骰子の眼

cinema

2017-09-18 17:30


オスカー最有力!?『ファーゴ』F.マクドーマンド主演サスペンスがトロント映画祭受賞

アニエス・ヴァルダ&JR共同監督作、エミネム製作ラップバトル・ムービーも受賞
オスカー最有力!?『ファーゴ』F.マクドーマンド主演サスペンスがトロント映画祭受賞
写真右:映画『スリー・ビルボード・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』海外版ポスター 写真左:映画『Faces Places(英題)』海外版ポスター

9月7日から17日まで開催された第42回トロント国際映画祭の受賞結果が発表された。今年は、イギリスのマーティン・マクドナー監督『スリー・ビルボード・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』が、最高賞にあたるピープルズ・チョイス・アワードを受賞。アニエス・ヴァルダ(88歳)とJR(34歳)の共同監督作品『Faces Places(英題)』がピープルズ・チョイス・アワードのドキュメンタリー部門を受賞した。そしてジョセフ・カーン監督『Bodied』がピープルズ・チョイス・アワード ミッドナイト・マッドネス部門を受賞した。

トロントはカンヌやヴェネチアといった他の映画祭と異なり、プラットフォーム部門を除き審査員による投票ではなく観客の投票により賞が決定。翌年のゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞のノミネートを占う上でも重要な映画祭と言われている。昨年はデイミアン・チャゼル監督『ラ・ラ・ランド』がピープルズ・チョイス・アワード、ドキュメンタリー部門にラウル・ペック監督『私はあなたのニグロではない』(2017年山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映)が選ばれ、両作ともアカデミー賞にノミネートされた。

『スリー・ビルボード・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』は、2008年の脚本・監督作『ヒットマンズ・レクイエム』でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたマーティン・マクドナー監督が、『ファーゴ』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドを主演に迎えたクライム・サスペンス。「ゲーム・オブ・スローンズ」のピーター・ディンクレイジ、ウディ・ハレルソンなど豪華キャストが脇を固めている。娘を殺された母親と警察の確執がテーマとなった本作は、第74回ベネチア映画祭で脚本賞を受賞。日本では20世紀フォックス配給による配給が決定しており、劇場公開に先駆け10月25日(水)に開幕する第30回東京国際映画祭で特別招待作品として上映される。

©2017 Twentieth Century Fox
映画『スリー・ビルボード・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』©2017 Twentieth Century Fox

ドキュメンタリー部門受賞の『Faces Places(英題)』はアップリンク配給により2018年、シネスイッチ銀座、アップリンク渋谷ほかにて全国順次公開予定となっている。「ヌーヴェル・バーグの祖母」とも呼ばれる女性映画監督の先駆であり、2015年にはカンヌ国際映画祭で史上6人目となるパルム・ドール名誉賞を受賞したアニエス・ヴァルダ。そして、一般の人が自分のポートレートをプロジェクトのホームページに送り、大きなポスターになって返送されてきた写真を好きな場所に貼る、という参加型アートプロジェクト『Inside Out(インサイド・アウト)』で知られるフランス人アーティストJR(ジェイアール)。ふたりがフランスの田舎を旅しながら、村々に住む市井の人々と接し作品を一緒に作り残していくロード・ムービースタイルのドキュメンタリーだ。第70回カンヌ国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞 (ルイユ・ドール L’Oeil d’Or:金の眼賞) を受賞している。

映画『Faces Places(英題)』
映画『Faces Places(英題)』

ミッドナイト・マッドネス部門受賞の『Bodied』は、テイラー・スウィフト「Bad Blood」からAKB48「ギンガムチェック」まで幅広いアーティストのミュージック・ビデオを手がけるジョセフ・カーンが監督。トロントに住むひ弱な白人青年がラップバトルに挑む物語で、ラッパーのエミネムがプロデュースを担当している。

映画『Bodied』
映画『Bodied』

またゴスカ・ズモウスカ、ヴィム・ヴェンダースからなる審査員が決定するプラットフォーム部門賞にはワーウィック・ソーントン監督『Sweet Country』が選ばれた。その他の主な受賞結果は以下のとおり。

【ピープルズ・チョイス・アワード次点】
クレイグ・ガレスピー監督『I, Tonya』

【ピープルズ・チョイス・アワード次点2位】
ルカ・グァダニーノ監督『Call Me by Your Name』

【ピープルズ・チョイス・アワード ドキュメンタリー部門次点】
ジェニファー・ベイチウォール&ニコラス・デ・ペンシャー監督『Long Time Running』

【ピープルズ・チョイス・アワード ドキュメンタリー部門次点2位】
モーガン・スパーロック監督『Super Size Me 2: Holy Chicken!』

【ピープルズ・チョイス・アワード ミッドナイト・マッドネス部門次点】
ジェームス・フランコ監督『The Disaster Artist』

【ピープルズ・チョイス・アワード ミッドナイト・マッドネス部門次点2位】
S・クレイグ・ザラー監督『Brawl In Cell Block 99』


ピープルズ・チョイス・アワード(観客賞)とは

非コンペティションであったトロント国際映画祭(2015年よりプラットフォーム部門のみコンペティションを行っている)の最高賞とみなされている。観客賞には、ドキュメンタリー部門、ミッドナイト・マッドネス部門、それ以外の長編作品に対する観客賞の3種がある。




映画『Faces Places(英題)』
2018年、シネスイッチ銀座、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

監督:アニエス・ヴァルダ&JR
出演:アニエス・ヴァルダ、JR
配給・宣伝:アップリンク
2017年/フランス/89分


▼映画『スリー・ビルボード・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』海外版予告編

▼映画『Faces Places(英題)』海外版予告編

▼映画『Bodied』海外版予告編

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