茨城県那珂(なか)市に県内唯一のミニシアター「あまや座」が10月14日にオープン、webDICEでは代表の大内靖さんにメールで開館にあたってのコメントを求めた。
「あまや座」は、JRの水郡線瓜連(うりづら)駅から徒歩7分、「スーパーあまや」の駐車場内に位置する。運営するのは、この映画館のために設立された法人、OuchKINEMA(アウチキネマ)合同会社。茨城県那珂市の瓜連地区は、市内では菅谷地区に続く第二の商業地だが、今後の高齢化や商店街の減退を危惧し、この地で日常的に映画の観られる娯楽施設を提供したいという思いから、このプロジェクトが立ち上がった。
席数は31席。オープン初週は『八重子のハミング』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『この世界の片隅に』『家族はつらいよ2』を上映する。11月3日までオープン料金として一般1,500円、他券種も全て100円引きで鑑賞できる。
──motiongalleryのクラウドファンディングでも353万の支援を集めましたが、総工費は?
総工費はおよそ2,000万になります。建屋(建物に関する備品関係も含め)が1,300万程度、DCP・音響機材関係が600万程度、その他が100万程度になります。
「あまや座」は「スーパーあまや」の駐車場内にある。
「あまや座」の外観
──オープンは2017年2月末予定でしたが、10月14日となった理由は?
当初、閉店をしたスーパーの中に作る予定で動き出しましたが、映画館として、県の条例や消防法などの壁が予想以上に厳しいということがわかり、当初の資金(ファンドも含めた自己資金)では難しいという結論に達しました。
そこで、様々な条例や法律をきちんとクリアした状態で、しっかりと一般興行を行いたかったため、また、何よりもずっと一緒に活動を活動をして来たカミスガプロジェクトの仲間や、地元、ファンドをはじめたくさんの支援、協力者があったことと、県の興行組合や映画関連の方々、出身地の深谷シネマなど、力を貸してくださる方に多く恵まれたため、決意をしました。
スーパーの小寺社長と相談をし、駐車場を一定期間無償で貸してくださることになり、私自身もOuchKINEMA(アウチキネマ)合同会社という会社を設立し日本政策金融公庫、筑波銀行からの借り入れを行い、4月ごろに駐車場に新築での建設に動き出しました。
6月から建設が始まり、10月1日に引き渡し。消防や興行場の許可もおり、無事、10月14日にオープンすることができました。
「あまや座」代表の大内さん(中央)と、オープニングに来場した『八重子のハミング』佐々部清監督と升毅さん。
──オープンを迎え、お客さまの反応はいかがですか?
今まで茨城県の中部、北部には、水戸市かひたちなか市という場所にしか映画館がなかったため、近場のお客様は、やはり近くに映画を楽しめる場所ができて気軽に来れるので嬉しいという反応です。今まで県内では上映されなかった作品がかかるのが楽しみ、というお声も頂いています。劇場のサイズもあると思いますが、音響が素晴らしいという意見も多々いただいております。
「あまや座」客席。
プロジェクターはNECのNC1000Cを導入。
ドルビーデジタルシネマサウンドプロセッサーCP750。
JBLのスピーカーを完備。
──上映作品を選ぶ基準、編成についてのこだわりがあれば教えてください。
まずは地元の方々に知っていただく、好きになっていただくことを大切に考えています。ので、高年齢の方の多い瓜連という場所にあった作品を早い時間帯にラインアップ。また、夕方、夜の時間帯はミニシアター系の作品を中心に考えています。
また、一つの基準としては、県内初上映を多く上映したいと考えています。茨城はスクリーン数は多いものの、ほぼ全てがシネコンの為、かからない作品が他県と比べてたくさんあります。そういった作品でも、良質なものはたくさんありますので、少しでも多く触れてもらいたいと思っています。
木札には、ファンド出資者の名前が刻まれている。写真以外にも木札は貼られている。
ロビーの様子。
ロビーの様子。
──どんな映画館を目指していますか?そして今後の展望については?
まずは、地元の皆さんに愛されて長年しっかりと運営を続けていけるようにしたいと思います。また、もともと寂しくなってしまった街ではありますが、映画館という目的を持って人が集まる場所を通して、少しずつ、カフェができたり、名物ができたり、街の活性化に繋がっていくように、精進したいと思っています。
「あまや座」
茨城県那珂市瓜連1243(「スーパーあまや」駐車場内)
029-212-7531