグローバルなコミュニティを通して伝えたいと思ったとVarietyのインタビューで明かしている。
「テッド・サランドス（Netflixの共同CEO兼最高経営責任者）とスコット・ステューバー（Netflix映画部門責任者）は、観客と一緒にミュージカルを観て、私の意図を即座に理解してくれて、すぐ『やろう』と言ってくれた。だから、映画としての準備期間はほとんどなかった。ブロードウェイ版の脚本を書いた人たちと私が一緒に映画版の脚本を作った」（ライアン・マーフィー監督）
「2週間半ほどですべてが起こった。翌週にプリプロダクションを開始して12月に撮影した。2月の第1週に権利を取得し、12月2日に撮影していたと思う」（ライアン・マーフィー監督）
（ 【DEADLINE】Ryan Murphy on Why ‘The Prom’ Is Perfect for Our Time and Meryl Streep Rapping）
映画『ザ・プロム』
すべての人に居場所があるべき
マーフィー監督は、今作製作の狙いを次のように語っている。
「映画にはたくさんの情熱と暖かさがある。スタッフやキャストがすぐに『この作品をやろう』と言ってくれたのは、この物語にあるメッセージのせいだと思う。映画の根底にあるいちばんの思いは、『すべての人に居場所があるべき』というものだ。映画のテーマは不寛容との闘いであり、私たちは皆、生活の中でそれを感じていたと思いう」
「『これは昔ながらのミュージカル映画』だと言い続けた。これは私たちが小さい頃から親しんできたハリウッド・ミュージカルへのラブレターなんだ。『雨に唄えば』『シカゴ』『巴里のアメリカ人』のようなミュージカル映画という形態とその魔法にへのラブレターのようなものだった。私の作品はエッジの効いたものになる傾向があるけれど、こんなに古風なことをしたことはない。親が子供と一緒に観られるような、みんなのための作品を作ることに着手した」（ライアン・マーフィー監督）
（ 【Variety】Ryan Murphy on Why ‘The Prom’ Is Perfect for Our Time and Meryl Streep Rapping）
映画『ザ・プロム』
ミュージカルは2021年にナショナル・ツアーが予定されていたが、コロナ禍により打撃を受ける前の段階で、急ピッチで製作が進められた。撮影は2019年12月11日にスタートし、2020年3月12日、残り3日のところで新型コロナウイルスの影響により中止。2020年7月23日に再開し、撮影完了した。Netflixそしてマーフィーともに、この作品がクリスマス・シーズンに公開されることを望んだ。
「ブロードウェイで撮影できないことがわかったとき、『それでは映画は作れない』と思い、Netflixは『それならば、ブロードウェイを作ろう』と思った。ダウンタウンの数エーカーの土地で、このセットを作成した。作るのにほぼ6ヶ月かかりました。私たちはすべてについてとても具体的でした。ブロードウェイの実際の道路を測定し、それを複製した」（ライアン・マーフィー監督）
（ 【Variety】Ryan Murphy on Why ‘The Prom’ Is Perfect for Our Time and Meryl Streep Rapping）
映画『ザ・プロム』
またマーフィー監督は映画業界と同じくこのコロナ禍で苦しんでいる舞台業界をサポートするためにも、ブロードウェイや俳優基金へ寄付するための上映を企画するなど、尽力するつもりだという。
「ブロードウェイやミュージカルが好きな人は今は残念ながら観劇できないので、この映画によって、ブロードウェイのショーで得られる喜びを人々に思い出させることができれば嬉しい」（ライアン・マーフィー監督）
（ 【Variety】Ryan Murphy on Why ‘The Prom’ Is Perfect for Our Time and Meryl Streep Rapping）
映画『ザ・プロム』
映画『ザ・プロム』
12月4日（金）より一部劇場にて公開
12月11日（金）よりNetflix独占配信開始
監督：ライアン・マーフィー
出演：メリル・ストリープ、ニコール・キッドマン、ジェームズ・コーデン、キーガン=マイケル・キー、アンドリュー・ラネルズ、ケリー・ワシントン、アリアナ・デボース、ジョー・エレン・ペルマン
2020年／アメリカ／131分
原題：THE PROM
