骰子の眼

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東京都 中央区

2017-04-02 22:00


銀座シャネルのロバート・メイプルソープ写真展『MEMENTO MORI』代表作の男性ヌード写真も展示

銀座では4月9日まで。建築家ピーター・マリーノのコレクションから、静物や花、ヌード、肖像等91点を展示
銀座シャネルのロバート・メイプルソープ写真展『MEMENTO MORI』代表作の男性ヌード写真も展示
『MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展 ピーター マリーノ コレクション』より、WHITE GALLERY2 All Mapplethorpe Works © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで写真家ロバート・メイプルソープの作品展『MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展 ピーター・マリーノ コレクション』が4月9日(日)まで開催。初日前日となる3月13日のレセプションでは、銀座シャネルのビルも手がけた建築家で、今回展示される作品を所蔵するピーター・マリーノ氏の質疑応答も行われた。

『MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展』は、ピーター・マリーノ氏のプライベートコレクションから、静物や花、ヌード、そして肖像等を写した作品を91点を展示。マリーノ氏はネクサス・ホールの空間を、WHITE GALLERY1、WHITE GALLERY2、BLACK GALLERYと3つの小展示室に分割。メイプルソープの作品の二元性を探求するために、鑑賞者がギャラリーを進むにつれ、主題の強烈さが増していくように作品がグループ分けしたという。エレベーターを降りるとすぐに展覧会場となり、その入り口には男性性器が写った写真が展示されている断り書きが掲示されている。BLACK GALLERYでは、完璧なペニスの持ち主とメイプルソープが評した彼のメイル・ミューズだったKen Moodyのコーナーではこの規模の日本で行われるメイプルソープ写真展ではおそらく初めて男性器がはっきりと写った写真が展示されている。

この作品展は4月15日(土)から5月14日(日)まで「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」の一環として京都に巡回。また、アップリンクの配給により2018年日本公開を予定しているロバート・メイプルソープのドキュメンタリー映画『Mapplethorpe: Look at the Pictures』には、メイプルソープ作品のコレクターの一人としてピーター・マリーノ氏が登場している。

All Mapplethorpe Works © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
『MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展 ピーター マリーノ コレクション』WHITE GALLERY1にて、ピーター・マリーノ氏 All Mapplethorpe Works © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

ピーター・マリーノ氏が語るメイプルソープ
「彼のカラーの写真は一枚も持っていません」

──メイプルソープの作品をコレクションしようと思ったきっかけは?

今回展示されるのは1970年代から80年代に撮られた作品ですが、その時代、果たして写真はファインアートか?と物議を醸しました。私は個人的にはメイプルソープの作品はファインアートだと感じました。

優れた芸術作品について、第一に考えなくてはいけないのは、真実がそこにあるのか、ということです。彼の作品には純粋にその真実があると思います。

ぜひ注意して作品を見てください。そしてこの作品が50年前の作品であることを忘れずに見てください。とてもモダンで、まるで昨日撮られたかのような作品です。まさに優れたアートは時代を越えて進んでいくもの。そうした作品を生み出すのが素晴らしいアーティストだと思います。

Ken Moody and Robert Sherman, 1984 Gelatin Silver Print © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
WHITE GALLERYに展示されている「Ken Moody and Robert Sherman, 1984」Gelatin Silver Print © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

──建築家として、メイプルソープの作品からどのようなインスピレーションを受けていますか?

実は正直申し上げて、これといってありません。どちらかというと私は様々なアートを集めるのが好きなのです。とはいえ、私がアートと建築の関係について語った新しい本『Peter Marino: Art Architecture』が出ましたが、まさにこのシャネルのプロジェクトもそうですし、私が建築を手がけるときは常にファイン・アートが出発点になっています。

シャネルのお客さまから「壁を触るのが好き」とか「使われている椅子の生地が好き」「テーブルを触るのが好き」とお手紙をいただくことがあり、とても嬉しく思います。写真についても同じで、いつでもすぐ触れられるような感覚的なものがあるんじゃないでしょうか。メイプルソープの作品は、まるで生きているかのような感覚がすると思います。私は彼の作品のそんなところが好きなのです。

Watermelon with Knife, 1985 Gelatin Silver Print © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
WHITE GALLERY 2に展示されている「Watermelon with Knife, 1985」Gelatin Silver Print © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

──マリーノさんにとって偉大なアーティストの条件とはなんでしょうか?

時代を超越していること、永遠に真実であること、そしてすばらしい美があること(TIMELESS、ETERNAL TRUTH、GREAT BEAUTY)です。

──まさにメイプルソープの作品にもその要素がありますね。

そのとおり、メイプルソープの作品は時代とともにさらに評価が高まっているんじゃないでしょうか。アーティストによっては、一時的に人気が出ても、20年後、30年後忘れられてしまう人もいるなか、メイプルソープと彼の作品はまるでひとつの大きなボールのようで、時代とともにどんどんその流れは早くなりかつ大きくなっている。世界がまた彼の素晴らしさに気づいているんだと思います。

世界が再びメイプルソープを素晴らしいアーティストだと認識しはじめています。1年ほど前に彼の作品が65万ドルで売れました。

──彼に対する評価も変わっているんでしょうね。

私にとっては価格が高騰しているというのは好ましくないことです。もっと彼の作品を集めたいですから、痛手を被っています(笑)。今日であればこのようなコレクションをすることは誰もできなかったでしょう。

All Mapplethorpe Works © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
『MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展 ピーター マリーノ コレクション』より、BLACK GALLERY All Mapplethorpe Works © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

──マリーノさんの情熱で今回の展覧会が実現しました。どんなところが見どころでしょうか?

アーティスティックなビジュアルを楽しんでください。例えば最初の部屋の壁には、白と黒の写真が壁に対して半分ずつ配置しているのがおわかりでしょう。

メイプルソープがいかに主題を白と黒のコントラストを使って描いたか、どのような構成になっているかをぜひ見ていただきたいです。シンプルな肖像画でも、普通のアーティストであれば上に白い四角を置かなかったと思います。それに対して彼は、人物の上に浮いているように白い四角を配置し、ボディとの角度も巧妙に構成しています。そしてぜひ作品の近くまで寄って、細かい表現まで見ていただきたいです。

──すべてモノクロの作品で構成されていますが、カラーの写真には興味がないのですか?

はい、事務所でもよく「ピーター・マリーノは白黒でしかものを考えない」と言われるくらいんです(笑)。

──では、メイプルソープのカラーの作品はお持ちでないんですか?

一枚も持っていません。カラーの作品はメイプルソープのなかではあまり良いものがあるとは思えません。

Tulip, 1984 Gelatin Silver Print © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
BLACK GALLERYに展示されている「Tulip, 1984」Gelatin Silver Print © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

──メイプルソープの写真でいちばん最初に買ったのはいつ、どの作品ですか?

1982年だったと思いますが、今回は展示していません。サボテンがモチーフになったもので、自分の家にあって門外不出の状態です。

──額についてはオリジナルですか?それともピーターさんがあつらえたものですか?

いい質問ですね。黒のものも細いシルバーのものも、すべてオリジナルです。私は70年代のままぜったい変えないようにしています。メイプルソープが自身で使ったフレームを使い、どのように展示したかは細心の注意を払っています。展示されている壁に対して、違う要素の作品があってもそれをうまく構成するようにしています。

もし白や木目、ゴールドの枠が使われたメイプルソープの作品をどこかで見かけたら、それはきっとオリジナルのフレームではないですよ(笑)。

All Mapplethorpe Works © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
『MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展 ピーター マリーノ コレクション』より、WHITE GALLERY2 All Mapplethorpe Works © Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.



『MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展
ピーター・マリーノ コレクション』
4月9日(日)まで開催中

会場:シャネル・ネクサス・ホール (中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)
12:00~20:00 (入場無料・無休)
主催:シャネル株式会社

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