骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2019-06-25 17:15


森の映画祭代表サトウダイスケさんが語る「作品と来場者が偶然の化学反応を起こす一夜」

『顔たち、ところどころ』『インターステラー』​ほか上映、短編映画の公募も受付中!
森の映画祭代表サトウダイスケさんが語る「作品と来場者が偶然の化学反応を起こす一夜」

今では野外映画イベントの代表格となった感のある『夜空と交差する森の映画祭』。毎年異なる世界観を演出し、フェス方式で映画と来場者の出会いを生み出すことで注目を集めている。今年は9月21日(土)に静岡県沼津市の泊まれる公園「INN THE PARK」にて開催。世界観「いつのまにか」のもとで、4つのエリア「まちはずれのたからじま」「きいろいながぐつ」「ねえねえ みてみて!supported by UPLINK」「まっくらのなか」を展開。アップリンクは森の映画祭史上初の屋内エリアをサポートする。

アップリンク配給で2019年3月に亡くなったアニエス・ヴァルダ​と​フランス人現代アーティストJR​の交流をとったドキュメンタリー映画​『顔たち、ところどころ』​、​のほか、宇宙を越えた父娘の愛を描く​クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』​、トム・クルーズとブラッド・ピットが出演​する​『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』など​が上映される。

webDICEでは、映画祭の発起人で代表を務める映像作家のサトウダイスケさんに話を聞いた。

映画の「フェス」でインディーズ短編作品との出会いを

──『夜空と交差する森の映画祭』今年で6回目の開催ですね。

今では屋外の上映イベントって珍しくなくなりましたが、初開催当時は日本ではそこまで多くありませんでした。
2012年くらいから、海外の映画祭みたいに屋外でやってみたいなとは思っていたんですが、実際頭にフラグが立ったのは2014年に入ってからです。それまでに「100人バーベキュー」なんかは主催したことがありましたが、スタッフが100人超、来場者1,000人超規模の大きなイベントは初めてでした。

森の映画祭
森の映画祭代表・サトウダイスケさん

──始めたきっかけを教えてください。

自分が映像作品を作る立場として、日本各地で開催される「映画祭」って内輪というかコミュニティ内の循環がすごいなぁと思ってたんです。エントリーする作家たちと、業界関係者とシネフィルばかりで、ぜんぜん作品が広まらない。そこで「フェス」の手法を使ってインディーズ作品とお客さんの化学反応を起こそうと思ったんです。音楽フェスっていくつかステージがあって、お気に入りのバンド以外にもたまたま居合わせた名前も知らないインディーズバンドの演奏がすごく気に入った、みたいな楽しみ方ができるじゃないですか。映画って、中でも特に短編はなかなか観る機会がないし、まして偶然目にするなんてこともほとんどないので、いろんなインディーズの短編作品のお披露目の場にしようと。遊びにくる人にとっても、お目当てのメジャー長編作品のほかに次は何を観ようかなと選択する楽しみがあると思います。

──そもそも作り手の気持ちで企画がスタートしたんですね。

なんか今ではイベント屋みたいになってますが、映像は高校の頃から作っていて。中学生の頃はひどいときは1日4本くらい観るほど映画好きで、高校の放送部にちゃんとした機材があったので、映画チームを作ったんです。Nコンとか、山梨なのでYBSのコンペなんかにも出品してました。映画だけでなく、子供の頃からなんでも作るのが好きで、漫画、ゲーム、小説……小学生のときからHPを立ち上げて、当時大好きだったゲーム「メタルギアソリッド」のファンサイトなんかも運営してました。

映画『顔たち、ところどころ』 © Agnes Varda - JR - Cine-Tamaris - Social Animals 2016.
今年の上映作品『顔たち、ところどころ』 © Agnes Varda - JR - Cine-Tamaris - Social Animals 2016.

──短編作品は公募中ですね。

6月28日(金)13:00まで二次公募受付中です。30分未満の作品で、今年の映画祭の世界観「いつのまにか」に合ったものなら過去作でもまったく構わないです。コンペではないので一般の方に観てもらえる絶好のお披露目機会と思って気軽に応募してほしいです。

──印象に残っている応募などありますか?

前年お客さんとして参加した方が応募してきてくれたことがありました。残念ながらその作品は技術的な理由で上映はできませんでしたが、嬉しい応募でした。そのほか、ものすごく映画祭の世界観とかけ離れたホラーで、さすがに選べないだろう……とか。選定は3名のスタッフが内容面・技術面から検討しています。

森の映画祭

『森の映画祭』スピンオフ企画

──メインの『森の映画祭』以外にもいろんなスピンオフ企画が大成功と聞いてます。

今年4月には映画『ビッグ・フィッシュ』の進行に合わせてコース料理を楽しんでもらうイベントを初開催しました。そのほか、三島スカイウォークという日本最長の吊橋で、『ザ・ウォーク』ほか橋が印象的な長編3本と短編3本を上映したり、8日間で合計16本上映するゴールデンウィーク企画もやりました。
こういったイベントを実施することで、実際の運営はもちろん、アートディレクションやHP制作、イラスト、プログラミングまで自分たちで行うことができるようになりましたね。

映画『インターステラー』 © 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.
今年の上映作品映画『インターステラー』 © 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

クロスオーバーした表現を深めていきたい

──今後の目標は?

最近自分のやりたいことが見えてきた気がしています。いろんなモノづくりをクロスオーバーした表現ができる自分の強みを生かして、コミュニケーションデザインをやっていきたいです。自分の会社は株式会社化して、規模の大きな仕事や公官庁などからの依頼も請けられる体制にしました。しばらく自分のなかで封印していた映像作家としての仕事も今年は請けています。森の映画祭に協賛してくれているヘアコスメブランド「Loretta(ロレッタ)」の短編映画で、今年の森の映画祭でも上映する予定です。

『森の映画祭』は、バンバン人数を増やしてマンモスフェス規模にしたいみたいな欲望はこれっぽっちもなくて、映画祭としての世界観をより深めていきたいです。あと、我々のプロジェクト全体で考えると、どんなシチュエーションで映画を観てみたいかという基準で考えているため必ず野外上映にしたいとは思っておらず、今年の森の映画祭では初の屋内ステージを導入しています。たとえば、どこか協力してくれるところがあったら、ショッピングセンターでオールナイト上映とかしてみたいです。ゆくゆくは宇宙で開催できたら!

(インタビュー・文:眞島杏子)
森の映画祭



『夜空と交差する森の映画祭2019』
2019年9月21日(土)オールナイト開催

会場:静岡県沼津市 泊まれる公園「INN THE PARK」
主催:森の映画祭実行委員会(代表・サトウダイスケ)

現在早割りチケットが販売中です。
http://forest-movie-festival.jp/ticket.html
短編映画の公募も6月28日(金)13:00まで受付中です。
http://forest-movie-festival.jp/movie.html#03

公式サイト

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森の映画祭 / サトウダイスケ


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