骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2016-07-02 20:00


LGBT映画祭が今年で25周年!グレッグ・アラキ監督作他注目の9作品をピックアップ

「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」が「レインボー・リール東京」に改名し新たな出発
LGBT映画祭が今年で25周年!グレッグ・アラキ監督作他注目の9作品をピックアップ
映画『ミステリアス・スキン』より、ジョセフ・ゴードン=レヴィット(左)

1992年より開催され、今年で25回目を迎える「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」が今年より「レインボー・リール東京」として7月9日(土)よりシネマート新宿、そして7月15日(金)よりスパイラルホールにて開催される。

「レインボー・リール東京」代表の宮沢英樹氏は、名称の変更と映画祭のテーマについて「セクシュアリティはグラデーション。レインボーカラーはそれぞれの色に意味があったりしますが、多様性を示す象徴でもあります。そしてリールとは映画のフィルムを巻く一巻き。最近はデジタル化が進んで見る機会が減ってきましたが、夢も希望も絶望もつまった映画を象徴する言葉です。私たちは、多様な映像作品を通してセクシュアリティの多様性を日本中の人たちと共有したいと願っています」とコメントを発表している。

今年は国内外から選出されたセクシュアル・マイノリティをテーマとする全13プログラムを上映。ゲイであることをオープンにし、インディペンデント映画界で活躍する日系3世のグレッグ・アラキ監督の代表作2作『リビング・エンド』『ミステリアス・スキン』も上映される。webDICEでは、プログラミング・スタッフの大木卓実さんのレコメンドにより、9作品をピックアップして紹介する。




『パリ 05:59』
7月14日(木)19:00~シネマート新宿
7月18日(月・祝)18:55~スパイラルホール

映画『パリ 05:59』より
映画『パリ 05:59』より

英題:Paris 05:59
原題:Theo et Hugo dans le meme bateau
監督:オリヴィエ・デュカステル、ジャック・マルティノー
2016年/フランス/97分/フランス語

眠らない街パリのある夜、セックスクラブでテオとユーゴーは目と目が合った瞬間に惹かれ合い、その場で情熱的に愛を交わす。その後、夜のパリをさまようテオとユーゴーであったが、衝撃的な事実が判明し、2人のロマンスは思わぬ方向へ向かっていく。2016年ベルリン国際映画祭でテディ賞観客賞を受賞した話題作が早くも日本上陸。冒頭18分間におよぶ耽美的なセックスシーンと、その後の生々しい恋愛模様が上手くマッチした極上のロマンス映画。リアルタイムで展開される愛のドラマは『ウィークエンド』(第21回上映)や『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』を彷彿させる。




『彼方から』
7月16日(土)21:05~スパイラルホール
7月17日(日)14:05~スパイラルホール

映画『彼方から』より
映画『彼方から』より

英題:From Afar/原題:Desde Alla
監督:ロレンソ・ビガス
2015年/ベネズエラ、メキシコ/93分/スペイン語

裕福な初老の男性アルマンドは、カラカスの道端で見知らぬ青年に声をかけ、自分のアパートに誘い込むことを常としていた。彼の望みは身体的な交わりではなく、ただ遠くから眺めることだけ。ある日、アルマンドは不良の若者エルダーを自宅に連れ帰るが、その時から彼らの運命は大きく変わろうとしていた。主演を務めるのは『NO』や『ザ・クラブ』など、ラテン映画に欠かせない存在となったアルフレド・カストロ。ベネズエラの新星ロレンソ・ビカスの処女作にして、2015年ヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞受賞作品がついに日本初公開。親密な人間関係を築くことができないアルマンドと不良少年エルダーの行く末に目が離せない。




『バーガンディー公爵』
7月13日(水)19:00~シネマート新宿
7月18日(月・祝)13:55~スパイラルホール

映画『バーガンディー公爵』より
映画『バーガンディー公爵』より

英題:The Duke of Burgundy
監督:ピーター・ストリックランド
2014年/イギリス、ハンガリー/104分/英語

ある時代、あるヨーロッパの街で、見習い昆虫学者エヴリンはメイドの仕事で豪邸を訪ねる。そこに住むのは、冷酷で高慢な女性シンシア。エヴリンはシンシアに抵抗することなく、時には羞恥的な命令に従い続ける。しかし、これらはすべて2人の間のロールプレイであった。女性同士の倒錯的な愛の関係を見事な映像美で描き、トロント国際映画祭を始めとする世界各国の映画祭で上映され、大きな議論を巻き起こした問題作。メガホンを取るのは『バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所』で世界を驚愕させた鬼才ピーター・ストリックランド。Indiewireによる2015年の公開作品ベスト20で見事3位に輝くなど、すでにカルト的な人気を博している。




『サマータイム』
7月15日(金)20:00~スパイラルホール
7月17日(日)11:30~スパイラルホール

映画『サマータイム』より
映画『サマータイム』より

英題:Summertime/原題:La Belle Saison
監督:カトリーヌ・コルシニ
2015年/フランス、ベルギー/105分/フランス語

1971年、農家の一人娘デルフィーヌは保守的な両親から自立するため、パリへやってくる。そこで女性解放運動を率いるキャロルに出会い、彼女の自由な精神に惹かれていくが……。避妊と中絶の自由など、それまでは認められていなかった権利を勝ち取るために女性たちが立ち上がった70年代のフランス。激動の時代を背景に、『スパニッシュ・アパートメント』のセシル・ドゥ・フランスと『サンバ』のイジア・イジュランが情熱的な恋に落ちる2人の女性を演じる。パリと地方の格差をリアリティーをもって描き、ラブストーリーと歴史を交錯させることに見事に成功した作品。2015年ロカルノ国際映画祭でヴァラエティ・ピアッツァ・グランデ賞を受賞。




『ゲイビー・ベイビー』
7月11日(月)19:00~シネマート新宿
7月16日(土)15:40~スパイラルホール

映画『ゲイビー・ベイビー』より
映画『ゲイビー・ベイビー』より

英題:Gayby Baby
監督:マヤ・ニューウェル
2015年/オーストラリア/85分/英語

いまだ同性婚が法制化されていないオーストラリアで、同性カップルを親に持つガス、エボニー、マット、グレアムの4人。カメラはそれぞれの家庭に密着し、思春期に差しかかろうとしている4人の“ゲイビー”の日常生活を追う。彼らはゲイやレズビアンである親のことをどう思っているのか?他の子どもとは違う悩みを抱えているのか?子どもの目線から家族の多様性をとらえた自然体のファミリー・ドキュメンタリー。4年の歳月をかけて子供たちの成長を記録したマヤ監督自身がゲイビーであり、自身の思いを反映したドキュメンタリーとなっています。同性カップルやその子どもたちはもちろんのこと、すべての家族必見です。




『西北西』
7月16日(土)17:55~スパイラルホール

映画『西北西』より
映画『西北西』より

英題:West North West
監督・脚本・編集:中村拓朗
2015年/日本/126分/日本語・ペルシア語・中国語
© 西北西

レズビアンのケイには、モデルの恋人アイがいるが、日々アイとの関係に不安を抱え、さらに自身の生き方まで悩んでいた。ある日、イスラム教徒のイラン人留学生ナイマと出会い、彼女の生き方や信仰心に触れ、心の疼きを感じはじめる。変わりゆく三人の関係性。そして迫りくる現実とそれぞれ対峙していく……。

昨年の第20回釜山国際映画祭・公式コンペティション(ニューカレンツ部門)への正式出品を果たした、中村拓朗監督の長編2作目。プロデューサーは、アップリンクで今年上映され好評を博した竹馬靖具監督作品『蜃気楼の舟』の汐田海平。ケイ役には、10歳で鈴木清順監督の『ピストルオペラ』(01)でスクリーンデビューを飾り、その後も、『誰も知らない』(04)や、『悪人』(10)、『マイ・バック・ページ』(11)など多くの話題作に出演している韓英恵。ナイマ役には、バラエティ番組のタレントとしてもお馴染みのサヘル・ローズ。『ペコロスの母に会いに行く』(13)や、『映画 みんな!エスパーだよ!』(15)に出演するなど女優としての頭角も現してきた彼女が、本作ではイラン生まれの生い立ちを活かした役どころで、リアリティー十分。




『ハイヒール革命!』
7月17日(日)16:30~スパイラルホール

映画『ハイヒール革命!』より
映画『ハイヒール革命!』より

英題:High Heels Revolution!
監督:古波津陽
2016年/日本/73分/日本語
©2016「ハイヒール革命!」製作委員会

トランスジェンダー(MtF)のナツキ。子供の頃はセーラームーンに憧れ、「男なのに」と他人にバカにされても好きなものは曲げられなかった。教師たちから抑圧され続けた中学時代から一転、女子バレー部キャプテンとして活躍するほど劇的に自由を得られた高校生活。温かい家族の愛に支えられながらも、「性同一性障害」という言葉だけでは到底片付かない苦難の道が続く。十代の終わりに決心した大きなリスクを伴う危険な手術。コンプレックスをいかにして自分らしさに変え、どう生まれ変わったのか。

ナツキとその家族たちの葛藤の日々を取材した内容だけでも十分共感できるドキュメンタリーなのだが、それに留まらず、取材に基づいた再現ドラマパートも大いに見応えがある。ナツキ役には、大河ドラマ『龍馬伝』で坂本龍馬の幼少役を演じて一躍有名子役となり、15歳の今もそのあどけない可愛さから再び話題を集めている濱田龍臣。カツラをつけてメイクもしているのだが、自然で美しく且つキュートな女性になり切って演じている。ナツキにとって一番の“人生の応援団長”である母親役には、西尾まり。頼りになる肝っ玉母さんっぷりはまさにハマリ役。他にも、高校時代の教師に藤田朋子、親友役に秋月三佳など、豪華キャスト陣による共演が実現!




第25回記念グレッグ・アラキ・レトロスペクティブ

『リビング・エンド(デジタル・リマスター版)』
7月17日(日)18:50~スパイラルホール

映画『リビング・エンド』より
映画『リビング・エンド』より

英題:The Living End: Remixed and Remastered
監督:グレッグ・アラキ
2008年/アメリカ/85分/英語

『ミステリアス・スキン』
7月17日(日)20:55~スパイラルホール

映画『ミステリアス・スキン』より
映画『ミステリアス・スキン』より

英題:Mysterious Skin
監督:グレッグ・アラキ
2004年/アメリカ/99分/英語

90年代ニュー・クィア・シネマの旗手として今なお人気を誇るグレッグ・アラキ。彼の作品を紹介し続けてきた当映画祭では、第25回記念企画として代表作2作品をレトロスペクティブ上映する。まずは、絶望的な状況に追い込まれたHIV陽性の若者2人が愛の逃避行を繰り広げる壮絶なラブストーリー『リビング・エンド』。1993年の劇場公開当時、ゲイ版『テルマ&ルイーズ』として話題になった名作が、本邦初上映のデジタル・リマスター版で再登場。そして、2人の少年の運命を変えたひと夏の出来事とその10年後を描いた青春映画の金字塔『ミステリアス・スキン』。男娼を演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットの妖絶な魅力に目を奪われること間違いなし。いずれの作品も日本版DVD・ブルーレイは未発売。スクリーンで見られる貴重なチャンスをお見逃しなく!




第25回レインボー・リール東京
~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~
会場:シネマート新宿、スパイラルホール

会期:シネマート新宿
2016年7月9日(土)~7月15日(金) ※夜間のみの上映
スパイラルホール
2016年7月15日(金)~7月18日(月・祝)
主催:NPO法人 レインボー・リール東京

公式サイト:http://rainbowreeltokyo.com/2016/


▼『パリ 05:59』予告編

▼『彼方から』予告編

▼『バーガンディー公爵』予告編

▼『サマータイム』予告編

▼『ゲイビー・ベイビー』予告編

▼『西北西』予告編

▼『リビング・エンド』予告編

▼『ミステリアス・スキン』予告編

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