三軒茶屋と池尻大橋の間に位置する三宿。レストランやカフェ、緑豊かな公園が並ぶこの街に東京のアートを牽引するスポットがある。ビルのエントランスには、まず工房と販売を兼ねた小さなジュエリーショップ。階段を下ってゆくと現代アートを展示する「CAPSULE(ギャラリー)」「SUNDAY(カフェ)」そして期間限定オープンのギャラリーがある。いずれも企画展示が繰り広げられ、アートコンプレックス状態である。
「CAPSULE」では7/18(土)より珠寳・小平篤乃生 二人展 「ひらけし時」、「SUNDAY」では7/18(土)より嵯峨 篤・柴田 健治・富田 直樹 展、そして期間限定ギャラリー(今回は「ダソノイア」と名付けられた)では7/17(金)より中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展が開催。ちなみに"KNOW YOU ARE"展終了後は、Shugoartsの入居が決まっている。
これらギャラリー、カフェ、ジュエリーショップオーナーの吉野氏はアートコレクターの顔も持つ。他ギャラリーやアーティストと提携し、展示やパーティ、アート情報発信を精力的に行い東京のアートシーンと深く関わっているのだ。
エントランスは三宿の街に馴染むリラックスした雰囲気。実際家族連れやペット連れの利用が多い
この日は"KNOW YOU ARE"初日である。レセプション前でお忙しいところ中村哲也氏、倉科昌高氏にお話を伺った。中村哲也氏はスピードシェイプを武器に、純粋彫刻とプロダクトの狭間で格闘する作品を制作し、倉科昌高氏はカスタムペイントの概念を拡張する作品を制作するアーティストだ。
倉科昌高氏(左)中村哲也(右)
─タイトルの"KNOW YOU ARE"の意味とは?
中村哲也:映画『マトリックス』の台詞からの引用です。「自らを知る」という意味で、本当の自分を問い直す、解放する、という想いからつけました。
─今回の展示が「解放」するタイミングだったのですか?
中村哲也:アーティストは常に自身を解放してゆきます。しかし何十年も活動を続けてゆくとスタイルが決まってくる。それを大きく変えるタイミングが今回でした。FRP(繊維強化プラスチック)での作品制作はこれまでの手法ですがロボット型人体彫刻は新しい取り組みで、そこには政治的なメッセージも込められています。
倉科昌高:ぼくは、カスタムペインターとして20年以上、バケツでも車でも建築物でも大抵の物をペイントしてきました。しかし、カスタムペイントがどうしてもプロダクトに付属した装飾の域を出ないことにある種の限界を感じていたんです。で、『カスタムペイントの解放』をテーマに据えて、平面作品に挑戦しました。カスタムペイントの技法を使うと、作品は見る角度で表情を大きく変えます。結果的に平面作品なのに立体物を見るように視点を変えたくなる作品になったと思います。
「ART SPACE ダソノイア」中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展
「ART SPACE ダソノイア」中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展
「ART SPACE ダソノイア」中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展
「ART SPACE ダソノイア」中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展
「ART SPACE ダソノイア」中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展
「ART SPACE ダソノイア」中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展
「CAPSULE」珠寳・小平篤乃生 二人展 「ひらけし時」
「CAPSULE」珠寳・小平篤乃生 二人展 「ひらけし時」
「CAPSULE」珠寳・小平篤乃生 二人展 「ひらけし時」
「SUNDAY」嵯峨 篤・柴田 健治・富田 直樹 展
「SUNDAY」嵯峨 篤・柴田 健治・富田 直樹 展
中村哲也 / 倉科昌高 KNOW YOU ARE 展
2015 年 7 月 17 日(金)- 8 月 2 日(日)
Open 12:00-19:00(会期中休みなし)
東京都世田谷区池尻2-7-12 B1F [地図を表示]
中村哲也
1968年、千葉に生まれる。
1994年東京芸術大学院美術研究科修了(漆芸専攻)。現在、長野県在住。
1998年より「スピード」という現代を象徴するテーマをとりあげ、自ら作り出した最速フォルムを、より速そうに進化させる「レプリカシリーズ」の展開をはじめる。
今にも超高速で走り出しそうな機体を本物のようにつくり出し、エンジンなどの機動ユニットは搭載していないのに「視覚的な」速さで、見る者に直感的な快感を与える作品になっている。
しかもFRPで作られた彫刻は造形から塗装まで全て手作業で行われ、手の存在を感じさせないほど精緻な仕上がりは、「速さ」「強さ」といった抽象的概念そのものの表現となり、モノの持つ形と表面性と、それに喚起される人間の感情との関係を提示している。
近年は立体形状が規定するペイントパターンに着目し、形状の持つメッセージを強調するためにあるパターンそのものを彫刻として自立させ、強いものを強く、速いものを速くみせる表現としてあるべく立体作品を発表している。
http://tetsuya-nakamura.com/
倉科昌高
フリーランスのイラストレーターを経て、'93よりカスタムペインターとしてMTBレーサーのヘルメットペイントを始める。現在は、バケツやシャベルなどの日用品から建築の分野まで、ありとあらゆる立体物をベースにカスタムペイント作品を制作。ミュージシャンや現代美術家など、異種クリエイターとのコラボレーション作品も多数ある。
http://www.m-kurashina.com
珠寳・小平篤乃生 二人展 「ひらけし時」
2015年7月18日(土)- 8月30日(日)
会場:CAPSULE
嵯峨 篤・柴田 健治・富田 直樹 展
2015年7月18日(土)- 8月30日(日)
会場:SUNDAY