映画『私の恋活ダイアリー』より
60歳の独身女性映画監督が、自分自身の恋活を18ヵ月に渡り記録したドキュメンタリー映画『私の恋活ダイアリー』が12月20日よりロードショー公開となる。自らにカメラを向けたニリ・タル監督は、離婚歴ありで、子どもも孫もいるが、一人で生きていくことに不安を覚え、インターネットの恋活サイトに登録。男性からアプローチに応え様々な男性達とデートを重ね、理想のパートナーを探す姿がユーモアたっぷりに描かれる。
webDICEでは、公開にあたり来日したニリ・タル監督のインタビューを掲載する。
ドキュメンタリーで自分の全てをさらけ出すことは、
簡単なことではありませんでした
──「このままずっと一人ではイヤだ、パートナーが欲しい」という思いには共感する人は多い思いますが、日本人からすると自分自身の〈恋活〉を映画に撮るというのは思い切った行動だと思うのですが、ご自身では抵抗はなかったのですか?
実は、自分自身の恋活についての映画にしようとは思っていませんでした。イスラエルの〈恋活〉をテーマにドキュメンタリーをつくろうと思って始めたプロジェクトで、イラエルの恋活サイトで、10人ほどのイスラエル美人を選び、彼女たちに会って、その中から、さらに3人を選んで撮影を始めました。ですが、かなりタイヘンなことでした。それで、3、4日撮影した結果、自分を撮ろうと決めたわけです。
ある晩一人で寝ていた時に、ふと「このまま一人なのかしら……」と思い立って始めました。突然思い立って始めちゃうことって、誰にでもあるでしょう?
映画『私の恋活ダイアリー』のニリ・タル監督
──この映画を撮影する中で、何が一番大変でしたか?
ドキュメンタリーで世間に自分の全てをさらけ出すということは、簡単なことではありませんでした。なぜなら、自分はもちろん、家族や孫も撮ることになるからです。友人たちの中には心配する者もいましたし、勇気が必要でした。でも、最終的には家族や友人もよかったと言ってくれています。
映画『私の恋活ダイアリー』より
──何人もの見知らぬ男性と会う中で、怖い体験はなかったですか?
カメラを自分で持って、一人で会いに行くことも多かったけど、メールや電話でも話していたし、撮影もOKをもらっているので怖くはなかったわ。ベベルの部屋で暗い階段を下りていくシーンは「怖くなかったの?」と聞かれることも多いけど、見ての通り私はタフな女性でしょ?だから、男性の方が怖がっていたかもしれないわね(笑)。
映画『私の恋活ダイアリー』より
「自分は一人じゃない」と気づいた
──撮影を断られた男性は?
10人に断られました。アメリカでは3人の男性と会って素敵なデートをして撮影もしたけれど、編集でカットしているので映画には登場しません。そのような人たちもいます。
──映画に出てくれた中で最も印象に残った男性は?今でもお付き合いはありますか?
何と言ってもベベル。友だちになりました。ギルとも友人付き合いをしています。また、エイラットはイスラエルの観光地に暮しているので、時折、彼を訪ねては素敵なベッドで、私は寝ています。
映画『私の恋活ダイアリー』より、ニリ・タル監督(左)とベベル(右)
──相手にとっては何が選ぶときのポイントだったと思いますか?
容貌ではないか、と思います。
──あなたの友人たちは完成した映画を見ましたか?また、見た人の感想は?
映画に出てくれた友人も、出なかった友人も皆この映画を好きになりました。観客から哀れに見られるのではないか、私が落ち込むのではないか、と心配した人もいましたが、そんなことはありませんでした。最終的には友人も観客もみんな「よかった」と言ってくれていますし、世界中の方から「勇気づけられた」とメッセージをたくさんいただいています。
──英題『Sixty and the City』は面白い発想だと思うのですが、どうして付けたのですか?
息子(法律家で実業家でもある)が、「これだ!」と言ったのです。『Sex and the Sixty』と『Sixty and the City』の2案出ましたが、後者にしました。
映画『私の恋活ダイアリー』より、ニリ・タル監督(左)と彼女の息子(右)
──日本女性についての印象は?
日本と日本人は大好きです。インテリジェンスがあり、礼儀正しい。でも日本女性は独立して、自由を謳歌しているようには見えません。
──次回作は?
『私の恋活ダイアリー』完成後、2本作っています。拒食症の若い女性についてのドキュメンタリー『Anna my love』と、『ウクライナの花嫁 パート4』。今は、『The cult』という新作を編集中です。
──この映画を製作して、自分自身に変化はありましたか?
特に変化はなかったわ。ただ、ひとつわかったのは、私と同じように出会いやパートナーを探している人がたくさんいて、「自分は一人じゃない」と気づいたことかしら。
──日本の皆様に、この映画をどのように見ていただきたいですか?
「恋活しましょう!」という真面目な話しではなく、クスッと笑いながら気軽な気持ちで見ていただければ嬉しいです。
(オフィシャル・インタビューより)
映画『私の恋活ダイアリー』より
ニリ・タル(Nili Tal) プロフィール
1965年、結婚し2児をもうけるが離婚。同じ相手と再婚と離婚を繰り返し、現在は独身で孫が8人。
1965~75年、イスラエルで最も重要な新聞〈ハアレツ〉紙で記者として働く。1975年~1990年、イスラエルのTV局Channel 1でレポーター兼ディレクター。この間に30分から40分もののルポルタージュを10本と1時間前後のドキュメンタリー映画を7本撮る。現在は自身のプロダクションで、ドキュメンタリーを製作している。
映画『私の恋活ダイアリー』
12月20日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開
ニリは離婚歴ありの女性。同居しているのは猫と犬。でも何かが足りない……それは人生を共に分かち合うパートナー。愛ならすでに知っている。失うものは何もない。恋活サイトに登録した途端、眠っていたホルモンがあふれだす。見た目に磨きをかけ、失っていた色気を取り戻したニリには予想以上の男性からアプローチが殺到。連日様々な世代の男性達とデートを重ねる彼女だが若い頃のようにはいかない。戸惑い、時に傷つきながらも自分に正直に、幸せを求めて突き進む!起死回生をかけて女友達と独身者のためのクルージングへ参加。果たして彼女は”未来への扉”を開く理想のパートナーと出会うことはできるのか……。
製作・監督・出演:ニリ・タル
英題:Sixty and the City
配給:パンドラ
2010年/イスラエル/デジタル/70分
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