▲フラッグシップ・ジャパンのサイトより
【架空ポルーニン公演の銀行振り込みをされた方へ】
警察からの要請で三井住友茅ヶ崎支店のフラッグシップ・ジャパンの口座が凍結されました。資金は引き出されていないようです。被害に遭われた方は、三井住友振り込め詐欺資金返還ホットライン 0120-950-136に電話をしてください。（8月30日14時40分更新）
現在映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』が大ヒット公開中のウクライナ出身のダンサー、セルゲイ・ポルーニンが2018年に来日公演を行うという情報が突如流れたことに対し、セルゲイ・ポルーニンのエージェントが「ポルーニンの名を利用した明らかに詐欺です。チケットを購入しないようにしてください」と日本のファンに呼びかけている。
8月28日20時18分頃より、コンサートプロモーターのフラッグシップ・ジャパンが公式サイトおよびTwitterとFacebookで、公演「セルゲイ・ポルーニン ショータイム」の告知を開始した。
「2018セルゲイ・ポルーニン ショータイム日本公演」は4月9日、10日に東京・初台のオペラシティ・コンサートホールのほか、予定公演都市として札幌、名古屋、大阪、兵庫、広島、岡山、福岡が上がっており、演目は第1部が『セルゲイ・ポルーニン ショータイム（コンテンポラリー）』と題し、「Take Me To Church」のテープとピアノ独奏によるパフォーマンス、そして観客の質問も受け付けるトークコーナーを実施する、と記載。また東京公演のみの第2部は『オーケストラ・ショータイム公演へのスペシャル出演』として「オーケストラによるバレエ曲特集公演で、ポルーニンが踊ります」と紹介されていた。
▲フラッグシップ・ジャパンのサイトより
サイトでは「東京公演のみ先行受付開始」として、申し込みページも開設され、ＳＳ席は握手会参加権付き２０,０００円、Ｓ席が１７,０００円、Ａ席１４,０００円で支払いは銀行振込のみで受付が行われていた。
この情報が流れて以降、SNSでは「安っぽいタレントの落ち目じゃないんだから。何その売り出し方」「日本でのアイドル扱いのイベントで踊ることが彼にふさわしい舞台だとはとても思えない」「なんだかビミョーなので見送ります」など、ファンから厳しい意見が上がっていた。
▲フラッグシップ・ジャパンのサイトより
ポルーニンは、彼が主催するダンサーを支援する組織“プロジェクト・ポルーニン”の公演を12月にロンドンのコロシアム劇場で行うことを発表している。彼の映画を配給し、4月に東京藝術大学の奏楽堂で「Take Me To Church」を踊るプレミアイベントを主催したアップリンクとパルコは来日時に次の公演について相談していた。その際にポルーニンは「日本で公演を行うなら海外で完成したものを持ってくるのではなく、日本やアジアのオリジナルのスタッフ・キャストとコラボレーションすることを考えたい」と話していた。
アップリンクはこのフラッグシップ・ジャパンの情報に驚き、オペラシティに本当にスケジュールが押さえられているのか連絡。予約担当者は「確かに予約は入っているけれど、使用料が払われていない。支払われない限りスケジュールは確定しない。もしこの状態でチケットを販売しているなら問題です。すぐ主催者に連絡をとります」と電話で回答した。また「もし明日使用料を支払っても、キャンセル料は開催の1年前から発生するので、今回の場合は返金できない」とのことだった。
その後、アップリンクはロンドンのポルーニンのエージェントにメールでコンタクトをとった。エージェントからは「フラッグシップ・ジャパンと日本での公演の契約はしたことがない。それはセルゲイの名前を利用した詐欺なので、日本の人にこの嘘の情報に惑わされないよう、チケットを買わないようすぐ伝えてほしい」と連絡をもらった。
また同時に主催のフラッグシップ・ジャパンにもメールでどういうことか問い合わせた。すると代表取締役の辻 孝文さんから電話があり、「エージェントから4月、5月であればスケジュールが空いているという話を受けたのでホールを押さえたが、会社のアシスタントが間違ってチケットを販売してしまった」ということだった。
アップリンクは辻さんに「間違いであれば、すぐ情報を落とし、ただ落とすのではなく、間違いであることを明記してください」と伝えた。辻さんはその場で了承したが、8月30日午前10時45分の時点でトップページに情報は掲載されたままで、トップからリンクは外れているが、Facebook、Twitter、フラッグシップ・ジャパンの個別サイトからは申し込みができるようになっている。（※8月30日14時40分更新：フラッグシップ・ジャパンのトップページの情報は削除されたが、個別の申し込みページは依然掲載されている）
映画のヒットのおかげで、彼の名前を使って詐欺まがいのことをするような人が現れるほど、セルゲイ・ポルーニンが日本でスターになったことを象徴する出来事といえるだろうが、まだフラッグシップ・ジャパンのサイトには架空ポルーニン公演の情報が上がっており、チケット購入の案内が掲載されたままなので、ご注意いただきたい。
映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』
アップリンク渋谷ほか全国順次公開中
＜ヌレエフの再来＞と謳われる類まれなる才能と、それを持て余しさまよう心――。19歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。
監督：スティーヴン・カンター
『Take Me To Church』演出・撮影：デヴィッド・ラシャペル
出演：セルゲイ・ポルーニン、イーゴリ・ゼレンスキー、モニカ・メイソン他
配給：アップリンク・パルコ
原題：DANCER
2016年／イギリス・アメリカ／85分／カラー、一部モノクロ／16:9／DCP
