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フランス人監督、ジェローム・ラベルザの視線は明確だ。
現在のジャマイカにおけるレゲエの現状と社会的現実(それはもちろん虐げられた人々の側から語られる痛ましい真実と形を変えて続く搾取の歴史、タフなゲットーの生活)、レベルミュージックとしてレゲエが成立するに至った思想的宗教的背景としてのラスタファリズムがどの様にしてバビロンシステムを糾弾し戦い続けてきたか、そして、なおかつそれがレゲエとどう関わり相互的な影響を与え合い続けてきたかを、各々の重要なアーティストの証言とパフォーマンスによって導きだそうというものだ。
それらのパフォーマンスは緻密に演出されたPVの様な構成で記録されたシーンや、明らかに擬似的なライブシーンで表現されている場面も少なくない。
そういう意味ではドキュメンタリーと言えども予定調和的であり、レゲエ大国である我が国のリスナーを満足させるには少し甘ったるい側面も見え隠れしそうだ。
もちろん、冒頭の人気ダンサー、ボーグルの射殺事件などに代表される銃と暴力に彩られたタフな現実や、ゲットーの厳しい現実もリアルに描かれてはいるが。
しかし、ドキュメンタリーが常にライブの現場を必ずしもリアルに撮影し続けなければならないというわけではないだろう。
メッセージをよりわかりやすくストレートに伝えるために作為的な演出が施されていても、この映画の作品的価値や音楽的な重要性が損なわれるようなことはない。
優れたパフォーマンス、鋭い組み合わせ、良い音で録られた音楽、本音と心情を語ったインタビューをベースに、カットアップやリミックスの手法を用いながら、彼らアーティストのメッセージと本質を鮮やかに切り出して見せている。
そして、エレファントマンからバニー・ウェイラー、バウンテイ・キラー、レディ・ソウからトゥーツ・ヒバート、サードワールドまで、ルーツロックの超大物とダンスホールのビッグスター、そして現場シーンの底流を支えるニューカマー達が違和感無く並列に描かれ、ジャマイカン・ミュージックの豊潤なる奥深さと幅の広さ、そして脈々と連なる音の歴史を彼らの貴重な証言も含めて描き出している。
まさに『MADE IN JAMAICA』。
長きに渡りレゲエに親しんできた者から若いリスナーまで、かの国の音楽に魅せられたことのある人には是非とも見て欲しい。
そこには新たな発見が必ずあるはずだ。
福井 浩(cultural vibes)
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■応募締切り:2008年7月6日(日)
※当選者の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。
『MADE IN JAMAICA』
7月5日より渋谷シネ・アミューズ他全国順次ロードショー!
脚本・監督:ジェローム・ラペルザ
出演:バニー・ウェイラー、エレファント・マン、バウンティ・キラー、サード・ワールド、トゥーツレディ・ソウ、グレゴリー・アイザック他
2006年/フランス/カラー/109分/提供・配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
http://www.madeinjamaica.jp/