骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2015-08-27 14:35


バレエ男子ブームを牽引するバレエジェンツが語る「ぼくらが“バレエボーイズ”だったころ」

「映画を観ながらぼくも葛藤していました」ノルウェーのバレエ少年たちに強く共感
バレエ男子ブームを牽引するバレエジェンツが語る「ぼくらが“バレエボーイズ”だったころ」
映画『バレエボーイズ』より

北欧ノルウェーを舞台に、プロのバレエダンサーを目指す3人の少年の4年間を追った青春ドキュメンタリー『バレエボーイズ』が8月29日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンク他にてロードショー。

公開にあたり、本作のオフィシャルサポーターである、熊川哲也さん率いるK-BALLET COMPANYが誇る男子バレエグループ、バレエジェンツの5人による座談会が行われた。 華やかなバレエの舞台に立つまでの厳しい練習や女子との関係など、苦労を乗り越えてきた5人ならではの視点で映画『バレエボーイズ』が語られた。

webDICEでは座談会の一部を公開。座談会全文は劇場パンフレットに掲載されていますので、ぜひ公開劇場でお求めください。

なお、公開初日の8月29日(土)にはバレエジェンツの宮尾俊太郎さんにるトークショーがヒューマントラストシネマ有楽町12:25の回上映終了後に行われる。

ボーイズクラスの中での競争が大変

──―この映画は12~16歳という年齢の少年たちの物語ですが、その頃のご自身を思い出されたりしましたか?

全員:しました!

益子倭(以下、益子):僕が15歳のときは、ちょうどイギリスに留学していたので、あのバレエスクールの雰囲気を思い出しました。難しい時期というよりは、僕はもう“夢に向かってまっしぐら”という時期でした。

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益子倭さん

栗山廉(以下、栗山):僕も15歳のときはヨーロッパに留学していたんです。まずベルギーのアントワープ王立バレエ学校、その2年後にローザンヌのルードラ・ベジャール・バレエ学校に2年留学しました。日本人の先輩もいらっしゃったので、たくさん相談に乗ってもらったり、本当に良くしてもらいました。

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栗山廉さん

杉野慧(以下、杉野):僕はKバレエスクールに入学した歳で、学業とバレエの両立がとても大変でした。だからシーヴェルト君の気持ちがとてもよくわかります(笑)。学業をしっかりしなさいというのは先生にも親にも言われていましたが、なんとかギリギリのラインの成績だけ取って、バレエだけはしっかりやるっていうスタンスで高校卒業するまで苦戦したことが、この映画を観て蘇りました。朝8時20分くらいに学校が始まって、部活にも入っていたので、その終わりが18時くらい。19時45分からのクラスをやって、22時半にバレエスクールを出て、24時くらいに家について、そこから勉強して……という毎日でしたから……もうできないなと思います。あの生活は(笑)。

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杉野慧さん

福田昂平(以下、福田):僕も杉野くんと一緒でKバレエスクールにいました。学業との両立も大変だったんですが、それよりもボーイズクラスの中での競争が大変だったというか……すごく気にしていました。年に一度大きな舞台があるのですが、映画の中にも出てきた“アセスメント”と呼ばれる試験での成績が指標になるので、その成績に一喜一憂していましたね。それに、受験の年齢が近づいてくるにつれて段々焦ってきて、周りが受験勉強してる中で自分はバレエダンサーにならなくてはいけないのだから、せめてボーイズクラスの中ではトップにいないといけないよな、という思いがありました。

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福田昂平さん

宮尾俊太郎(以下、宮尾):僕は一度、バレエを辞めているんです。当時19歳で、海外でオーディションに落ちて、帰国して、その後辞めたんですが……振り返って考えてみると自分にはバレエしかないし、バレエの世界で多感な時期を過ごしてる。それで、3ヵ月くらいしてまたバレエに戻りたいと思ったんですよね。映画の中でもオーディションを受けるときの緊張感とか、懐かしかったですね。あと、ルーカスが寮に入ったとき。僕も二人部屋だったんで、違う国籍の人と一緒になるという感覚も懐かしい。

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宮尾俊太郎さん

──当時から女子のほうが多かったですか?

益子:そうですね、女子の方がもちろん割合は高かったですね。

──ハーレム状態?

益子:ハーレムなんていいものじゃなかったです。怖かったよね?

全員:怖かった、怖かった(笑)。

宮尾:女性が人数多いと強いもんね。

益子:のけものだよね(笑)。

杉野:かまってもらうとかそういうんじゃなくて、もはやかまわれたくないっていう、怖いから。ほっといてほしい(笑)。

──割合として何対何くらいですか?

福田:そうですねえ、全体として200人生徒がいたら、150人は少なくとも女性っていうくらいですよね、たぶん。一番怖いのは、女の子たちのレッスンに“ボーイズちょっと参加して”と言われた時。

杉野:基本的にバーにつけないですね。場所がないので壁でバーレッスンしたり(笑)。

益子:当時はそんな感じでしたね。今でこそ平和ですけどね。

杉野:女の子に話しかけるときは敬語、みたいな感じでした。

一同 :(笑)。

宮尾:じゃあ、今回の映画みたいなイチャイチャ感はないの?ピアノの前で手つないだりとか……。

ジェンツ4人:まったくないです!!

福田:映画の中の“おめでとう!”というの(ハグ)を観て……。

栗山:“いいなー”って(笑)。

映画『バレエボーイズ』より
映画『バレエボーイズ』より

緊張感漂う“戦う顔”、すごくいい顔をしていた

──映画のなかで、好きなシーン、印象に残ったシーンはありますか?

宮尾:映画の最後のほうにルーカスがインタビューを受けているシーンですね。家族も仲間もいる安定した環境から、何があるかわからない厳しい世界へ行って刺激をたくさん受けて、もうすっかり新しい世界に意識が行ってるんですよね。この映画は彼のために作られたのかと思うくらい、彼の幼少からの成長過程が甦ってきて……彼は新しい扉を開いていくんだなって……。

映画『バレエボーイズ』より
映画『バレエボーイズ』より、ルーカス

福田:いま座長があげたシーンの近くだと思うんですけど、オスロに残った子たちがレッスンしてるシーンですね。シーヴェルトが“彼はいないけど僕たちも頑張る”と言って少人数で踊っているんですけど少し寂しいイメージで。その頃ルーカスはロンドンで、多人数で熱気のあるレッスンをしていて……不思議な気分。

杉野:ルーカスのロイヤルが決まった瞬間が一番嬉しかったですね。一緒にメールを開けた瞬間の家族の反応に、僕も思わず興奮しましたし、“恩返しできたね”と思いました。でも、これまで仲の良かった3人が離ればなれになって……どちらの心境もわかるんですよね。映画を観ながら僕も葛藤していました。

栗山:それまでずっとノルウェー語でインタビューに答えていたルーカスが、ロイヤルに入った後、最後のインタビューで英語になってたのが、もうすっかりそちらに馴染んだんだな、すごい成長だなと思いました。そのシーンがすごく印象的でしたね。

益子:ロイヤルの初日クラスのとき、ルーカスが緊張感漂う“戦う顔”になってましたよね。すごくいい顔をしていた。はじめて出会う子たちと戦っていかなければいけない、いままでみたいに和気藹々とはしてられない、という気持ちですよね。自分がイギリスに行ったときの初日のことも思い出しました。

(インタビュー:小田島久恵 撮影:荒牧耕司)



BalletGents ©Ayumu Gombi
©Ayumu Gombi

Ballet Gents(バレエジェンツ) プロフィール

日本で一番熱いバレエカンパニー!熊川哲也が芸術監督を務めるKバレエカンパニーが誇る男性ダンサー5人組のユニット。トップダンサーとして活躍する宮尾俊太郎を座長に、福田昂平、杉野慧、益子倭、栗山廉と、Kバレエカンパニーで今最も注目を集めるダンサー5人で結成。“舞台芸術のすばらしさをより多くの方へ伝えたい”という想いをコンセプトに、クラシックバレエにとどまらない舞台を実現するべく始動!宮尾振付の作品を始め、ダンサー自身による企画プロデュースや他ジャンルとのコラボレーション、男性だからこそのダイナミックでエキサイティングなステージで人気を集める。Kバレエ カンパニーの芸術監督・熊川哲也が総合演出を務める。

公式サイト:http://www.k-ballet.co.jp/gents/
公式ブログ:http://ameblo.jp/ballet-gents/

◆メンバープロフィール◆

座長:宮尾俊太郎(Shuntaro Miyao)

北海道生まれ。14歳よりバレエを始め、2004年10月、Kバレエ カンパニーに入団。『ドン・キホーテ』公演で主役デビュー後、頭角を現し、次々と主役の座を射止め、2012年10月プリンシパル・ソリストに昇格。『白鳥の湖』『シンデレラ』『ロミオとジュリエット』『くるみ割り人形』『ドン・キホーテ』『ジゼル』『海賊』『カルメン』など、主要作品で主演を務めている。また、抜群のルックスと実力で“バレエ王子”としても数多く紹介され、TV・ドラマ・CM・広告等メディアでも活躍中!出演は『キリン氷結』CM、『アナザースカイ』MC、『はなまるカフェ』『徹子の部屋』『おしゃれイズム』、ドラマ『ヤマトナデシコ七変化』、『東急ジルベスタ―コンサート2014-2015』ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』他、多数。
2015年10月『カルメン』公演ではエスカミーリョ役、11月『白鳥の湖』公演では主演が予定されている。

宮尾俊太郎公式アメブロ:http://ameblo.jp/shuntaro-miyao/

福田昂平(Kohei Fukuda)

東京都生まれ。2003年よりKバレエ スクールで学び、2009年8月、Kバレエ カンパニーに入団。2013年Kバレエ ユース第1回記念公演『白鳥の湖』で主演ジークフリードを熱演し注目を浴びた。その後カンパニー公演『ロミオとジュリエット』でのマキューシオ役に抜擢に続き、『カルメン』公演ではホセ役で主役デビューを果たしたほか、『海賊』ではアリ役を踊り、好評を博す。

杉野慧(Kei Sugino)

神奈川県生まれ。2008年よりKバレエ スクールで学び、2011年8月、Kバレエ カンパニーに入団。 『白鳥の湖』のロットバルト、『くるみ割り人形』のドロッセルマイヤー、『ロミオとジュリエット』のティボルト、『カルメン』のエスカミーリョ、『海賊』ビルバント役など、力強い踊りと高い演技力が必要とされる役を踊り魅了する、演技派ダンサー。
2015年10月『カルメン』公演ではエスカミーリョ役、11月『白鳥の湖』公演ではロットバルト役での出演が予定されている。

益子倭(Yamato Mashiko)

埼玉県生まれ。2012年4月、Kバレエ カンパニーに入団。『ロミオとジュリエット』公演ではベンヴォーリオ役、『海賊』公演ではランケデム役に抜擢。切れ味のよい溌剌とした踊りで会場を魅了する。 2014年1月の新春スペシャルドラマ『眠りの森』(TBS)では柳生耕介役で出演。「NTT西日本フレッツ光 バレーボール篇」CM出演。
2015年11月『白鳥の湖』公演ではベンノ役での出演が予定されている。

栗山廉(Ren Kuriyama)

北海道生まれ。2014年1月、Kバレエ カンパニーに入団。入団間もなく『ロミオとジュリエット』公演でベンヴォーリオ役を射止め好演を果たす。美しく清潔感あふれる踊りで魅了する、ダンスールノーブル。
2015年11月『白鳥の湖』公演では待望の王子役での、主役デビューが予定されている。




映画『バレエボーイズ』
2015年8月29日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンク他全国順次公開

映画『バレエボーイズ』より

監督:ケネス・エルヴェバック
出演:ルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド、シーヴェルト・ロレンツ・ガルシア、トルゲール・ルンド、他
配給・宣伝:アップリンク
2014年/ノルウェー/75分/カラー/英題:BALLET BOYS

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/balletboys/
公式Facebook:https://www.facebook.com/balletboys.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/balletboys_jp


公開初日トークイベント開催!
ゲスト:宮尾俊太郎(Ballet Gents)

日時:2015年8月29日(土)12:25上映【上映終了後トークショー】
会場:ヒューマントラストシネマ有楽町(千代田区有楽町2-7-1有楽町イトシア・イトシアプラザ4F)

▼映画『バレエボーイズ』予告編

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