骰子の眼

大阪府 大阪市

2016-06-10 15:15


NOON風営法裁判、最高裁が検察側の上告を棄却し金光正年さんの無罪が確定

「無罪を元にさらなる改正と慎重な運用を訴えていきたい」
NOON風営法裁判、最高裁が検察側の上告を棄却し金光正年さんの無罪が確定
二審無罪判決の報告会にて、金光正年さん(前列中央)と弁護団

「許可なくダンスさせた罪」に問われ、一審、二審で無罪判決を勝ち取った「NOON風営法裁判」で6月7日、最高裁判所第3小法廷は検察側の上告を棄却し、大阪地裁、高裁での無罪判決を支持。大阪のクラブ「NOON」の元経営者・金光正年さんの無罪が確定した。

金光さんは2014年4月の一審の大阪地裁では、「性風俗を乱すおそれがある享楽的なダンスは行われていなかった」として無罪判決を受け、2015年1月の二審の大阪高裁でも「規制の対象になるのは男女が身体を接触させるダンスを客に行わせ、飲食させる店で、そのような営業は行われていなかった」として無罪となった。今回の判決で、クラブでダンスをさせる営業は、風俗営業として規制すべきものではない、と司法が明確に判断を下した事になる。

今回の無罪確定を受けて、NOON弁護団と金光正年さんは声明を発表。「この無罪を元にさらなる改正と慎重な運用を訴えていきたい」と金光さんがコメントしているように、6月23日から施行される改正風営法では、ダンスを風俗営業から除外されたものの、深夜0時以降に飲食店でダンスをさせる場合には「特定遊興飲食店」という新しいカテゴリーの許可が必要になる(風営法の管理下から外れるわけではない)ので、問題の多い改正という意見が上がっている。無罪確定が、この問題の議論に影響を与えることは間違いない。

2審判決写真

NOON風営法違反被告事件
金光正年さんの無罪確定に関する弁護団声明

 最高裁判所第3小法廷は平成28年6月7日、無許可でクラブ「NOON」を経営し、客を踊らせて飲食させたとして、風営法違反罪(無許可営業)で起訴された金光正年さんについて、第一審無罪判決を不服とする検察官控訴を棄却した控訴審判決を支持し、検察官の上告を棄却した。平成24年4月の摘発から4年以上にわたり、被告人の地位に縛り付けられてきた金光さんの無罪がようやく確定する。

 最高裁判所第3小法廷の決定は、検察官の主張が適法な上告理由にあたらないことを理由とする門前払いである。法の不当な拡大解釈にこだわった検察官の主張が退けられたのは当然だ。一方で、金光さんと弁護団が強く求めてきた憲法判断には踏み込まず、あるべき法解釈のかたちを示さなかった点は極めて残念である。

 上告棄却決定により、平成27年1月21日控訴審判決の判断枠組みが確定する。控訴審判決の解釈に基づけば、風営法ダンス営業規制の対象は「立法当時から想定されていた、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスをさせる営業」に限られる。ほぼすべてのクラブが規制対象の風俗営業には当たらなかったのである。控訴審判決の判断は、時代や社会の変化に応じて規制の対象やあり方も変わるべきこと、不当な法の拡大解釈による規制強化は許されないことを、はっきりと示したものといえよう。

一審無罪判決後、客にダンスをさせるか否かを指標とする風俗営業規制を廃止する改正風営法が成立した。他方、風俗営業の枠外としつつも、都道府県公安委員会の許可を要する特定遊興飲食店営業規制が新たに設けられ、まもなく施行される。

「ダンス」以上に曖昧で、いかようにも解釈できる「遊興」概念に基づく営業規制は、不当な拡大解釈、恣意的な解釈による規制強化を再び招くおそれがある。規制当局は、改正風営法に基づく規制についても、本件第一審判決及び控訴審判決が示し、上告審が是認した法解釈を十分に尊重し、不当な拡大解釈によって規制を強化しようとする試みが許されないことを肝に銘ずべきである。

平成28年6月9日
NOON風営法裁判弁護団 一同


NOON裁判報告会

「無許可でダンスをさせた」NOON裁判が上告審で最高裁が検察の上告を棄却し無罪確定します。

応援して下さった皆様、ありがとうございました!

何より今月の改正施行前で良かったと思います。

この度の改正風営法は「クラブ=風俗営業」という前提の上で議論されてきました。 しかし、NOON無罪判決は「クラブ≠風俗営業」と司法判断されましたので、改める必要を訴えたいと思います。

悔やまれるのは、高裁無罪の時点で確定していれば、昨年の内閣委員会で「クラブ≠風俗営業」を前提に改正出来たと思われます。

そしてこの無罪を元にさらなる改正と慎重な運用を訴えていきたいと思います。

平成28年6月9日
金光正年




【関連記事】

無罪となったNOON風営法訴訟、判決文全文掲載(2014-05-03)
http://www.webdice.jp/dice/detail/4176/

キーワード:

風営法 / NOON


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