骰子の眼

stage

静岡県 静岡市

2015-04-15 12:54


ホドロフスキー作の人形芝居ほか静岡で「体験する」演劇フェス!ふじのくに⇄せかい演劇祭

4/24より開催、ベルギー、レバノン、台湾、韓国など世界から集まった全9作品の見どころを紹介
ホドロフスキー作の人形芝居ほか静岡で「体験する」演劇フェス!ふじのくに⇄せかい演劇祭
『聖★腹話術学園』©Alice PIEMME

2015年4月24日より5月6日まで舞台芸術の祭典「ふじのくに⇄せかい演劇祭2015」が静岡芸術劇場ほか静岡市内で開催される。静岡県舞台芸術センター(SPAC)の主催により、「劇場は世界を見る窓」というコンセプトのもと、国内外の優れた演劇・ダンス・人形劇などの舞台芸術作品を紹介するこのフェスティバル。今年はベルギー、レバノン、台湾、韓国など世界中から9作品が集まり、屋内・野外劇場のみならず、森の中や静岡の街をまるごと使った作品など、世界レベルの表現と多様性を「体験」することができるフェスティバルとなっている。

また、各作品に連動したシンポジウムや関連イベントも多数開催。会場で発売される公式ガイドブック(500円)には、柄本明とSPAC芸術総監督の宮城聰との対談や、飴屋法水、いとうせいこう、アサダワタルらが寄稿し、充実した内容となっている。

今回webDICEでは、開催にあたり全9作品の見どころを紹介する。




日本初演

聖★腹話術学園

ホドロフスキー書き下ろしの人形芝居は形而上的コメディ!?

『聖★腹話術学園』©Alice PIEMME
『聖★腹話術学園』©Alice PIEMME
ジャン=ミシェル・ドープ(左)・ホドロフスキー(右)ⒸPoint Zéro
『聖★腹話術学園』演出のジャン=ミシェル・ドープ(左)とアレハンドロ・ホドロフスキー(右)©Point Zéro

現在、2016年公開予定の新作『エンドレス・ポエトリー』制作準備中のアレハンドロ・ホドロフスキー監督。映画作家としてその名を知られるより前、1960年代にメキシコで劇団「前衛演劇」を主宰し活動していた経歴を持つ彼がベルギーのカンパニー「ポワン・ゼロ」のために書き下ろした「形而上学的コメディ」が日本初上陸。等身大の人形を操る俳優たちが、24時間生徒を監視する奇妙な「腹話術学園」に辿り着いた主人公を巡る「操る者」と「操られる者」が交差する数奇な運命を描き出す。

演劇/ベルギー
演出:ジャン=ミシェル・ドープ
作:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:ポワン・ゼロ

5月5日(火・祝)16:00
5月6日(水・祝)12:00
会場:静岡芸術劇場(全席指定)
上演時間: 85分  フランス語上演/日本語字幕
◎各公演、開演20分前よりプレトークを行います。
◎5月5日(火・祝)の終演後にジャン=ミシェル・ドープ(演出)と宮城聰(SPAC芸術総監督)によるアーティストトークを行います。

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_the-ventriloquists-school.html

【関連企画】
〈アングラ!カルト!アヴァンギャルド!!!〉
ホドロフスキー『ホーリー・マウンテン』、寺山修司『田園に死す』上映
4月26日(日)10:30
会場:サールナートホール
大岡淳、横山義志によるギャラリートークあり
http://spac.or.jp/news/?p=10852




SPAC新作

メフィストと呼ばれた男

劇場とは、芸術とは何か?

『メフィストと呼ばれた男』写真:日置真光
『メフィストと呼ばれた男』写真:日置真光

原作の『メフィスト』は、1936年に作家クラウス・マンが、当時ドイツ最高の俳優と謳われ国立劇場の芸術監督でもあった実在の人物グリュントゲンスをモデルに執筆。時代に翻弄される天才俳優の姿を通し、「劇場とは、芸術とは何か?」を問いかけるこの社会派作品を、ベルギーを代表する劇作家トム・ラノワが劇中劇としてゲーテ『ファウスト』やエウリピデス『へカベ』など古今の有名戯曲の名場面を織り交ぜ構成。宮城聰がこの問題作の日本初演を行う。

演劇/日本(静岡)
演出:宮城聰
作:トム・ラノワ(クラウス・マンの小説に基づく)
音楽:棚川寛子
空間構成:木津潤平
翻訳:庭山由佳
翻訳協力:大西彩香
出演:阿部一徳、大高浩一、鈴木陽代、鈴木麻里、大道無門優也、本多麻紀、美加理、山本実幸、吉植荘一郎、若菜大輔、渡辺敬彦

4月24日(金)18:30
4月25日(土)13:00
4月26日(日)18:00
会場:静岡芸術劇場(全席自由)
上演時間: 180分(予定)  日本語上演/英語字幕
◎各公演、開演20分前よりプレトークを行います。

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_mefisto-for-ever.html




ふたりの女

唐十郎が描く奇想天外な三角関係

『ふたりの女』写真:橋本武彦
『ふたりの女』写真:橋本武彦

アングラ・小劇場運動の象徴・唐十郎が、能の名作『葵上』とチェーホフの『六号室』を織り交ぜるという奇想天外なアイディアで生み出した傑作戯曲。『源氏物語』の名場面として知られる「車争い」のシーンを富士スピードウェイ駐車場のトラブルに置き換え、ふたりの面妖な女の間で翻弄される優柔不断なインテリ美男の末路を描く。好評を博した2009年のSPAC版初演から6年、宮城聰が本作を野外劇場に再び蘇らせる。

演劇/日本(静岡)
演出:宮城聰
作:唐十郎
出演:たきいみき、石井萠水、奥野晃士、春日井一平、木内琴子、武石守正、舘野百代、永井健二、三島景太、吉見亮、若宮羊市

4月29日(水・祝)18:00
5月3日(日)18:00
5月6日(水・祝)18:00
会場:舞台芸術公園 野外劇場「有度」(全席自由)
上演時間: 80分  日本語上演/英語字幕
◎開演前と終演後にカチカチ山で「フェスティバルbar」を営業します。

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_two-ladies.html




SPAC新作

盲点たち

森の中で沈黙と静寂に浸る

『盲点たち』写真:Pierrick Blondelet
『盲点たち』写真:Pierrick Blondelet

人間の深い闇や絶望を描いたメーテルリンクの戯曲の世界を、舞台美術家でもある演出家ダニエル・ジャンヌトーが夜の闇に包まれた日本平の山中に出現させる。パリの初演では高濃度のスモークで視界ゼロの状態を作り出す演出が話題を呼んだが、今回の静岡版では一新。観客は集合場所から徒歩で約15分、舞台芸術公園を取り巻く自然の森の中まで入り込み、演者とともにその沈黙と静寂に身を委ねる、まさに“劇的体験”といえる舞台である。

演劇/日本(静岡)・フランス
演出:ダニエル・ジャンヌトー
作:モーリス・メーテルリンク(『群盲』より)
翻訳:平野暁人
出演:大内米治、加藤幸夫、貴島豪、小長谷勝彦、寺内亜矢子、布施安寿香、横山央
(エキストラ)落合久信、小林清美、濱﨑邦子、増井典代、八十濱喜久子

4月25日(土)19:00 ※予定枚数終了
4月27日(月)19:00[追加公演]
5月1日(金)19:00[追加公演]
5月2日(土)19:00 ※予定枚数終了
5月4日(月・祝)19:00 ※予定枚数終了
5月5日(火・祝)19:00 ※予定枚数終了
会場:日本平の森(全席自由)
〈集合場所:舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」〉
上演時間: 90分(移動含む)  日本語上演

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_the-blind.html




天使バビロンに来たる

古代都市バビロンを舞台にポップに文明を批評

『天使バビロンに来たる』撮影:中島伸二
『天使バビロンに来たる』撮影:中島伸二

鳥取で廃校になった小学校と幼稚園を劇場に変え、地域の文化拠点としての劇場づくりを目指し活動している「鳥の劇場」。その主宰・中島諒人が、「制度と経済に支配された我々は人生を<美>によって再構築できるのか――?」というキャッチフレーズの元、スイスを代表する劇作家・デュレンマットの戯曲を演出。古代都市バビロンを舞台に、神と王と乞食と大衆が繰り広げる政治劇が、コミカルかつスピーディーに展開する。

演劇/日本(鳥取)
原作:フリードリヒ・デュレンマット
構成・演出:中島諒人
制作:鳥の劇場

4月25日(土)18:00
4月26日(日)14:00
会場:舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
上演時間:135分(途中休憩含む)  日本語上演/英語字幕
◎各公演、開演20分前よりプレトークを行います。
◎4月25日(土)の終演後に中島諒人(演出)と宮城聰(SPAC芸術総監督)によるアーティストトークを行います。

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_an-angel-comes-to-babylon.html




日本初演

觀 ~すべてのものに捧げるおどり~

伝統と革新を融合した美しき身体の儀式

『観』写真:CHIN Cheng-Tsai
『觀』写真:CHIN Cheng-Tsai

台湾舞踊界を牽引する振付家で服飾デザイナーでもある林麗珍(リン・リーチェン)。彼女が率いる無垢舞蹈劇場は、いま世界中から注目を集めるダンスカンパニーの1つである。台湾先住民の宗教儀式や自然の恵みへの感謝を捧げる祭祀を原点とし、視覚的要素にもその色彩や意匠を取り込んでいる。本作は、『醮』『花神祭』に続く三部作最後の作品。洗練された美的感覚と「動きの詩」ともいえる圧倒的な身体性に基づく独特の振付を融合させ、人間と自然の関係を語っている。

ダンス/台湾
芸術総監督・振付:林麗珍 (リン・リーチェン)
製作:無垢舞蹈劇場

5月2日(土)13:30
5月3日(日)14:30
会場:静岡芸術劇場(全席指定)
上演時間:120分
◎各公演、開演20分前よりプレトークを行います。
◎5月3日(日)の終演後に林麗珍(無垢舞蹈劇場芸術総監督)によるアーティストトークを行います。

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_song-of-pensive-beholding.html




世界初演

例えば朝9時には誰がルーム51の角を曲がってくるかを知っていたとする

静岡市内の住宅街を舞台に展開する演劇版ロールプレイング・ゲーム

『例えば朝9時には誰がルーム51の角を曲がってくるかを知っていたとする』
『例えば朝9時には誰がルーム51の角を曲がってくるかを知っていたとする』

様々な土地で滞在型製作を重ね、サイトスペシフィックな創作活動を続けてきた演劇ユニット「鳥公園」の西尾佳織と、建築・設計やイベント等を手がける静岡の会社「大と小とレフ」の鈴木一郎太・大東翼がタッグを組み、かつてない街そのものを舞台にした演劇作品に挑戦する。当日は静岡市内の池田公民館に集合し、青年団や快快などの俳優たちとともに、「架空の町」を巡っていく。さながら「演劇版ロールプレイング・ゲーム」と言える作品である。

参加型演劇/日本(静岡)
演出:大東翼[㈱大と小とレフ]、鈴木一郎太[㈱大と小とレフ]、西尾佳織[鳥公園]
出演:赤松直美、上蓑佳代、遠藤麻衣[二十二会]、尾國裕子、佐藤ゆず、高瀬弥生[KOTOBAKO]、立蔵葉子[青年団]、峰桜花、山崎皓司[快快]
〈エキストラ〉大間知賢哉、加東サユミ[ハイカラ/さゆみ企画]、早瀬花音、樫田那美紀、鈴木靖宏、利波友季子、登立和真、ピンク地底人5号[ピンク地底人]、宮嶋七彩、武藤月子、室伏珠美、山本寛子
〈特別出演〉片岡祐介
製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター
協力:池田自治会

5月2日(土)11:00、14:30
5月3日(日)11:00、15:00
5月4日(月・祝)11:00、16:00
5月5日(火・祝)11:00、16:00
5月6日(水・祝)11:00、15:00
会場:池田地区周辺〈集合場所:池田公民館〉
上演時間: 70分(予定)  日本語上演

一般大人:2,000円/SPACの会会員割引:1,700円/大学生・専門学校生以下:1,000円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/the-corner-of-room51.html




日本初演

ベイルートでゴドーを待ちながら

中東の今を伝えるレバノン発の二人芝居

『ベイルートでゴドーを待ちながら』
『ベイルートでゴドーを待ちながら』

劇作家サミュエル・ベケットの名作『ゴドーを待ちながら』のシチュエーションを借り、イサーム・ブーハレードとファーディー・アビーサムラーというふたりの俳優が、決して来ない誰かを待ちながら話し続ける。その過剰な饒舌からは、長い内戦と根強い宗教対立によって疲弊したレバノン国民の絶望的な日常が透けて見える。ベイルートでは、48時間前の告知でも必ず満席になるという人気の舞台の日本初演。中東のカルチャーシーンの現在を知る意味でも貴重な機会だ。

演劇/レバノン
作・演出:イサーム・ブーハーレド、ファーディー・アビーサムラー(サルマド・ルイの協力による)
出演:イサーム・ブーハーレド、ファーディー・アビーサムラー

5月2日(土)17:00
5月3日(日)12:00
5月4日(月・祝) 13:30
会場:舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」(全席自由)
上演時間:50分  アラビア語上演/日本語字幕
◎各公演、開演20分前よりプレトークを行います。
◎終演後にイサーム・ブーハーレドならびにファーディー・アビーサムラー(ともに作・演出・出演)と宮城聰(SPAC芸術総監督)によるアーティスト・トークを行います。

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_page-7.html




小町風伝

太田省吾の沈黙劇、韓国気鋭の劇団による新たな解釈に注目

『小町風伝』写真:演戯団コリペ
『小町風伝』写真:演戯団コリペ

日本のアングラ演劇界第一世代として特異な存在感を残した太田省吾による岸田戯曲賞受賞作。安アパートで孤独に暮らす主人公の老婆がひと言も発しないこの「沈黙劇」を韓国の劇団「演戯団コリペ」と演出家・李潤澤(イ・ユンテク)が「トップェギ 덧뵈기」(伝統的な動き)や「南道ソリ 남도소리」(民謡の一種)、シャーマンの儀式である「クッ 굿」といった韓国伝統芸能の要素を盛り込み、オリジナルでは語られなかった台詞を蘇らせる。

演劇/韓国
演出:イ・ユンテク(李潤澤)
作:太田省吾
出演:演戯団コリペ

5月4日(月・祝)16:00
5月5日(火・祝)12:00
5月6日(水・祝)15:00
舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」(全席自由)
上演時間:120分  韓国語上演/日本語字幕
◎各公演、開演20分前よりプレトークを行います。
◎5月4日(月・祝)と5日(火・祝)の終演後にイ・ユンテク(演出)と宮城聰(SPAC芸術総監督)によるアーティスト・トークを行います。

一般大人:4,100円/SPACの会会員割引:3,400円

詳細は下記より
http://www.spac.or.jp/15_the-tale-of-komachi.html




「ふじのくにせかい演劇祭2015」メインヴィジュアル イラスト:前澤妙子

『ふじのくに⇄せかい演劇祭2015』
4月24日(金)~5月6日(祝・水)

公式サイト:
http://www.spac.or.jp/worldtheaterfestivalshizuoka_2015.html

連続シンポジウム:
http://www.spac.or.jp/15_symposium.html

関連企画:
http://www.spac.or.jp/15_festival_related-programs


▼『聖★腹話術学園』トレーラー

▼『メフィストと呼ばれた男』トレーラー

▼『ふたりの女』トレーラー

▼『盲点たち』トレーラー

▼『天使バビロンに来たる』トレーラー

▼『觀~すべてのものに捧げるおどり~』トレーラー

▼『例えば朝9時には誰がルーム51の角を曲がってくるかを知っていたとする』トレーラー

▼『ベイルートでゴドーを待ちながら』トレーラー

▼『小町風伝』トレーラー

レビュー(0)


コメント(0)