映画『ノー・マンズ・ランド』より © NOE PRODUCTIONS - FABRICA - MAN'S FILMS - JUDY COUNIHAN FILMS - STUDIO MAJ/CASABLANCA - 2001
11月21日(金)、渋谷アップリンク・ファクトリーで映画『ノー・マンズ・ランド』の一夜限りの上映イベントが開催される。『ノー・マンズ・ランド』は、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のダニス・タノヴィッチ監督の長編デビュー作。最新作『鉄くず拾いの物語』(2013年)では、ボスニアで少数民族ロマの女性が保険証を持っていないために手術を拒否された事件を、当事者を主人公に描くも高い評価を得た。『ノー・マンズ・ランド』では、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で極限状態に置かれた両軍の兵士たちの交流を描き、2001年カンヌ国際映画祭で脚本賞、アカデミー外国語映画賞を受賞した。
2015年でボスニア紛争終結20年を迎えるにあたり行われる今回のイベントでは、上映後、金子遊氏(映像作家・批評家)を司会に、千田善氏(通訳・翻訳家)ほかゲストを迎えてトーク・ショーが行われる。
日本では安倍内閣が7月1日の臨時閣議で、他国への攻撃に自衛隊が反撃する「集団的自衛権」の行使を認めるために、憲法解釈を変える閣議決定を行った。また安全保障に関する機密情報を特定秘密に指定し、情報を漏らした公務員らに厳罰を科す「特定秘密保護法」について、運用基準と政令が閣議決定され、施行日となる12月10日が近づいている。
今回のイベント当日は、こうした日本の現状をふまえ、戦争は海のむこうの出来事なのか、また映画の舞台となる1993年のボスニア紛争当時に現地では何が起きていたのか、など「戦争と平和」をテーマに活発な議論が行われる予定だ。
映画『ノー・マンズ・ランド』より © NOE PRODUCTIONS - FABRICA - MAN'S FILMS - JUDY COUNIHAN FILMS - STUDIO MAJ/CASABLANCA - 2001
『ノー・マンズ・ランド』が意図するのは、責任追及ではない。悪いことをしたのが誰なのかを指摘する映画じゃないんだ。僕が言いたいのは、あらゆる戦争に対して、異議を唱えるということなんだ。あらゆる暴力に対する僕の意志表示なんだよ。
──ダニス・タノヴィッチ
映画『ノー・マンズ・ランド』より © NOE PRODUCTIONS - FABRICA - MAN'S FILMS - JUDY COUNIHAN FILMS - STUDIO MAJ/CASABLANCA - 2001
『ノー・マンズ・ランド』は、2001年のカンヌ国際映画祭において、圧倒的なストーリーテリングの巧みさで世界中のマスコミを興奮の渦に巻き込み、脚本賞を受賞。その後、サン・セバスティアン、サンパウロ、サラエヴォなどの映画祭でも観客賞を受賞した。そのユーモア・センスと痛烈なメッセージ性によって世界中の観客を魅了した。
映画『ノー・マンズ・ランド』より © NOE PRODUCTIONS - FABRICA - MAN'S FILMS - JUDY COUNIHAN FILMS - STUDIO MAJ/CASABLANCA - 2001
1993年、ボスニアとセルビアの中間地帯〈ノー・マンズ・ランド〉に取り残された、ボスニア軍兵士チキとセルビア軍兵士ニノ。お互い殺すか、殺されるかの緊迫した状況の中、交わされる二人の会話。戦争に巻き込まれ互いを憎みあいながらも、一体何故争っているのか分からずにいる二人の間に幾たびか心を通わせる瞬間が訪れるのだが……。彼らの一触即発の駆け引きを、ユーモラスかつスピーディーに描きながらも、戦争の愚かさが浮き彫りにされ、観る者の胸に突き刺さる。
(以上、映画解説は公式HPより)
ダニス・タノヴィッチ(Danis Tanović) プロフィール
1969年、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身。サラエヴォのフィルム・アカデミーで作品を製作後、92年のボスニア紛争勃発と同時に、ボスニア軍に参加。「ボスニア軍フィルム・アーカイヴ」を立ち上げ、サラエヴォの最前線で300時間以上に渡る戦地の戦争映像を撮影した。この時の映像は、ルポルタージュやニュース映像として、世界中で放映されている。資料映像と同時にドキュメンタリー作品を監督し、数多くの賞を受賞している。94年にサラエヴォを離れ、ベルギーに渡って、映画を学ぶ。本作『ノー・マンズ・ランド』で長編監督デビュー。「戦争とは精神状態です。銃弾の音や、頭上を通るヘリコプターのプロペラではないのです。戦争は、それを生きる人間の心の中にあり、戦いが終わった後も消し去る事ができません」と語る通り、戦争の愚かさを描ききり、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど見事なデビューを飾った。
2002年には、アメリカ同時多発テロをテーマにしたオムニバス映画『11’09”01/セプテンバー11』のボスニア編を担当した。2005年には、ポーランドの巨匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督が遺したダンテの『神曲』をモチーフにした『天国編』『地獄編』『煉獄編』三部作のうちの『地獄編』を『美しき運命の傷痕』として映画化。
一時期、パリで暮らしていたが現在は家族と共にサラエヴォに戻り、舞台芸術アカデミーで教授職に就いている。2011年にサラエヴォ大学から名誉博士号を授与されている。
2013年の『鉄くず拾いの物語』でベルリン国際映画祭銀熊賞と主演男優賞を受賞した。
【関連記事】
事件の当事者が主役を演じた『鉄くず拾いの物語』ダニス・タノヴィッチ監督がその演出方法を語る(2014-01-10)
http://www.webdice.jp/dice/detail/4080/
ボスニア紛争終結20年
映画『ノー・マンズ・ランド』上映&トークショー
2014月11月21日(金)
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
映画『ノー・マンズ・ランド』より © NOE PRODUCTIONS - FABRICA - MAN'S FILMS - JUDY COUNIHAN FILMS - STUDIO MAJ/CASABLANCA - 2001
開場19:00/上映19:15 ※上映終了後トーク・ショー
料金:一般1,300円/学生1,100円/シニア1,100円/UPLINK会員1,000円
トーク・ショー・ゲスト:千田善(通訳・翻訳家)他
トーク・ショー司会:金子遊(映像作家・批評家)
映画『ノー・マンズ・ランド』
監督・脚本・音楽:ダニス・タノヴィッチ
撮影:ウォルター・ヴァン・デン・エンデ
編集:フランチェスカ・カルヴェリ
出演:ブランコ・ジェリッチ、レネ・ビトラヤツ
フランス、イタリア、ベルギー、イギリス、スロヴェニア/2001年/カラー/ドルビーデジタル/シネマスコープ/98分
ご予約は下記より
http://www.uplink.co.jp/event/2014/32852
上映会に10名様をご招待!
11月21日のこの上映会に参加し、ツイッターで感想を投稿していただける方10名様をご招待いたします。終演後に、感想をつぶやくことが応募条件となります。当選された方は、終演後120文字以上で感想を投稿してください。
【応募方法】
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info@webdice.jp
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■応募締切:2014年11月18日(火)午前10:00
※当選者の方には、2014年11月18日(火)中にメールにてご連絡差し上げます。