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2017-06-14 18:40


ボロボロになっても生きろ!俳人・住宅顕信を描く映画『ずぶぬれて犬ころ』支援募集中

本田孝義監督「少し自虐的ながらも、生を感じる彼の俳句に魅了された」
ボロボロになっても生きろ!俳人・住宅顕信を描く映画『ずぶぬれて犬ころ』支援募集中

『船、山にのぼる』『モバイルハウスのつくりかた』といったドキュメンタリー作品を手がけてきた本田孝義監督による、25歳の若さで夭折した岡山出身の俳人・住宅顕信を描く映画『ずぶぬれて犬ころ』支援プロジェクトが、250万円を目標に7月28日まで実施中。webDICEでは本田孝義監督からのメッセージを掲載する。

今回のプロジェクトでは3千円から10万円まで6つの金額設定を設け、完成した作品のエンドロールへの名前の記載や、住宅顕信ゆかりの地やロケ地案内などの特典が用意されている。詳しくはmotiongalleryの特集ページまで。




『ずぶぬれて犬ころ』製作に向けて
本田孝義(監督)

映画『ずぶぬれて犬ころ』本田孝義

私が、自分が育った街についてのドキュメンタリー映画『ニュータウン物語』を岡山県で撮影していた2002年頃、その時すでに亡くなっていた住宅(すみたく)顕信という俳人が全国的なブームになっている、という話を聞いた。住宅顕信は岡山県出身の俳人だから、特に岡山県で話題になっていたのだと思う。ブームの出発点は、精神科医の香山リカさんが住宅顕信のことを書いた、「いつかまた会える-顕信:人生を駆け抜けた詩人」という1冊の本からだった。私はこのブームの時に、香山さんの著作、住宅顕信の句集、アンソロジー集の3冊を読んで、初めて住宅顕信のことを知った。住宅顕信は、1987年に25歳の若さで白血病で亡くなっている。彼の俳句は、5・7・5にとらわれない、自由律俳句と言われているものだった。

映画『ずぶぬれて犬ころ』
映画『ずぶぬれて犬ころ』

それから時が流れ、仕事の行き詰まりなど、精神的に落ち込んでいた2014年初頭、なぜだか私の中に、住宅顕信の句「ずぶぬれて犬ころ」が蘇ってきたのだった。ボロボロになっても生きろ、と顕信に励まされたような気がした。そこから再び、住宅顕信のことに興味を持ち、調べ始めた。先の3冊だけではなく、彼の生涯を克明に調べて書かれた「生きいそぎの俳人 住宅顕信 25歳の終止符」(横田賢一著)にとても刺激を受けた。この年の秋、岡山映画祭に参加し、岡山の空気を感じながら、住宅顕信のことを映画で描きたいと強く思うようになっていった。

映画『ずぶぬれて犬ころ』
映画『ずぶぬれて犬ころ』

なぜ、顕信に惹かれるのか。「気の抜けたサイダーが僕の人生」「若さとはこんな淋しい春なのか」など、少し自虐的ながらも、そこに生を感じる俳句に魅了されたことが一番だと思うが、同時に、短い生涯の中で、命を燃やすように病室で句作りに没頭する姿を想像して胸を突かれる思いがしたからかもしれない。

私はこれまでドキュメンタリー映画を製作してきたが、すでに亡くなっている住宅顕信をドキュメンタリーで描くには、関係者へのインタビューから人生を浮かび上がらせるなどの方法しかなく、私にはあまり面白い映画になるとも思えなかった。それならば、劇映画として描くほうがふさわしいと思うようになっていった。普通に考えれば、劇映画の製作はドキュメンタリーとは全く違うので無謀なことだが、私自身、学生時代は劇映画を撮っていたし、卒業後、テレビドラマの仕事をしていたことがあるし、2013年には「ヒカリエイガ」というオムニバス映画のプロデューサーをやったので、全く知らない世界でもない。だから、劇映画にすることに迷いはなかった。

2015年になり、住宅顕信のことを劇映画にしたいと岡山の知人や知り合いのプロデューサーらに相談してみたが、なかなか話は進まない。助言もあって、脚本を先行させることになり、「ヒカリエイガ」で一緒に仕事をしたことがあった、山口文子(あやこ)さんに脚本執筆を依頼した。山口さんが短歌の歌人でもあることも大きな理由だった。

映画『ずぶぬれて犬ころ』
映画『ずぶぬれて犬ころ』

一時、「ずぶぬれて犬ころ」は、岡山の某民放でドラマにするという話もあったのだが頓挫。私の力量不足もあって、製作費集めはなかなか思うように進展しなかった。そんな中でも、製作費の支援を申し出てくれる個人、企業も幾つかあった。ありがたい話だが、これだけでは製作費に足らないので、思い切って初めてクラウドファンディングにも挑戦してみることにした。

全体の製作費800万円の内、250万円をクラウドファンディングで集めようと思っている。この250万円は、主にスタッフ、キャストの人件費に当てたいと思っている。4月1日にスタートして、ありがたいことにすでに110人の方から144万円の応援をいただいている。ファンディングを始めてわかったのは、コレクターの方々への責任の重さだった。ファンディングスタート時点では、『ずぶぬれて犬ころ』は脚本しかなかった。コレクターの方々の期待に応えるためにも、キャスティングやスタッフ集めを具体的に進める励みになった。6月3日、4日には岡山で役者オーディションを行う。諸事情でまだ明かせないのだが、著名な俳優の方の出演も決まった。音楽は池永正二さん(あらかじめ決められた恋人たちへ)に作っていただくことも決まった。9月の撮影に向けて、その他のスタッフ編成も話を進めているところだ。

しかしながら、同時に不安も感じている。個人的な知り合いにファンディングのお願いをし、多くの方が応援してくれたのでスタートは順調だったのだが、ここしばらく動きが鈍くなっている。終了する7月末までにはまだ時間があるので、キャスト・スタッフが決まれば製作発表記者会見を行い、まだまだ盛り上げて行きたいと思っています。




■夭折の俳人・住宅顕信を描く、映画「ずぶぬれて犬ころ」
製作支援プロジェクト
MotionGalleryプロジェクトページ


▼精神科医の香山リカさんからの応援メッセージ。顕信のみずみずしい句に魅了された香山さんは、「今の若い人にも知ってもらいたい」と『いつかまた会える―顕信:人生を駆け抜けた詩人』を2002年に上梓。講演会など、顕信の魅力を伝える活動を続けている。

キーワード:

本田孝義 / motiongallery


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