『テルアビブの女たち』
1992年より開催され、今年で27回目を迎える「レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~」が7月7日(土)より東京ウィメンズプラザホール、そして7月13日(金)より青山スパイラルホールにて開催される。
今年は国内外から選出されたセクシュアル・マイノリティをテーマとする全13プログラムを上映。webDICEでは、映画祭プログラミング・チームのレコメンドにより計6作品をピックアップして紹介する。イスラエルに住む三人のパレスチナ女性の奮闘を描く『テルアビブの女たち』や名優アラン・カミングが中年の危機に見舞われたゲイを演じる『アフター・ルイ』といった日本初上映作品や、ろう者の今井ミカ監督が、ろう者の女性の恋愛模様を描く『虹色の朝が来るまで』など、幅広いラインナップで構成されている。
なお現在、パレスチナ自治区ガザの小さな美容室を舞台に、戦争状態という日常をたくましく生きる13人の女性たちを描く『ガザの美容室』がアップリンク渋谷・新宿シネマカリテほかにて公開中。
日本初上映
『アフター・ルイ』
7月7日(土) 14:15 東京ウィメンズプラザホール
7月14日(土) 11:20 スパイラルホール
『アフター・ルイ』
英題:After Louie
監督:ヴィンセント・ガグリオストロ
2017年/アメリカ/100分/英語
ACT UPメンバーとして精力的に活動し、エイズ禍の時代を生き抜いたアーティストのサム。生き残りとしての罪悪感を抱えた彼は、新作の制作に目もくれず、親友の死をモチーフにしたビデオ制作に没頭している。そして、若くして命を落とした大勢の友人達のことを思い出し続けながら、死とは無縁に見える自由奔放な若いゲイ達を見て苦々しく感じていた。ある夜、魅力的な青年とバーで出会い、彼との関係にのめり込んでいくサム。思いがけず深まっていく世代を超えた青年との交流は、頑なになっていたサムの心を徐々に解かしていく。中年の危機に見舞われたゲイを演じるのは『チョコレートドーナツ』のアラン・カミング。円熟した名優の熱演をお見逃しなく。
『虹色の朝が来るまで』
7月8日(日)15:00 東京ウィメンズプラザホール
『虹色の朝が来るまで』
英題:Until Rainbow Dawn
監督:今井ミカ
制作・企画 :JSLTime
2018年/日本/63分/日本手話・日本語
手話サークルで知り合ったろう者の華とあゆみ。華は初めて同性に惹かれ戸惑うも、あゆみと交際することになる。後日、華は実家へ帰り、両親にあゆみとの交際について話すと、いつも自分の味方だった母親から拒絶されてしまう。母親の態度に華はショックを受けるが、あゆみとの関係を断ち切ることがどうしてもできない。苦しんでいる華を見かねたあゆみは、東京で開かれるあるイベントに華を誘う。そこには、それぞれ悩みを抱えつつも前向きに生きているろうのセクシュアル・マイノリティの人たちが集っていた……。生まれた時から耳が聞こえないろう者の今井ミカ監督が、ろう者のキャストたちとともに作り上げた、若者たちの成長物語。
日本初上映
『テルアビブの女たち』
7月8日(日) 10:10 東京ウィメンズプラザホール
7月14日(土) 13:40 スパイラルホール
『テルアビブの女たち』
英題:In Between
原題:Bar Bahar
監督:マイサルーン・ハムード
2016年/イスラエル、フランス/103分/ヘブライ語、アラビア語
弁護士のレイラとレストランで働くレズビアンのサルマは、テルアビブのアパートで同居中。そんな二人のもとに保守的な男性と婚約中の学生ヌールが引っ越してくる。それぞれ違う生き方を求める彼女たちだが、男性権威的な社会に抵抗するため団結を強めていく。イスラエルに住む三人のパレスチナ女性が2つの国、伝統と自由の間で奮闘する姿を描いた女性讃歌映画の傑作。ハンガリーでパレスチナ人の両親の元に生まれ、ブダペストとエルサレムで育ったマイサルーン・ハムード監督は本作で長編デビューを果たす。2016年サンセバスチャン国際映画祭最優秀新人監督賞を受賞するなど、世界中の映画祭で上映され話題を集めた。
日本初上映
『移ろう季節の中で』
7月14日(土) 20:40 スパイラルホール
7月16日(月) 11:30 スパイラルホール
『移ろう季節の中で』
英題:In Between Seasons
原題:환절기
監督:イ・ドンウン
2016年/韓国/115分/韓国語
夫と別居し、女手一つで高校生の息子スヒョンを育てるミギョン。数年後、兵役を終えたスヒョンは親友ヨンジュンとの旅行中に交通事故に遭い、植物状態になってしまう。罪の意識を抱えながら献身的にスヒョンの看病をするヨンジュン。やがてミギョンは二人の秘められた関係に気づく。原作はイ・ドンウン監督自身が手がけたグラフィックノベル。2016年の釜山国際映画祭に出品されたのち、今年2月に韓国で劇場公開された。主演は、数多くの韓国ドラマに出演しているベテラン女優ペ・ジョンオクと、モデル出身の端正なルックスで人気上昇中の若手俳優イ・ウォングン。季節の移ろいと共に変化する感情を表現した、二人の繊細な演技に注目してほしい。
日本初上映
『プリンセス・シド』
7月7日(土) 16:30 東京ウィメンズプラザホール
7月16日(月) 19:35 スパイラルホール
『プリンセス・シド』
英題:Princess Cyd
監督:スティーヴン・コーン
2017年/アメリカ/96分/英語
父親との関係がうまくいっていない高校生のシドは、著名な作家の叔母ミランダの家で夏休みを過ごすためにサウスカロライナからシカゴへやってくる。正反対の性格の二人が親睦を深めていくなか、シドはジョギング中に出会ったカフェの店員ケイティを意識し始める。悲しい過去を抱えた少女が思春期に体験する心の揺れを繊細に描いた青春映画。ミランダを演じるのは『パブリック・エネミーズ』『マン・オブ・スティール』などで知られる性格派俳優のレベッカ・スペンス。シドを演じる新人ジョシー・ピニックとの極上のケミストリーを見逃すな。アメリカ各紙の2017年LGBT映画ベスト10にランクインした。
日本初上映
『傷』
7月14日(土) 18:25 スパイラルホール
7月15日(日) 16:35 スパイラルホール
『傷』
英題:The Wound
原題:Inxeba
監督:ジョン・トレンゴーヴ
2017年/南アフリカ、ドイツ、オランダ、フランス/88分/コサ語
南アフリカのコサ人に成人儀礼として伝わる「割礼」。毎年、10代の少年たちが山奥のキャンプにこもって割礼を受け、先輩の若者たちから大人の男としての規律を学ぶ。工場労働者のコサニはヨハネスブルクから来た少年クワンダの教育係になるが、隠していた秘密をクワンダに知られてしまい……。第90回アカデミー賞外国語映画部門・南アフリカ代表作品。タブーとなっている儀式を描いたことで伝統主義者の反発を呼び、南アフリカのメインストリームの映画館で上映中止に追い込まれた問題作。「南アフリカ・ミュージック・アワード」に多数ノミネートされた注目のミュージシャン、ナカネ・トゥーレが本作で演技に初挑戦している。
第27回レインボー・リール東京
~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~
会場:東京ウィメンズプラザホール、青山スパイラルホール
会期:東京ウィメンズプラザホール
2018年7月7日(土)~7月8日(日)
青山スパイラルホール(3F)
2018年7月13日(金)~7月16日(月・祝)
主催:NPO法人 レインボー・リール東京