骰子の眼

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東京都 渋谷区

2018-03-27 20:15


南米縦断1万キロ!聾者のバックパッカーと共に体験する『聾者のボクの南米見聞録』

「旅には最上の喜怒哀楽がある」松本紀彦さん&YASU監督インタビュー
南米縦断1万キロ!聾者のバックパッカーと共に体験する『聾者のボクの南米見聞録』
映画『聾者のボクの南米見聞録』松本紀彦さん

聾者のバックパッカー松本紀彦さんが南米大陸を縦断する旅を追ったドキュメンタリー映画『聾者のボクの南米見聞録』アップリンク渋谷にて3月31日(土)から4月6日(金)までレイトショー上映。webDICEでは松本さんと、映画の監督を務めるYASUさんのインタビューを掲載する。

映画はコロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンをバックパック一つで旅をし、南米の聾者との出会いや聾者コミュニティに触れた松本さんの体験を描いている。

「自分たちの置かれている劣悪な立場を認識した上で、困難に立ち向かおうとする南米で出会った聾者のバイタリティー溢れる活動には本当に頭が下がります。と同時に、聾者を取り巻く境遇の改善に身を削って長らく活動して来た我が国・日本の聾者の先輩たちの偉大さに改めて痛感する良い機会ともなりました」(松本紀彦さん)

聾者に対する見方を変えたい

──監督と松本紀彦さんのファーストコンタクトから、映画を撮るまでの経緯を教えてください。

松本紀彦(以下、松本):キューバにメヒコを旅してた時に中南米での旅にはスペイン語の習得が欠かせないと強く感じた俺は、グアテマラのとある語学学校への入学を決心しました。同じ入校日にもう1人の生徒がいたが、それが監督との出会いでした。

YASU:私はアルゼンチンの映画製作会社で働くために語学留学していました。その時に運命的に松本氏と出会いました。

映画『聾者のボクの南米見聞録』
松本紀彦さん
YASU監督
YASU監督

松本:それで帰国後、俺は聾者に対する見方を変えるべく何かしらの形で伝えようと模索していました。その矢先に、監督が何度か俺の地元まで足を運んで来ては映画を作りたいと口説いて来ました。

YASU:日本の知り合いの方から映画を撮らないかという出資のお話をいただいて、アルゼンチンでの就職を辞めて。松本を口説きに静岡に何度も通いました。

松本:いろいろ思うところはありましたが、監督の内に秘めた強い熱意に押された形で、共に創ることを承諾しました。

映画『聾者のボクの南米見聞録』
映画『聾者のボクの南米見聞録』

──南米への特別な感情や想いはありますか?

松本:南米は、サッカーを始めた時からいつかは行きたいと強く想っていたところ。実際に旅してみて、南米はサッカーだけでなくあらゆる面でも俺をワクワクさせてくれるところでした。また、行き先に関係なく、"旅には最上の喜怒哀楽がある。"と俺は強く思っています。

YASU:僕もサッカーが大好きで、次はゆっくりサッカー観戦したいです。

映画『聾者のボクの南米見聞録』
映画『聾者のボクの南米見聞録』

困難に立ち向かおうとする南米の聾者たちのバイタリティー

──映画では南米の旅の中で様々な境遇にいる聾者と出会い、交流されていましたが、 彼らとの出会いを通してどんなことを感じましたか?

松本:自分たちの置かれている劣悪な立場を認識した上で、困難に立ち向かおうとする彼らのバイタリティー溢れる活動には本当に頭が下がります。と同時に、聾者を取り巻く境遇の改善に身を削って長らく活動して来た我が国・日本の聾者の先輩たちの偉大さに改めて痛感する良い機会ともなりました。

映画『聾者のボクの南米見聞録』
映画『聾者のボクの南米見聞録』

──映画でも描かれていましたが、今までも世界の様々な山登りに挑戦されていますね。山のどんなところに魅かれているのか、音の聞こえない松本さんにとって山登りで感じることは?

松本:山登りに挑戦した者にしか見ることが出来ない絶景がそこにある。また、道中は自分と向き合う良い時間・機会でもありました。また、山登りから「諦めることも大事」とゆうことを学びました。

──松本さんが旅を続ける理由は?

松本:旅とは、人との出会いと考える。すなわち、文化との出会いでもあると考えています。それらを通じて、その国というものがみえてくる。そこに、学びと興奮と幸せがある。1つ1つの国に行く度に、学びと興奮と幸せがあると思います。

──これからのビジョンは?

松本:自分のことを聾者の映画人と考えたことはない。ただ、みんなが映画をご覧になり、また、映画を通じて何かを感じ取ってくれたら嬉しいです。

YASU:次回作があるなら、治安の良い国で撮影したいですね(笑)。

映画『聾者のボクの南米見聞録』
映画『聾者のボクの南米見聞録』



松本紀彦(まつもと・のりひこ)

1979年生まれ。先天性の聴覚障害者(両耳が全く聴こえない)。虹彩異色症(左右の眼の色が異なる障害)の為、左眼は青く、右眼は琥珀色をしている。2005年に日本ろうサッカー代表選手に選出。アジア予選2回。デフリンピック、タイ国王陛下アジア障碍者大会に出場。音のない世界に生きる男が世界から集った選手たちと、交流する体験から「様々な世界をこの目で見てみたい」「色々な人と出会いたい」と、今までにない胸の高鳴りを感じ、世界一周の旅に出る決意。ハンデを持ちながらも、それをハンデとせず、6年間かけて旅を続け自分にしか感じられない、『音』と出会う。2013年に世界一周目前で、諸事情で日本に帰国。

YASU(やす)

1980年生まれ、宮城県出身。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。在学中に映画製作会社、インディーズ音楽の映像クリエイター集団を立ち上げる。 映画のADや助監督を 経験し上京。 東京の映像制作会社に勤務しCM・MV等の 撮影と編集に従事した後に退社。現在はCABUQUI WORKSを立ち上げ。 国内外の企業、集英社やHONDAなどの数々のCM.VP製作を手かげる。




映画『聾者のボクの南米見聞録』
映画『聾者のボクの南米見聞録』

映画『聾者のボクの南米見聞録』
3月31日(土)~4月6日(金)アップリンク渋谷にてレイトショー上映

監督・製作・撮影・編集:YASU
配給:CABUQUI WORKS
2015年/日本/90分

映画公式サイト

アップリンク渋谷公式サイト


▼映画『聾者のボクの南米見聞録』

キーワード:

ドキュメンタリー / 松本紀彦


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