骰子の眼

cinema

2014-12-25 19:30


『最強のふたり』で燃え尽きた監督が新作『サンバ』で燃え尽き症候群をテーマに!

再タッグを組んだオリヴィエ・ナカシュ監督と主演オマール・シーへのインタビュー
『最強のふたり』で燃え尽きた監督が新作『サンバ』で燃え尽き症候群をテーマに!
映画『サンバ』より © 2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO


全世界で驚異的ヒットを記録した『最強のふたり』(2011年)のエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督と主演オマール・シーが、再びタッグを組んだ本作。

トレダノ&ナカシュ監督は、『最強のふたり』を撮る前から、不法移民をテーマにした作品を作ろうと脚本を書き始めていた。ところが、『最強のふたり』で“燃え尽き症候群”を経験し、2人はそれをもう一つのテーマとして次作に組み込もうと決めた。

日々に忙殺され、“人生のための仕事”のはずが、“仕事のための人生”にすり替わってしまっていることに気づいた彼らは、「仕事だけが人間の存在意義なのか?」という疑問を世間にぶつけたいという想いにかられたという。そして、仕事が最重要だと考えていた人間同士が出会い、社会的な成功に左右されない、新たな幸せを見つけようとするというプロットが出来上がった。

今やハリウッドからも引っ張りだこのオマール・シーが演じるのは、突然、国外退去を命じられたセネガル移民の青年サンバ。シャルロット・ゲンズブール扮する、燃え尽き症候群の元キャリア・ウーマンで、移民支援ボランティア団体の研修生アリスは、サンバと出会うことで自分を取り戻していく。

以下に、オリヴィエ・ナカシュ監督と、主演オマール・シーへのインタビューを掲載する。

『サンバ』
オリヴィエ・ナカシュ監督(左)と主演のオマール・シー(右) © 2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO


運命共同体として、最初から参加したオマール・シー


──『最強のふたり』の世界的なヒットはあなたのキャリアにどのような影響をあたえましたか?

オリヴィエ・ナカシュ監督(以下ナカシュ監督):全てが変わりました。とても奇跡的な事だと思っています。こんなヒットに恵まれるのは人生に一度のことだと思っています。とてつもなく大きな意味があることでした。私たちはこの世界的な現象となった『最強のふたり』のポジティブな部分を、『サンバ』でより進化させようとしました。もちろんエリック(・トレダノ監督)やオマールと共にね。私たちは『最強のふたり』で自由を勝ち取りました。そして私たちにとってその“自由”は『サンバ』を作るためのものでした。『サンバ』は『最強のふたり』によって得た自由のおかげで出来た作品なのです。

『サンバ』
映画『サンバ』より © 2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO

──オマール・シーさんはいかがですか?

オマール・シー:本当に沢山の事が変わりました。俳優という職業に就く者にとって、そういうヒットがある事は全てを変えるんです。今来ている日本でも、僕に会いにきて、サインや写真を求めてくれる人がいることに驚きました。そして、フランスだけではなく、イギリスやアメリカでも映画に出る事が出来るようになりました。本当に、僕の今の仕事に様々な機会を与えてくれています。オリヴィエが言ったように、『最強のふたり』で多くの自由を勝ち取ることができたんです。今は選択することができるんです。俳優にとってそれは本当に意味のある事です。自由になれて、本当にしたい事を選択することができ、選択肢に悩む時間もある。僕たちが『サンバ』をつくったのは、まさにそのおかげなのです。本当にしたい事を選択出来る自由を手に入れたから『サンバ』が作れたのです。私たちはチャンスに恵まれて幸せです。だからこそ私たちは常に真摯な姿勢を保ち続けるようつとめています。

『サンバ』
映画『サンバ』より © 2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO

──オマールさんは監督にとってどんな俳優ですか? 他の俳優と違うところは?

ナカシュ監督:彼は全てを持っています。パワフルで凄く良い俳優です。僕たちは脚本を書いている時、オマールが僕たちの書いたセリフを声に出すと、そのセリフがより良いものに変化するという確信がありました。なので、僕たちは、可能な限りより良い脚本を書くよう努力したし、それがセットの中ではもっといいものになるとわかっていました。オマールは監督である僕とオリヴィエそのものなのです、俳優だけどね。肌の色も一緒だしね(笑)。凄く似ているのです。

オマール・シー:双子みたいにね(笑)。

──監督と再びタッグを組むのは如何でしたか?

オマール・シー:本当に良い時間を過ごしました。人生のある地点において、事前に「とてもいい時間になるな」と確信がある経験って誰にでもあると思うんですが、僕は彼らとともに過ごす時間は幸せなものになるといつも確信しているんです。仕事においても、人生においても、幸せをくれる人はいるものですが、彼らは僕にとってそういう人なんです。彼らは本当にとても優秀な脚本家です。俳優にとって良い脚本と出会い、素晴らしいセリフを与えられることは本当に幸せな事なんです。そして撮影現場では彼らはとても優秀な監督なんです。俳優がどうすれば演技が出来るかわかっているんです。彼らは自信と愛と自由を与えてくれます。そんな監督と作品が作れてとても幸せだし、その事に感謝しています。

『サンバ』
映画『サンバ』より © 2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO

──ナカシュ監督は、トレダノ監督と言い争いになった時、どうやって解決するんですか?

ナカシュ監督:コブシで解決するね(笑)いや、実を言うと対立したことがないんです。僕たちは一緒に脚本を書いているので、脚本に取り組んでいる際は話し合いをします。たとえばアイディアやキャラクターについてなんかね。ただそれは決して争いではなく、話し合いなんです。話し合うことによって、よりよいアイディアが浮かぶんです。その後、セットでは一緒に手と手を取り合い、常に前進していなければいけない。時間は刻々と過ぎてしまいますからね。常に作品を良くするために前に進まなければならないのです。争っている時間はないんです。とてもいい雰囲気で仕事をしています。コメディーを作っていますから。“楽しい事”は僕たちの原動力なんです。楽しい事は僕たちにエネルギーを与えてくれる。いつもより良くするために楽しいことを探しています。探して探して、探し続けている。そして、オマールは新しい発見することが得意なんです。まるで魔法みたいにね。だから、僕たちは対立しないんです。

──サンバというキャラクターについて教えてください。

オマール・シー:サンバはセネガル出身の青年で、10年フランスで暮らしています。彼は生きるために仕事を探しています。ある日、彼は国外退去命令を受けて、それがきっかけとなり協会で働くアリスに出会う事になります。そしてタハール・ラヒム演じるウィルソンにも出会うことになります。それは彼の“旅”なんです。彼は様々な人と会います。そして彼の人生は彼自身想像もしないような方向に変わっていきます。 それはパリに住むだれかの人生の一部で、パリの一部なんです。こういう人生をおくっている人がいるということは、あまり知られていませんけどね。だから、この映画はそういう人がいるんだという事を知ってもらう良いきっかけになると思っています。

『サンバ』
映画『サンバ』より © 2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO

──新作のご予定は?

ナカシュ監督:今は純粋に『サンバ』の公開を楽しむようにしています。フランスで公開されたばかりで、日本でも12月に公開になりますよね。そうして他の国でも公開された後で、新しい脚本に取り掛かるつもりです。あと10作くらいオマールと一緒に作りたいですね(笑)。実際に僕たちの作品でオマールと一緒になるかはまだ分からないですが、彼は僕たちにとってこの先もずっと近い存在で有り続けます。

オマール・シー:彼らの作品だったらドアマン役だってやるよ(笑)。

ナカシュ監督:じゃあシャルロット・ゲンズブールはドア役かな(笑)。

(オフィシャル・インタビューより)

エリック・トレダノ(Éric Toledano)
オリヴィエ・ナカシュ(Olivier Nakache)

エリック・トレダノは1971年仏パリ生まれ。オリヴィエ・ナカシュは1973年仏オー=ド=セーヌ生まれ。1995年に短編映画『Le jour et la nuit』の監督・脚本を共同で手掛けて以来、チームを組んでいる。短編『Les Petits souliers』(99)で、クレルモンフェラン国際短編映画祭に招待され、パリ映画祭観客賞を始めとする様々な賞を国内外で受賞し、一躍注目される。その後、短編『Ces Jours heureux』(02)で、オマール・シーと初めてタッグを組む。2005年、初の長編映画『Je préfère qu'on reste amis』の監督・脚本を担当。続く『Nos jours heureux』(06)では、サルラ映画祭観客賞など多数の賞を受賞し、2009年には『Tellement proches』の監督・脚本を手掛ける。2011年、オマール・シーを主演に抜擢した『最強のふたり』が大絶賛を浴び、フランスの歴代興収第3位の大ヒットを記録、ヨーロッパ各国、アメリカ、日本でも驚異的なヒットを成し遂げる。さらに世界中の賞レースを席巻、セザール賞全9部門、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞、ヨーロッパ映画賞、放送映画批評家協会賞にノミネートされ、東京国際映画祭では東京サクラグランプリに輝く。ハリウッドでのリメイクが進行中で、コリン・ファース、ケヴィン・ハートが出演する予定。

オマール・シー(Omar Sy)

1978年仏イヴリーヌ生まれ。コメディアンとして活躍する一方、『アドベンチャー・レース』(02)、『ル・ブレ』(02)、ジャン=ピエール・ジュネ監督の『ミックマック』(09)などに出演する。エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督作品では、短編『Ces jours heureux』(02)、『Nos jours heureux』(06)、『Tellement proches』(09)に続く出演となった『最強のふたり』(11)の大ヒットで一躍世界中にその名を知られ、セザール賞主演男優賞、東京国際映画祭最優秀男優賞に輝き、ヨーロッパ映画賞にノミネートされる。『アンタッチャブルズ』(12)、ミシェル・ゴンドリー監督の『ムード・インディゴ うたかたの日々』(13)への出演を経て、2014年にブライアン・シンガー監督の『X-MEN:フューチャー&パスト』のビショップ役でハリウッドデビューを果たす。続いて、ジェームズ・フランコ、ケイト・ハドソン共演の『Good Peaople』(14)に出演する。次回作は、大ヒットシリーズ『ジュラシック・パーク』の最新作『Jurassic World』(15)。


『サンバ』
2014年12月26日(金)より、TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

『サンバ』
映画『サンバ』より © 2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO

フランスに来て10年、ビザのうっかり失効で、ある日突然国外退去を命じられた青年サンバ。人生の大ピンチに出会ったのは、移民支援協会で担当となった燃え尽き症候群の元キャリア:アリスや、不正な身分証を斡旋したり、日雇いの仕事を紹介してくれる面倒見のいい陽気な移民仲間:ウィルソンといったわけありな面々。サンバの屈託のない笑顔に引きよせられ、人種も境遇も、キャラクターも全く違う3人は、ぶつかり合いながらも、心を通わせ、それぞれがかかえる状況を少しづつ好転させていく。ところが、サンバの忘れようとした過去が、彼をさらなる窮地に追い込むことに……。

原題:SAMBA
監督・脚本:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
協力:デルフィーヌ・クーラン、ミュリエル・クーラン
原作:デルフィーヌ・クーラン『フランスに捧げるサンバ』
プロデューサー:ニコラ・デュヴァル・アダソフスキー、ヤン・ゼヌー、ローラン・ゼィトゥン
出演:オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、イジア・イジュラン、ユンガル・ファール、イサカ・サワドゴ、エレーヌ・ヴァンサン、クリスティアンヌ・ミレー、クロティルド・モレ、リヤ・ケベデ
配給:ギャガ
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
(2014年/フランス/119分)

映画公式サイトsamba.gaga.ne.jp



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