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2019-12-06 12:50


「信仰を失った」映画監督がフランシスコ教皇の寛容の精神描く、Netflix映画『2人のローマ教皇』

アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて12月13日(金)より公開
「信仰を失った」映画監督がフランシスコ教皇の寛容の精神描く、Netflix映画『2人のローマ教皇』
映画『2人のローマ教皇』

『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス監督が、名優アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスを主演に迎え、カトリック教会における歴史的転換点の裏側を描き出すNetflix映画『2人のローマ教皇』が、12月20日(金)からの配信に先駆け、12月13日(金)からアップリンク渋谷アップリンク吉祥寺ほかにて日本劇場公開される。

webDICEでは38年ぶりの訪日を果たした日本でも話題を集めるフランシスコ教皇の実話をベースにした『2人のローマ教皇』の劇場公開にあたり、アメリカのメディアに掲載された情報やメイレレス監督の発言から、作品の魅力についてまとめた。

歴史的な交代劇の裏を描く

『2人のローマ教皇』は、2013年の教皇交代劇について、前教皇のベネディクト16世と現教皇フランシスコのふたりの実際の発言をもとに脚本が編まれた。2012年に起きた「バチリークス・スキャンダル」と呼ばれる機密文書の漏洩や財務上の不正疑惑もあり、世界が注目したふたりのドラマの脚本を担当したのは、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』『博士と彼女のセオリー』の脚本を手掛けるアンソニー・マクカーテン。

「映画のなかのフランシスコとベネディクトのすべてのセリフはインタビューや本から取られている。脚本家アンソニー・マクカーテンはそれをふたりが対話しているように構成した。アンソニーの脚本であると同時に、フランシスコとベネディクトの脚本でもある」(フェルナンド・メイレレス監督)

【National Post】'We don't hide anything': Director Mereilles used real-life dialogue to bring The Two Popes to screen

映画『2人のローマ教皇』
映画『2人のローマ教皇』フェルナンド・メイレレス監督(左)

前教皇のベネディクト16世をアンソニー・ホプキンスが、現教皇フランシスコをジョナサン・プライスが演じている。

「私はジョナサン・プライスがフランシスコ教皇と同じエネルギーを持っていると感じた。フランシスコ教皇はジョークが好きで、ジョナサンもそうだ。実は彼は右膝に問題を抱えていて、フランシスコ教皇も同じ。だからふたりとも同じように歩くんだ。それからアンソニーとは以前『360』(2011年)というスリラーで一緒に仕事をしたことがあったから、ベネディクトを的確に演じてくれるとわかっていたし、信頼していた。ふたりとも素晴らしい俳優だ」(フェルナンド・メイレレス監督)

【National Post】'We don't hide anything': Director Mereilles used real-life dialogue to bring The Two Popes to screen

映画『2人のローマ教皇』
映画『2人のローマ教皇』

フランシスコ教皇は国家、宗教、社会の間に橋を架けた

本作は2017年と2018年にアルゼンチンとイタリアで撮影されたが、バチカンは製作に関与していない。

「バチカンには、サンピエトロ広場での撮影と、いくつかの施設を使用する可能性を交渉したが、できなかった。バチカンは施設を使用することを許可しなかった。彼らは私たちになにも回答しなかった。「後で回答します」と言いましたが、その後もなにもなかった。しかし私はバチカンの考えを理解できる。施設での撮影を許可するということは、映画をサポートすることを意味することだから。ノーと言ってしまったら、映画を拒否するか、映画を検閲しているということになってしまう」

【Variety】Fernando Meirelles on Making ‘The Two Popes’ a Catholic Film With Universal Appeal

映画『2人のローマ教皇』
映画『2人のローマ教皇』

そのため、ローマの映画スタジオ「チネチッタ」でバチカンの一部を再現。原寸大のシスティーナ礼拝堂は建造に2ヵ月を要し、サンピエトロ広場の群衆シーンにはCGIを使用した。メイレレス監督は今作で初めて仕事をするNetflixについて次のように語っている。

「このプロジェクトを始めたとき、それほど期待していなかった。非常に具体的な問題、宗教について話している2人の男の物語だからだ。Netflixで人気のあるような、特定のニッチな層に向けて最適な映画だと思った。Netflixのニッチって巨大だろ?もしNetflixのカトリックの視聴者向けだったとしても、それはかなりの数になる」(フェルナンド・メイレレス監督)

【Variety】Fernando Meirelles on Making ‘The Two Popes’ a Catholic Film With Universal Appeal

「これがより多くの人に映画を観てもらう方法だ。いくつかの劇場で上映され、その後でプラットフォームで配信される。すべてが変わった、もう後戻りはできないんだ」(フェルナンド・メイレレス監督)

【SCREENDAILY】Fernando Meirelles talks Netflix awards hopeful 'The Two Popes

映画『2人のローマ教皇』
映画『2人のローマ教皇』

メイレレス監督は自身の宗教観について、いくつかのインタビューで「バチカンについて何も知らなかった。教会の政治にあまり興味がなかった。私はカトリックだが、非常に悪いカトリックだ」「信仰を失ったカトリックだ」といった発言をしているが、完成した作品を教皇に観てもらいたいと思っているようだ。

「この映画は正直だから、彼らは気に入ってくれると思う。教会の問題に言及し、フランシスコの問題に言及した。私たちはなにも隠さなかった。しかし、映画は許しのためにあると言ってもいいのではないか?彼らは自身の過ちを自分自身で許す必要があり、他者により許される必要があると思う。フランシスコ教皇とは一度会って握手をしたことがある。そのときに映画について説明したら『それはすごい!』とまったく気にしていなかった。彼がこの作品を観てくれることを願うよ。でも観たとしても、それを言ったりしないだろう。彼にとってさえ、バチカンはまだ秘密の多い機関だから。彼はそれを広く公開しようとしているが、まだ秘密結社のようなものなんだ」(フェルナンド・メイレレス監督)

【National Post】'We don't hide anything': Director Mereilles used real-life dialogue to bring The Two Popes to screen

そして、カトリック教会にフォーカスしているが、この映画のメッセージが普遍的な力を持っていると信じている。

「寛容さは私たちが見失っているものだ。フランシスコ教皇は壁を壊し、国家、宗教、社会の間に橋を架けた」(フェルナンド・メイレレス監督)

【GOLD DERBY】Fernando Meirelles on Making ‘The Two Popes’ a Catholic Film With Universal Appeal


ロッテン・トマトのレビューより

映画『2人のローマ教皇』
映画『2人のローマ教皇』

「『2人のローマ教皇』は、権力闘争についてではなく、信仰にどう向き合うかということについての映画に変わる」(Jake Coyle/Associated Press)

「『2人のローマ教皇』は、リアルで対照的な魅力を持つふたりの男の意外な友情についての映画だ」(Michael Phillips/Chicago Tribune)

「軽快な脚本、生き生きとした映像、ジョナサン・プライスの最高の演技のおかげで、メイレレス監督の教皇が有名で寛容で包括的でありうるという考えに同調する喜びがある」(Charlotte O'Sullivan/London Evening Standard)




映画『2人のローマ教皇』

映画『2人のローマ教皇』
12月13日(金)よりアップリンク渋谷アップリンク吉祥寺ほかにて公開

監督:フェルナンド・メイレレス
脚本:アンソニー・マクカーテン
出演:アンソニー・ホプキンス、 ジョナサン・プライス、 フアン・ミヌヒン
2019年/アメリカ/125分/原題:The Two Popes

▼映画『2人のローマ教皇』予告編

キーワード:

ローマ教皇 / Netflix


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