ウェブを中心に劇場公開を求める2589名の署名を集め、今夏公開が実現された話題の映画『ホット・ファズ』。すべての発起人の映画ライター、わたなべりんたろう氏のひたむきなアツイ映画人の姿勢にアップリンクも感銘を受け、「『ホット・ファズ』トークショーイベント~映画を観客に取り戻せ!~」を6月29日(日)にアップリンク・ファクトリーにて開催。それに伴い、『ホット・ファズ』に対する無償の愛をわたなべ氏に語ってもらった。
── 運命の作品ともいえる『ホット・ファズ』 とは、どういった経緯で出会うことになったのですか?
実際に『ホット・ファズ』を初めて見たのは、去年の7月末にリリースされたアメリカ盤DVDを見たことです。製作時からイギリスの雑誌などで、大好きな『ショーン・オブ・ザ・デッド』の監督と主演2人が作った『ホット・ファズ』が話題になっていて知っていました。
── なぜ、それほど『ホット・ファズ』に惹きつけられ、劇場公開を求める署名運動、ほぼ見返りのない不眠不休での宣伝活動、その究極なまでの「無償の愛」の行動に駆り立てられたのですか?
今まで未公開DVDとしてリリースされた『バス男』『スーパーバッド』『バッド・デイズ』などのように、『ホット・ファズ』をレンタル店に1枚しか置かれずに、カルト的な人気が出るだけの作品にはしなくなかったんです。公開が予定されていないようだったので、見てすぐに出来の素晴らしさから「『ショーン・オブ・ザ・デッド』のように未公開にならいないように動こう!」と決意しました。
公開署名運動のウェブサイトの冒頭にも書いたように、「この映画を公開せよ!! これこそスクリーンで大勢で楽しむべき傑作なのだから!」の思いが強くありました。これだけ映画への情熱が溢れた傑作も滅多にないし、マニア向けだけに終わらない一般性もある娯楽映画であったのも大きな理由です。それと、これだけの出来の映画や出演俳優が日本では知られていないからの理由だけで公開されないのは残念ですし、ある意味で日本の映画業界の保守性も感じました。
── 5月9日に新宿で開催された公開署名運動主催のトークショー第1回で、監督・脚本のエドガー・ライトと主演のニコラス・エンジェルが緊急来日してイベントに参加したそうですね。
メールでエドガーには知らせてありましたが、2人とも本当に来てくれるとは思わなかったし、来ても少しの時間かと思ったら、2時間以上もいてくれて質疑応答やサインにも応じてくれて感動しました。エドガーもサイモンもブログで、このイベントのことを「とても楽しかった!」と書いてくれ、後日、エドガーはロンドンから贈り物としてサイン入りの『ショーン・オブ・ザ・デッド』のフィギュアを送ってくれました。
↓トークイベントの模様── 前例のない上映署名運動、手応えを感じ始めたのはいつごろからでしょうか? そして、その勝算は何によって得られたと考えますか?
署名が1000名を超えた頃に、「日本でも公開できるかも」の手ごたえを感じました。ですが、実際はその署名の実績があっても、映画会社には何度も断られて、やっと決まったのは7社目ぐらいでした。見てもらって、多くの方に応援コメントをいただいたのには感謝していますし、口コミのようなネットでの伝播が大きかったと思います。
── ウェブの力をフルに活用したパブリシティは、わたなべさんのネットワークも手伝って配給会社のそれに比べ、より大きな反響を得られています。 最後に、わたなべさんの考える『映画愛』とはなんですか?
好きな映画を素直に好きと言えることです。
6月29日(日)は、賛同者である特別ゲスト達を招いて『ホット・ファズ』について語り合うアツイ夜になるだろう。
『ホット・ファズ』トークショーイベント~映画を観客に取り戻せ!~
日時:6月29日(日)20:30~
料金:¥1800(1ドリンク付き)
会場:アップリンク・ファクトリー
(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階)([地図を表示])
特別ゲスト:サエキけんぞう、桜井鉄太郎、森岡龍、白石晃士、柏原寛司、都築宏明、添野知生、MAD K、ギッチョ
お問い合わせ:03-6821-6821(担当/露無・松下)
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