骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2015-01-30 01:00


「トーキョーノーザンライツフェスティバル2015」映画祭スタッフが選ぶ注目作品

『バレエ・ボーイズ』ジャパン・プレミア、ヨアキム・トリアー特集など北欧映画を知る14日間
「トーキョーノーザンライツフェスティバル2015」映画祭スタッフが選ぶ注目作品
映画『バレエボーイズ』より

北欧の映画界から注目の映画作家たちを紹介するトーキョーノーザンライツフェスティバル2015が1月31日(土)より2月13日(金)まで渋谷ユーロスペースとアップリンクにて開催。この映画祭は、アップリンクが行なう配給サポート・ワークショップの参加者が2011年に立ち上げ、企画と運営を行なっている。日本ではなかなか観る機会の少ない旧作や劇場未公開作品をセレクト。音楽イベントやカフェレストランとの連動企画により、北欧のカルチャーをじっくり楽しむことのできるイベントとなっている。2012年の映画祭で上映され、その後2014年にロードショー公開され大ヒットとなった『シンプル・シモン』も、DVDリリースにあたりバリアフリー形式にて上映される。

開催にあたり、今回はフェスティバルのスタッフ細川典子さんと藤本高之さんによるwebDICE読者へのレコメンドを掲載する。




ジャパンプレミア

『バレエ・ボーイズ』

頂点を目指すノルウェーのバレエ男子に肉薄

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ノルウェーでバレエ・ダンサーを目指す3人の少年の4年間を追ったドキュメンタリー。
“バレエ・ダンサー”という同じ夢を追って切磋琢磨していた3人の少年が、葛藤しながら成長する様子が瑞々しく描かれています。あどけなさの残っていた少年たちの顔付きが大人びるにつれ、いつしか夢に対する思いの強さや実力にも差が出て来て、やがてそれぞれの道を選んでいく……。
バレエに限らず、他のスポーツや芸術でも、中学や高校進学の段階で将来を見据えた選択を迫られることはあると思います。いつも一緒にいた友達とは違う道を歩んで行くという経験は、多くの人がしてきたのではないでしょうか?バレエ映画としてだけではなく、青春映画としてもほろ苦くて、懐かしい余韻を残す珠玉のドキュメンタリーです。
日本国内でも、熊川哲也氏の活躍や、2014年に、当時17歳の二山治雄さんがローザンヌ国際バレエコンクールで1位に輝いたことが追い風になり、バレエ・ダンサーを目指す男子が急増しているようです。がんばれ日本のバレエ・ボーイズ!

原題:Ballettguttene/英題:Ballet Boys
監督:ケネス・エルヴェバック(Kenneth Elvebakk)
2014年/ノルウェー/ノルウェー語(Norwegian)
字幕:日本語/75min
提供:アップリンク

◎上映スケジュール
[アップリンク]2月5日(木)19:30
[ユーロスペース]2月11日(水)14:00






ヨアキム・トリアー監督特集

切ない心の機微が響く青春映画2作

ヨアキム・トリアーは海外ではすでに知られた存在で、現在はアメリカで次回作を撮っています。映画人一家に育ち、あのラース・フォン・トリアーの甥でもあるというその才能はまさにサラブレッド。今回はそんな日本では知られざる北欧の俊英の代表作を2本ご紹介します。
『リプライズ』は、幼い頃から共に作家を夢見てきた2人の青年、フィリップとエーリクの物語。彼らはある日一緒に原稿を出版社へ送りますが、フィリップの原稿だけが出版され彼は一躍人気作家となり、エーリクの原稿はボツに。しかしその後、フィリップは心を病んでしまいます……。
『オスロ、8月31日』は、施設で薬物依存の治療を受けているアンデシュという青年の24時間を描いた、孤独と絶望の物語。
いずれも“ままならない人生”に苦しむ人間の心理描写に長けた作品で、となるとラース・フォン・トリアーのサディスティックな作風を彷彿ともしますが、さにあらず。2本とも切ない心の機微がキュンキュン胸に響く素晴らしい青春映画です。
とくに『オスロ~』は、“リア充”という言葉が大嫌いな方におススメします!


ジャパンプレミア

『リプライズ』

映画『リプライズ』より
映画『リプライズ』より

監督:ヨアキム・トリアー(Joachim Trier)
2006年/ノルウェー/ノルウェー語(Norwegian)
字幕:日本語・英語【With English subtitles】/106分

◎上映スケジュール
[ユーロスペース]2月7日(土)19:00 2月10日(火)11:30 2月12日(木)19:00

『オスロ、8月31日』

映画『オスロ』より
映画『オスロ、8月31日』より

原題:Oslo, 31. august/英題:Oslo, August 31st
監督:ヨアキム・トリアー(Joachim Trier)
2011年/ノルウェー/ノルウェー語(Norwegian)
字幕:日本語/96分

◎上映スケジュール
[ユーロスペース]2月7日(土)19:00 2月10日(火)11:30 2月12日(木)19:00





『エリカ&パトリック事件簿 説教師』

“スウェーデンのクリスティ”による人気ミステリを映画化

映画『説教師』より
映画『エリカ&パトリック事件簿 説教師』より


近年、世界的なブームになっている北欧ミステリ。今回の特集では、その原点である「刑事マルティン・ベック」シリーズの映画化作品、アイスランドのベストセラー・ミステリが原作の『湿地』を上映。さらに、スウェーデンでドラマ化された『エリカ&パトリックの事件簿』の第1話「説教師」を特別上映します。
原作は、“スウェーデンのアガサ・クリスティ”と呼ばれる女流作家カミラ・レックバリの同名シリーズ。本国では、マルティン・ベックや「ミレニアム」を超える人気シリーズで、世界25ヵ国で翻訳されています。
物語は、夏休みシーズンには観光地として賑わいを見せる西海岸の港町フィエルバッカ(作者の故郷)を舞台に繰り広げられる、20数年の時をまたぐ3つの殺人事件の行方……。
元々「説教師」はシリーズ2作目で、1作目(「氷姫」)は作家のエリカが、幼なじみの刑事パトリックと事件を捜査するという設定なのですが、本作では2人が結婚して子供ができるところから始まります。
600頁の物語を凝縮しているのでかなり展開が速いですが、原作のキャラクターが見事に活かされていて飽きません。
上映は1回限り。当日は原作者インタビューも併映しますので原作ファンの方もそうでない方もどうぞお見逃しなく!

原題:Predikanten/英題:The Preacher
監督:ヨナス・グリモス(Jonas Grimas)
2007年/スウェーデン、ノルウェー/
スウェーデン語(Swedish)
字幕:日本語/114分

◎上映スケジュール
[アップリンク]2月10日(火)19:30





『劇場版 ニルスのふしぎな旅』

押井守の幻の初期作品が初の劇場公開

映画『ニルスのふしぎな旅』より c学研教育ICT
映画『劇場版 ニルスのふしぎな旅』より ©学研教育ICT

「ニルス懐かしい!」
そう思われる方も多いでしょう。ぼくもその1人です。
『ニルスのふしぎな旅』は、1980年からNHKで放送されていました。
原作がスウェーデンの児童文学ということで、懐かしの昭和アニメの劇場版がTNLFにお目見えします。
元々はTV版の再編集ではなく劇場公開を目指して作られながら、本作は最終的にOVA作品としてリリースされたため、実は国内で劇場公開されるのは今回が初めて。
イタズラっ子の少年ニルスが、妖精に体を小さくされた代わりに動物と会話ができるようになり、ペットのハムスター、キャロットとガチョウのモルテンに乗って野鳥の故郷ラップランドを目指す旅をスクリーンで堪能できるまたとない機会です。
子供向けのファンタジー・アニメではありながら、原作者のセルマ・ラーゲルレーヴは北欧古典映画の名作『霊魂の不滅』の原作者としても知られているので、大人の映画ファンもまた違った楽しみ方ができるのではないでしょうか?
とはいえ、昭和アニメ世代としては小山茉美(ニルス)や安原義人(モルテン)の声がスクリーンで聴けるだけで感涙もの。また、若かりし押井守監督が演出に参加していることも話題を呼んでいます。ぜひ、童心に返ってお楽しみください。

英題:The Wonderful Adventures of Nils
監督:鳥海永行(Hisayuki Toriumi) 他
1983年/日本/日本語/97分

◎上映スケジュール
[アップリンク]1月31日(土)~2月6日(金)13:00





『シンプル・シモン』
[吹替え版、音声ガイド・ガイド字幕付き特別上映]

大ヒット作DVD化記念・バリアフリー形式上映

映画『シンプルシモン』より
映画『シンプルシモン』より

自分だけのルールで生きていて、他人の感情を理解するのが苦手なシモンが、大好きな兄さんの恋人探しに夢中になるうちに大切なものに気付いていく…。アスペルガー症候群のシモンの眼に映る世界をユーモアたっぷりに描き出す、キュートでハッピーなラブ・コメディ。
スウェーデンの新鋭、アンドレアス・エーマン監督の長編デビュー作。TNLF2012上映時の反響を受けて、2014年には劇場公開された本作の日本語吹替え版を、音声ガイド、ガイド字幕付きのバリアフリー対応で凱旋上映します。
日本語吹替えキャストは、シモン役に、テレビシリーズ「ARROW/アロー」で主人公役を務める日野聡、サム役には『ミッション・インポッシブル』のトム・クルーズや『ホビット』のマーティン・フリーマンなどの吹替えを務める森川智之、イェニファー役には『マン・オブ・スティール』のエイミー・アダムスや『アップサイドダウン 重力の恋人』のキルスティン・ダンストらの吹替えを務める中村千絵など。豪華声優陣による原語版とは一味違う本作をお楽しみください!
上映は、目や耳の不自由な方も一緒に楽しめるバリアフリー形式となるため、スクリーンには通常の日本語字幕に加え“ガイド字幕”(劇中で聞こえる音の解説)が表示されます。上映中は、FMラジオを通して“音声ガイド”(場面を解説する音声)を聴くことができますので、ご利用になる方はFMラジオをご持参ください。希望者には貸し出しも行います。この機会に、ぜひバリアフリー上映をご体験ください!
アンドレアス・エーマン監督特集では、長編2作目の青春映画『ビッチハグ』と、3作目の異色のラブストーリー『リメイク』も上映します。

原題:I rymden finns inga kanslor
英題:Simple Simon
監督:アンドレアス・エーマン(Andreas Ohman)
2010年/スウェーデン/日本語吹替え
字幕:日本語ガイド字幕/86min

◎上映スケジュール
[ユーロスペース]2月8日(日)11:30





ジャパンプレミア

『ドグマ・ミーティング』

トリアー監督らが実践した「ドグマ95」の記録

映画『ドグマ・ミーティング』より

1995年に、ラース・フォン・トリアーらがデンマークで起こした映画運動「ドグマ95」。その提唱から5年後の2000年、トリアーの元に、運動の中心人物であるトマス・ヴィンターベア、ソレン・クラフ・ヤコブセン、クリスチャン・レヴリングが集められて行われたミーティングの記録。
撮影は手持ちカメラのみ、音は同時録音のみ、監督の名前はクレジットされてはいけない。など、映画制作における十戒、”純潔の誓い”を掲げた「ドグマ95」は、第1作目のヴィンターベア監督による『セレブレーション』(98)と第2作目のトリアー監督による『イディオッツ』(98)が同時にカンヌのコンペティションに選出されたことにより、世界中の注目を浴びました。
本作は、上記作品に加え、ヤコブセン監督『ミフネ』(98)、レヴリング監督『キング・イズ・アライブ』(00)の4本のドグマ作品の撮影現場の記録映像を見ながら、4人の監督たちが「ドグマ95」について検証をしていく現場を収めたドキュメンタリーです。
「ドグマ95」が彼らに、そして映画界にもたらしたものは一体何だったのか?その誕生から20年経った今、その第一作目の『セレブレーション』とともに、改めて振り返ります。
4人もの監督が集まって、それぞれの作品について語る映像なんてなかなか見られないのではないでしょうか?4人の監督が完全にくつろいで、自作のメイキング映像を見てニヤニヤしたり、ふと本音をもらしたりする画は、それだけで見る価値ありです。

原題:De lutrede/英題:The Purified
監督:イェスパー・ヤーイル(Jesper Jargil)
2002年/デンマーク/デンマーク語(Danish)
字幕:日本語・英語【With English subtitles】/68min

◎上映スケジュール
[ユーロスペース]2月11日(水)19:00 2月13日(金)16:30





ジャパンプレミア

『ピンチクリフのクリスマス』

ノルウェー発人気人形アニメの続編

映画『ピンチクリフ』より

ピンチクリフ村で暮らす、自転車修理工で発明好きのレオドア、アヒルのソランとハリネズミのルドビクはクリスマスの準備中。でも、その冬、村にはまったく雪が降らず、村人たちはがっかりしていた。そんなある日、レオドアは、とある人物に雪を降らせる機械を作って欲しいと頼まれ、一度は断ったものの好奇心からスノーマシーンを完成させる。しかし、マシーンの暴走によりピンチクリフ村は雪に埋もれてしまう……。
TNLF2011でもご紹介した、ノルウェーで最も有名で、最も愛され続けている映画『ピンチクリフ・グランプリ』の続編。クジェル・オークラストによる原作コミックを元に、1998年にはセルアニメ“Solan, Ludvig og Gurin med reverompa”が発表されましたが、本作では38年振りにパペット・アニメーションとして制作されました。ノルウェー本国では、2013年の興行収入1位に輝き、2015年には最新作も公開予定と、再びブームを巻き起こしています。
スタッフもパペットのキャラクターも一新されましたが、そのクオリティは前作ファンを裏切りません。また、前作を知らなくても充分に楽しめるストーリーになっています。作り手の愛情と情熱が溢れ、抱きしめたくなるくらいに愛おしい作品です。

原題:Solan og Ludvig - Jul i Flaklypa
英題:The Christmas of Solan & Ludvig
監督:ラスムス・A.シヴァートセン(Rasmus A. Sivertsen)
2013年/ノルウェー/ノルウェー語(Norwegian)
字幕:日本語/76min
2014年ノルウェーアカデミー(アマンダ)賞
最優秀児童・青少年映画賞

◎上映スケジュール
[ユーロスペース]2月8日(日)14:00 2月9日(月)11:30 2月13日(金)21:10

(文:細川典子、藤本高之[トーキョーノーザンライツフェスティバル・スタッフ])



カフェ/レストラン Tabela(タベラ)
ノーザンライツフェスティバル スペシャルメニュー


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鹿肉のロースト リンゴンベリーソース
1,550円

北欧産のジャムを使ったフルーティなソースが鹿肉の力強さを引き立てます。赤ワインと一緒に。
提供時間:16:00~



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ラフィンランドのスパイスケーキ
500円

シナモン、カルダモン、ナツメグ、はちみつを使ったどこか懐かしい味わいのケーキ。酸味の効いた生クリームとシトラスジャムをトッピング。
提供時間:OPEN~


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カフェ/レストラン Tabela(タベラ)
平日:ランチ11:45~16:00
ティータイム16:00~18:00
ディナー18:00~23:00
土日祝:ランチ12:00~16:00
アフターランチ16:00~17:30
ディナー17:30~23:00
※ラストオーダー22:30
定休日なし・連日営業
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F [地図を表示]
TEL 03-6825-5501




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トーキョーノーザンライツフェスティバル2015
2015年1月31日(土)~2月13日(金)ユーロスペースアップリンク

公式ホームページ http://tnlf.jp/
公式twitter http://twitter.com/tnlfes

▼映画『バレエ・ボーイズ』海外版予告編


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