ワールド・フォーカス出品のアーシア・アルジェント監督『わかってもらえない』 cAngelo Turetta
第27回東京国際映画祭が2014年10月23日(木)から10月31日(金)まで、六本木ヒルズを主会場に、今年は日本橋でも開催される。
ジェームズ・ガン監督を審査委員長に、プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏曰く「明日をどう生きるか」をテーマに選ばれた作品から最高賞の「東京グランプリ」を競うコンペティション部門、そしてアジア圏からの秀作を集めた「アジアの未来」、カンヌ、ベネチア、トロントなど国際映画祭で話題になった作品や有名監督の新作を集める「ワールド・フォーカス」、今年より新設の国際交流基金アジアセンターとのコラボレーションによりアジア映画を特集上映する「CROSSCUT ASIA」、劇場版アニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズなどで知られる庵野秀明監督の特集上映「庵野秀明の世界」などのプログラムがラインナップ。ワールドプレミア作品を含む、国内外の良質な作品を数多く観ることができる。
今回はwebDICE編集部スタッフによる「これは気になる」という21作品と3つの特集上映をピックアップしてご紹介する。
なお、毎回人気作品が早々とソールド・アウトとなる前売りチケットは10月11日(土)12:00より販売となる。
コンペティション
『草原の実験』
© Igor Tolstunov's Film Production Company
広大な草原地帯。やんちゃな父と美しく優しい娘が、静かで平和な日々を送っている。そんな娘に、ふたりの青年が恋をする。三角関係はやがて、全く意外な方向に進んでいく…。
ほのぼのとした父娘の関係や、その娘とふたりの青年の三角関係といった素朴な物語を、計算し尽くされた構図で切り取っていく鮮烈なビジュアルセンスに圧倒されるドラマ。しかし、終盤に突如叩きつけられるメッセージが、それまでの映画の印象を一変させてしまう。かつてのカザフスタンで実際に起きた出来事に監督がインスパイアされて作られた物語であり、日々の営みを淡々とこなす純朴な人々に訪れる運命を、出来うる限りの愛情を込めて描いている。前作がロシア国内で高い評価を受け、これから充実期に入ろうとする期待の監督による、美しさに満ちたファンタジー的黙示録である。
監督/脚本 : アレクサンドル・コット
撮影監督 : レヴァン・カパナーゼ
プロデューサー : イーゴリ・トルスツノフ
共同プロデューサー : セルゲイ・コズロフ
共同プロデューサー : アンナ・カガルリーツカヤ
美術/衣装 : エドゥアルド・ガルキン
音楽 : アレクセイ・アイギ
音響 : フィリップ・ラムシーン
編集 : カラリーナ・マチエーフスカ
キャスト:エレーナ・アン、ダニーラ・ラッソマーヒン、カリーム・パカチャコーフ、ナリンマン・ベクブラートフーアレシェフ
96分/Color/2014年/ロシア
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=29
コンペティション
『ザ・レッスン/授業の代償』
© Abraxas Film Ltd, Graal Films, Little Wing Productions, Screening Emotions
小学校の教室で生徒のお金が盗まれた。担任の女教師は何度も盗んだ生徒に申し出るように促すが、犯人は出てこない。家に帰ると、夫の借金が突然判明し、彼女は返済に追われることになってしまう…。本作は、おカネのモラルを教えている本人が金銭トラブルに巻き込まれていく皮肉な状況を、緊張感たっぷりに描く人間ドラマである。実際の事件から着想を得て作られたという脚本が巧みであり、事態が悪化していく中で、打つ手が全て裏目に出てしまう時の焦燥感が手に取るように伝わってくる。これが長編デビューとは思えないほど、ふたりの監督は映画におけるリアルなサスペンスのあり方を徹底的に研究しており、観客の心を掴んで離さない。女教師の災難のドラマである一方で、経済に支配される現代社会の矛盾という普遍的要素が底流する物語でもあり、世界のどこでリメイクしても通用する内容である。日常に隣接した出来事の意外な展開をリアリズムで描く手腕に長けた、期待の新人コンビの誕生である。
監督/脚本/プロデューサー : クリスティナ・グロゼヴァ
監督/脚本/プロデューサー/編集 : ペタル・ヴァルチャノフ
プロデューサー : マグデレナ・イリエヴァ、コンスタンティーナ・スタヴリアヌー、レナ・ヴギウカルー
撮影監督 : クルム・ロドリゲス
美術 : ヴァニナ・ゲレヴァ
キャスト:マルギタ・ゴシェヴァ、イヴァン・ブルネフ、イヴァン・サヴォフ、イヴァンカ・ブラトエヴァ、デヤ・トドロヴァ、ステファン・デノリュボフ
111分/ブルガリア語/Color/2014年/ブルガリア=ギリシャ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=11
コンペティション
『神様なんかくそくらえ』
© HARDSTYLE LLC
少女の青年に対する絶望的な愛の物語を軸に、ジャンキーとして生きていくノーフューチャーな若者たちを徹底したリアリズムで描くドラマ。情感を排したドライなNYの姿が、痛々しくも新鮮に映る。
本作は、主演女優のアリエル・ホームズの実際の体験談を、ベンとジョシュのサフディー兄弟監督が脚本にして映画化したものである。劇中でドラッグに依存する自分自身を演じるアリエルの振る舞いは、さすがに真に迫る。マンハッタンをさまようアリエルやその周辺の連中の空虚な行動は絶望的であるものの、本人たちに悲壮感はなく、人物像の背景説明が省略されている分、実際にストリートのドキュメンタリーを見ているような感覚に陥る。ジョン・カサヴェテスの名を冠した賞の受賞経験がある兄弟監督であるが、その賞に恥じないエモーションとテンションを保っているどころか、特徴のある音楽やストリートに溶け込んだかのようなカメラワークで、独自の世界の構築に成功している。アメリカのインディー・シーンでは名の通った監督たちであり、今後のさらなる飛躍のきっかけとなる1本である。イリヤ役にケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』『ビザンチウム』)が共演のほか、ストリートの伝説的存在であるBuddy Duress、天才ラッパーのNecroも出演。
監督/脚本 : ジョシュア・サフディ
監督/編集 : ベニー・サフディ
脚本/編集 : ロナルド・ブロンスタイン
撮影監督 : ショーン・プライス・ウィリアムズ
美術 : オードリー・ターナー
プロデューサー : オスカー・ボイセン、セバスチャン・ベア=マックラード、シャルル=マリー・アントニオーズ、ムーラッド・ベルケダール、ジャン・デュアメル、ニコラ・レルミット
キャスティング・デゥレクター : エレオノア・ヘンドリックス
キャスト:アリエル・ホームズ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、バディ・デュレス
93分/英語/Color/2014年/アメリカ=フランス
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=7
コンペティション
『破裂するドリアンの河の記憶』
© Greenlight Pictures cIndie Works
港町に暮らす高校生たち。勉強に熱心でないミンは美しいメイ・アンと森や海沿いを散歩してデートするが、メイ・アンはふと連絡が取れなくなってしまう。一方、地元ではレア・アース採掘工場の建設が計画されている。女教師のリムは、建設反対運動に参加しつつ、生徒に歴史を教えているが…。
高校生の淡い恋愛物語としてスタートしながら、やがて社会や歴史への意識を縦横に織り込んでいく、深みと美しさを備えた青春映画である。複数の人物の視点がリレーのように繋がることで、いくつもの次元の物語が語られる構成が巧みであり、高校生たちの視点を借りて、観客も世の中の多面性に気付かされていく。未来を考えるために歴史とは何かを問う姿勢が映画に広がりを与え、青春期特有の繊細な感情が奥行きをもたらす。リアリズムとロマンチシズムの双方を備えたスケールの大きい作品であり、大型新人監督の登場である。
監督/脚本/編集 : エドモンド・ヨウ
プロデューサー : ミン・ジン・ウー
撮影監督 : コン・パフラック
音楽 : ウォアン・フーン・ウォン
エグゼクティブ・プロデューサー : エリック・ヨウ
ライン・プロデューサー : ティム・キアン・チェン
録音 : ソラヨス・プラパパン
美術 : エドワード・ユー・チー・ブーン
衣装/メイク : ケイ・ウォン
撮影補佐 : ヴィンス・チェオン
キャスト:チュウ・チーイン、シャーン・コー、ダフネ・ロー、ジョーイ・レオン
128分/北京語、マレー語、広東語/Color/2014年/マレーシア
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=23
コンペティション
『ロス・ホンゴス』
スケボー少年と、その友人。グラフィティーアートの趣味を共有する二人は、大規模なゲリラ・ペインティング企画に参加するが…。若者文化のみならず、様々な世代の音楽、そして宗教や政治やジェンダーなど、多様な視点を自由に含み、ユーモラスで風通しの良い青春映画。
タイトルはスペイン語で「マッシュルーム(キノコ)」を意味するが、監督によればそれはドラッグ的な幻覚や愉悦ではなく、菌類から連想される腐敗や分解を象徴するのだという。つまり、死から生へ、が本作のテーマである。感受性豊かな二人の青年が、世代を超えた芸術や音楽、そして政治や宗教に囲まれて過ごし、やがて来るべき未来に正対していく様は、なるほどニョキっと地面から頭を出しているキノコに見えてくる。二人の体験を通じてコロンビアの現在が垣間見えるようであり、ドキュメンタリー的な自然体の演出も巧みである。監督は第1作『Crab Trap』(10)がベルリン映画祭で国際批評家連盟賞を受賞し、続いてプロデューサー作の『La Sirga』(13/William Vega 監督)がカンヌ映画祭で上映されるなど、同国気鋭の新進映画人である。
監督/脚本 : オスカル・ルイス・ナビア
脚本 : セサル・アウグスト・アセベド
撮影監督 : ソフィア・オッジョーニ・ハティ
美術 : ダニエラ・シュナイダー、アレハンドロ・フランコ
編集 : フェリペ・ゲレロ
キャスト:ジョバン・アレックシス・マルキネス
カルビン・ブエナベントゥラ・タスコン、グスタボ・ルイス・モントジャ、アタラ・エストラダ、マリア・エルビラ・ソリス、ドミニク・トノリエ、アンヘラ・ガルシア
103分/スペイン語/Color/2014年/コロンビア=フランス=ドイツ=アルゼンチン
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=13
コンペティション
『壊れた心』
© Kamias Overground/ Rapid Eye Movies
フィリピンのスラム街。冷酷な殺し屋が、暴力をふるわれている娼婦を助け、逃避行が始まる!
フィリピンにおけるデジタル時代の旗手と称されるケヴィン監督は、映像作家として既に膨大な数の作品を製作している一方で、詩人であり、そしてミュージシャンでもある才人である。本作は、目まぐるしい映像とパンクオペラ的な音楽がセリフ以上に雄弁に世界を語り、カオスの中から詩情が立ち込めてくるという展開を持ち、監督のマルチな才能が全て「ぶちこまれて」いる。悪夢や白昼夢の中のような出来事の中で、ディテールをカオスに放り込み、描くのは感情であると監督は語る。撮影に迎えられた豪州の名手クリストファー・ドイルは、スラムの底辺をひた走る浅野忠信演じる殺し屋と娼婦のエモーションを過激且つ甘美に捉え、監督の抱くイメージを具現化した。娼婦役のナタリア・アセベドはカルロス・レイガダス監督『闇のあとの光』(12)で女優デビューしたメキシコ人、そしてプロデューサーはドイツ人であり、真に国際的なアジア映画の誕生である。
監督/脚本/プロデューサー/作曲/音楽 : ケヴィン
撮影監督 : クリストファー・ドイル
プロデューサー/音楽スーパーバイザー : ステファン・ホール
プロデューサー : アチネット・ビラモアー
音楽 : ブレッツェル・ゴーリング
美術 : フランシス・ゼーダー
編集 : カルロス・フランシスコ・マナタド
音響デザイナー : ファビアン・シュミット
振付 : ミア・カバルフィン
キャスト:浅野忠信、ナタリア・アセベド、エレナ・カザン、アンドレ・プエルトラノ、ケヴィン、ヴィム・ナデラ
73分/フィリピン語/Color/2014年/フィリピン=ドイツ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=27
特別招待作品
『もしも建物が話せたら』
© Wim Wenders
「もしも建物が話せたら、彼らは何を語るだろう?」というテーマで6人の名だたる監督たちが、ヴィム・ヴェンダースのもとに集結。それぞれの監督が異なった都市からアイコンとなる建物を選び、その魂を描き出す
監督/製作総指揮 : ヴィム・ヴェンダース
監督 : ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリム・アイノズ
プロデューサー : アーウィン・ M・シュミット、ジャン=ピエロ・リンゲル
共同プロデューサー : 和崎信哉、鷲尾賀代、ローラ・ ミカルチシン、シャーロット・ ウズ、マリア・ エカーホッド、トミー・プリッドニッグ
配給:株式会社WOWOW
165分/英語/Color/2014年/ドイツ=デンマーク=ノルウェー=オーストリア=フランス=アメリカ=日本
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=69
特別招待作品
『サンバ』
© Quad - Ten Films - Gaumont - TF1 Films Productions - Korokoro
日本中が笑って泣いた『最強のふたり』の監督と主演オマール・シーが再タッグ!フランスに来て10年のサンバに、国外退去命令が出ていたことが発覚する。職場を追われ、表立ってはこの国にいられないサンバは、移民支援ボランティアのアリスと出会う。‘燃え尽き症候群’となり、大企業を休職中のアリスは、人生最大のピンチにも関わらず屈託ない笑顔を向けてくるサンバに興味を抱き、彼を救おうとする。周囲の個性的な人々も巻き込んだ、ふたりの風変わりな関係は、ある日、サンバの身に起こった出来事で、思いもよらぬ方向へ進んでいく―。
監督/脚本 : エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
プロデューサー : ニコラ・デュヴァル・アダソフスキ、ヤン・ゼヌー、ローラン・ゼトゥンヌ
編集 : ドリアン・リガール=アンスー
美術 : ニコラ・デュ・ボワキュイエ
撮影監督 : ステファン・フォンテーヌ
音楽 : ルドヴィコ・エイナウディ
衣装 : イザベル・パンヌティエ
キャスト:オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、イジア・イジュラン
配給:ギャガ株式会社
119分/フランス語/Color/2014年/フランス
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=51
特別招待作品
『劇場版「進撃の巨人」前編~紅蓮の弓矢~』
© 諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、壁をも越える超大型巨人の出現により、人々の平和が突如として崩れ去ってしまう…。
原作 : 諫山 創
監督/構成 : 荒木哲郎
脚本 : 小林靖子、高木 登、瀬古浩司
キャラクターデザイン/総作画監督 : 浅野恭司
総作画監督 : 門脇 聡
助監督 : 田中洋之、肥塚正史
音楽/EDテーマ : 澤野弘之
主題歌 : Linked Horizon
キャスト:梶 裕貴、石川由依、井上麻里奈
配給:株式会社 ポニーキャニオン
120分/日本語/Color/2012年/日本
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=45
特別招待作品
『GARM WARS The Last Druid(ガルム・ウォーズ ザ・ラスト・ドルイド)』
cI.G Films
世界が震撼した『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』 から20年。現代の“CG”と“実写”の技術を融合させた、鬼才・押井守監督の大作「ハイブリッド・アニメーション映画」!
監督 : 押井 守
脚本 : ジェフリー・ガン
音楽 : 川井憲次
音響 : トム・マイヤー
監督補 : 佐藤敦紀
衣装 : 竹田団吾
キャスト:ランス・ヘンリクセン、ケヴィン・デュランド、メラニー・サンピエール、サマー・ハウエル
92分/英語/Color/2014年/日本=カナダ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=41
ワールド・フォーカス
『実存を省みる枝の上の鳩』
© Roy Andersson Filmproduktion AB
ワインのコルクを抜こうとして心臓発作で死ぬ夫とそれに気付かない妻、天国に持参すると言って宝石の入ったバッグを手放さない臨終の床の老女、ユーモアグッズを売るセールスマンの冴えないコンビ、現代のバーに立ち寄るスウェーデン王カール12世率いる18世紀の騎馬軍…。時に(ブラック)ユーモアに満ち、時にシュールで、そして時に恐ろしいエピソードの数々が連なっていく。人間スケッチの奥深さもさることながら、ワンショットで撮られたシーンのひとつひとつが完璧な美術品として成立していることに驚愕する。構図、配置、配色、美術などが微細に至るまで計算し尽くされた、ダイナミックな絵画の連続で構成された作品であり、まさに完全なるロイ・アンダーソンの芸術世界である。監督は元来絵画に対する意識が強く、本作の題名はブリューゲルの「雪中の狩人」からの連想で付けられている。完成に4年を費やした新たな傑作は、ヴェネチア映画祭で見事金獅子賞(グランプリ)を受賞した。
監督/脚本 : ロイ・アンダーソン
プロデューサー : ペルニラ・サンドストレーム
撮影監督 : イストヴァン・ボルバース、ゲルゲリー・パーロス
編集 : アレクサンドラ・ストラウス
キャスト:ニルス・ヴェストブローン、ホーゲル・アンダション
100分/スウェーデン語/Color/2014年/スウェーデン=ノルウェー=フランス=ドイツ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=145
ワールド・フォーカス
『わかってもらえない』
© Angelo Turetta
9歳の少女アリアは、ピアニストの母と俳優の父を持ち、3人姉妹の次女。激しいケンカが絶えない両親はついに離婚。長女は父親、三女は母親に付くが、次女のアリアはどっち付かずの存在となり、バッグと黒猫を抱え、母と父のもとを往復するはめになる。芸術家の両親に翻弄される少女のポートレートであることから、映画監督と女優を両親にもつアーシア・アルジェント監督の自伝的内容であると想像しがちであるが、自分の体験からインスパイアされたことはあるとしても、自伝的ではないと本人は語っている。「子供時代に、他人から、そして特に親から理解されていないと感じたことがない子供などいるだろうか? 自分もそう感じていた」という、その感情をそのままいかしたのが本作である。80年代のルックを巧みに再現し、多感で孤独な少女の物語を、ステレオタイプの展開を避けながら爽やかな後味を残す出来栄えに仕上げた、アーシアの監督としての力量が証明された秀作。
監督/脚本 : アーシア・アルジェント
脚本 : バルバラ・アルベルティ
エグゼクティブ・プロデューサー : グイド・デ・ラウレンティス
プロデューサー : ロレンツォ・ミエーリ、エリック・ユーマン
撮影監督 : ニコラ・ペコリーニ
編集 : フィリッポ・バルビエーリ
衣装 : ニコレッタ・エルコレ
美術 : エウジェニア・F・ディ・ナポリ
音響ミキサー : トゥリオ・モルガンティ
キャスト:シャルロット・ゲンズブール、ジュリア・サレルノ、ガブリエル・ガルコ、カロリーナ・ポッチョーニ、アンナ・ルー・カストルディ
103分/イタリア語/Color/2014年/イタリア=フランス
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=143
ワールド・フォーカス
『ハングリー・ハーツ』
c HARDSTYLE LLC
ニューヨークの中華料理店のトイレで出会ったふたりが、意気投合し、結婚。子供も産まれ、幸せな日々が待っているはずだったが、独自の育て方にこだわる妻の行動が徐々にエスカレートしていく…。『素数たちの孤独』(10/TIFF10出品)で天才の片鱗を見せたサヴェリオ・コスタンツォ監督が、愛情とオブセッションの間の境界線をサスペンスフルに描く傑作。ニューヨーク、妊娠、妻の狂気、といった内容が『ローズマリーの赤ちゃん』や『こわれゆく女』といった傑作を想起させる。ユーモアたっぷりの親密な空気が溢れる序盤から、徐々にトーンを変えていく作風は先が読めず、世界から孤立したように夫婦を切り取るカメラワークが独自の世界を作り上げた。前作に続きヒロインに起用されたアルバ・ロルヴァケルが迫真の演技を見せ、家族を繋ぎとめようと必死に奔走する夫役のアダム・ドライバーとともに、見事ヴェネチア映画祭の主演女優と男優賞をダブル受賞した。
監督/脚本 : サヴェリオ・コスタンツォ
プロデューサー : マリオ・ジャナーニ、ロレンツォ・ミエーリ
エグゼクティブ・プロデューサー : ルイス・ティズネ、リッカルド・ネーリ、オリヴィア・スレイター、クリス・マーシュ
撮影監督 : ファビオ・チャンケッティ
美術 : エイミー・ウィリアムズ
編集 : フランチェスカ・カルヴェッリ
音楽 : ニコラ・ピオヴァーニ
原作 : マルコ・フランツォーゾ
キャスト:アダム・ドライバー、アルバ・ロルヴァケル、ロベルタ・マックスウェル
109分/英語/Color/2014年/イタリア
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=141
ワールド・フォーカス
『フリー・フォール』
© Kamias Overground/ Rapid Eye Movies
老いた夫にお茶を勧め、自分はアパートの屋上にあがってブダペストのダークな夜景を見渡す老女。突然飛び降りると、彼女の落下に沿って各階の様子が一瞬映される。映画はこの後、アパートの各階の部屋で行われている様子を描いていくが、SF調であったり、テレビのソープコメディ調であったりと、それぞれスタイルを全く変えながら、奇天烈なエピソードの数々が語られていく。潔癖症がエスカレートしているカップルや、カルト的な集団の様子など、現代の病をそれぞれ戯画化したものだと一応言うことはできるものの、すべてをそれでくくることはできず、実際のところの解釈は観客に完全に委ねられている。深読みするもよし、奇想天外なイマジネーションと圧倒的な個性を単純に楽しむのもよし。まさに作品ごとに世界を驚かすパールフィ・ジョルジの魅力が全開で発揮された怪作にして快作である。ハンガリーが世界に誇る鬼才であるパールフィは、本作でカルロヴィ・ヴァリ映画祭の監督賞を受賞している。
監督/脚本 : パールフィ・ジョルジ
脚本 : ルットカイ・ジョーフィア
撮影監督 : ポハールノク・ゲルゲイ
音楽 : アモン・トビン
編集 : レムヘーニ・レーカ
美術 : タマーシ・タマーシュ
衣装 : サコシュ・クリスタ
プロデューサー : プスタイ・フェレンツ
キャスト:モルナール・ピロシュカ、ベネデク・ミクローシュ、ヨルダーン・タマーシュ、ヤンコヴィッチ・クリスタ、ゲラ・マリナ、ゴストニ・チャバ
83分/ハンガリー語/Color/2014年/ハンガリー=フランス=韓国
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=139
ワールド・フォーカス
『フラワーズ』
© IRUSOIN - MORIARTI PRODUKZIOAK
人妻であるアネのところに、差出人不明の花束が毎週届くようになる。アネは心当たりがないが、夫は疑念を持つ。アネが勤務する建設現場では、大型クレーンの上からベニャトが地上を双眼鏡で観察している。ベニャトの妻ルルデスは、義母のテレから子供ができないことで嫌味を言われ続けて、我慢の限界に達している。花束を巡る謎を軸に、アネとルルデスとテレの3人の女性の物語が交差していく。ヒッチコックとケシェロフスキの中間を狙おうとしたと監督たちが言うように、アート系の雰囲気のなかにサスペンスを含んだ物語が二転三転の展開を見せ、やがて感動的なエンディングへと結実していく。伏線の張り方も実に巧みであり、ストーリーテリングの妙をたっぷりと味わせてくれる、極めて秀逸な脚本を持つヒューマンドラマである。長編デビュー作が世界100か国の映画祭を回った実績を持つ共同監督の2作目であり、サンセバスチャンのコンペティションに出品された。
監督/脚本 : パールフィ・ジョルジ
脚本 : ルットカイ・ジョーフィア
撮影監督 : ポハールノク・ゲルゲイ
音楽 : アモン・トビン
編集 : レムヘーニ・レーカ
美術 : タマーシ・タマーシュ
衣装 : サコシュ・クリスタ
プロデューサー : プスタイ・フェレンツ
キャスト:モルナール・ピロシュカ、ベネデク・ミクローシュ、ヨルダーン・タマーシュ、ヤンコヴィッチ・クリスタ、ゲラ・マリナ、ゴストニ・チャバ
99分/バスク語/Color/2014年/スペイン
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=135
ワールド・フォーカス
『リアリティ』
キャメラマンが、プロデューサーにホラー映画の企画を売り込む。プロデューサーは映画化を認めるが、ある条件を付ける。一方、父と猟に出かけた少女は、射止めた猪の腹から出てきた意外なものが気になって仕方がない。そしてテレビの料理番組の司会を務めるタレントは、全身が痒くてたまらない…。奇抜なストーリーが互いに絡み合い、予想不能な展開が悪夢のように連なっていくブラック・コメディ。D・リンチ的不条理の世界ではあるが、高尚なアートには向かわず、B級のテイストを一流の役者を用いてメジャー的に実現しようとするアクロバティックで超個性的な作品である。エレクトロニック・ミュージシャンでもあるデュピュー監督はこれまでも人を食ったような作品を発表してきたが(2本目の長編『ラバー』の主役は殺人するタイヤであり、4本目の“Wrong Cops”は下品な警察官が下品の限りを尽くす)、本作でついに「本格B級」の旗手に躍り出た。フランス映画界の新たな異端児に大注目!
監督/脚本/撮影監督/編集 : カンタン・デュピュー
プロデューサー : グレゴリー・ベルナール、ディアンヌ・ジャセム
美術/衣装 : ジョアン・ル・ボリュ
音楽 : フィリップ・グラス
キャスト:アラン・シャバ、エロディ・ブシェーズ、ジョナサン・ランベール、ジョン・エデール、ジョン・グローバー、エリック・ウェアハイム、カイラ・ケネディー
87分/フランス語、英語/Color/2014年/フランス=ベルギー
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=149
ワールド・フォーカス
『シーズ・ファニー・ザット・ウェイ』
新進のハリウッドスターが、記者からインタビューを受けている。高級コールガールを商売にしていたことを恥ずかしげもなく振り返り、そこから彼女のキャリアのきっかけを作った舞台演出家を巡る爆笑の物語が語られていく…。本格的な劇場用長編としては『ブロンドと棺の謎』(01)以来、およそ13年ぶりとなるピーター・ボグダノヴィッチによる新作は、往年のスクリューボール・コメディにオマージュを捧げた文句なく楽しい傑作である。当人たちの意図せぬところで繋がっていく人間関係が笑いを誘う脚本が秀逸であり、転がるように進行する物語を淀みなく流れに乗せ、90分にまとめるボグダノヴィッチの熟練の技が冴えて素晴らしい。これぞ洗練の極みであり、ボグダノヴィッチ75歳にして新たな黄金期の到来を期待させてしまうほどである。オーウェン・ウィルソンやイモージェン・プーツ、脇を固めるジェニファー・アニストンやリス・エヴァンスなどのキャスティングも完璧。映画への愛が溢れ出る必見の1作である。
監督/脚本 : ピーター・ボグダノヴィッチ
脚本/プロデューサー : ルイーズ・ストラットン
プロデューサー : ノア・バームバック、ウェス・アンダーソン、ジョージ・ドレイコリアス
音楽 : エドワード・シェアマー
撮影監督 : ヤーロン・オーバック
編集 : ニック・ムーア、パックス・ワッセルマン
キャスト:オーウェン・ウィルソン、キャスリン・ハーン、イモージェン・プーツ、ジェニファー・アニストン、ウィル・フォーテ、リス・エヴァンス
93分/英語/Color/2014年/アメリカ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=151
ワールド・フォーカス
『ヴォイス・オーヴァー』
30代の姉妹、ソフィアとアナ。シングルマザーのソフィアは、子供たちにベジタリアンを強いていることが親戚の不評を買っている。アナは海外留学から帰国し、住む家を探している。互いに独立しているふたりだったが、父が離婚を考えていることを知り、再び家族としての関係に戻っていく…。チリ南部の小都市バルディビアを舞台に、美しい光の中で繊細に描かれる家族の物語。日常的な家族の風景の中に、父の秘密をはじめとして、少しずつ非日常的な要素が絡んでくる展開の見せ方が巧みで、等身大の家族の物語として観客の感情移入を誘う。父への反応を巡り、家族間のコミュニケーションの難しさを描き、ソフィアとアナの新たな出発の物語へと繋げていく展開は鮮やかである。『見まちがう人たち』(09/TIFFコンペ出品)で才能の片鱗を見せ、『Bonsai~盆栽』(11)がカンヌに招待されたヒメネス監督が実力を発揮した本作は、サンセバスチャン映画祭のコンペ部門に出品されている。
監督/脚本/プロデューサー : クリスチャン・ヒメネス
脚本 : ダニエル・カストロ
撮影監督 : インティ・ブリオネス
編集 : ソレダード・サルファテ
音響 : クリスチャン・フロイント
音楽 : アダム・バイト
美術 : オリヴィエ・ラベルジュ
エグゼクティブ・プロデューサー/プロデューサー : アウグスト・マッテ
プロデューサー : ナディア・テュランセヴ
プロデューサー : ジュリー・ガイエ
プロデューサー : ニコラ・コモー
キャスト:イングリッド・イセンセ、マリア・シーバルド、パウリーナ・ガルシア、ニールス・シュナイダー
100分/スペイン語/Color/2014年/チリ=フランス=カナダ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=155
ワールド・フォーカス
『共犯』
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通学途中で3人の男子高校生、ホアン、リン、イエは、同じ高校の女子生徒シアが変死しているのを見つける。彼らはそれぞれの理由から、彼女の死の真相を突き止めようと調査をはじめる。シャーは秘密の日記をつけていたらしく、すべてのことがそこに書かれている可能性が高い。日記が見つかれば真相が解明されるはずと考えた3人は、日記を探しにシャーの部屋に忍び込む。ここから事態は予期せぬ方向に…。チャン・ロンジー監督は、ドキュメンタリー『僕のフットボールの夏』(TIFF06出品)でデビューののち、視覚障害を持つ天才ピアニストを主人公に据えたハートフルで音楽に溢れた『光にふれる』(TIFF12出品)で注目されたが、劇映画2作目となる本作では、高校生が主人公のサスペンスものという新たなジャンルに挑戦している。台北映画祭オープニング作品。
監督 : チャン・ロンジー
エグゼクティブ・プロデューサー : チェン・ホンユエン、ジャッキー・パン
撮影監督 : ジミー・ユィ
編集 : ニュッサ・リー
音楽 : ウェン・ツーチエ
原作/脚本 : ウー・ヌーヌー&シア・ペイアル
美術 : ウー・ルオユン
キャスト:ウー・チエンホー、トン・ユィカイ、チェン・カイユアン、ヤオ・アイニン、サニー・ホン、ウェン・チェンリン
88分/北京語/Color/2014年/台湾
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=123
ワールド・フォーカス
『セルフ・メイド』
© WestEnd Films
エルサレムに住むイスラエル人の美術家のミハルは、壊れたベッドを直そうと悪戦苦闘。なかなかうまくいかないイライラを家具店に電話でぶつける。その店で働くパレスチナ人のナディーンは、不良部品の責任を取らされて解雇されてしまう。この出来事ののち、イスラエル=パレスチナの境界のチェックポイントでふたりの人生は再びクロスすることになる。警備兵のミスで、ミハルはパレスチナ側のナディーンの家へ、そしてナディーンはエルサレム側のミハルの家へ行く羽目になってしまう。彼女らは正反対の立場に立つことになるが…。女性監督シーラ・ゲフェンは詩人・劇作家としても知られ、夫でやはり人気作家のエトガー・ケレットと共同監督した『ジェリーフィッシュ』(07)は、カンヌ映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞、日本でも公開された。本作もカンヌ映画祭「ある視点」部門に出品されている。
監督 : シーラ・ゲフェン
プロデューサー : ダヴィッド・マンディル、モシェ・エドリ、レオン・エドリ
撮影監督 : ズィヴ・ベルコヴィッチ
編集 : ニリ・フェラー
美術 : アラッド・サワット
音楽 : アミット・ポズナンスキー
音響デザイナー : アレックス・クロード、ダニエル・メール
キャスト:サラ・アドラー、サミラ・サラヤ、ドレッド・リダウィ、ナアム・ショハム、ザイード・バクリ
89分/ヘブライ語、アラビア語/Color/2014年/イスラエル
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=125
CROSSCUT ASIA #01 魅惑のタイ
『36のシーン』
© Very Sad Pictures
ロケーション・ハンティング係の女性と美術担当の男性――映画スタッフの男女の恋の行方が、ワンシーン・ワンショットによる36の場面で綴られる、新感覚のインディーズ作品。大量のツイートが画面に溢れる『マリー・イズ・ハッピー』(TIFF13出品)で話題を呼んだナワポン監督の長編デビュー作。
スタッフ プロデューサー/監督/脚本 : ナワポン・タムロンラタナリット
共同製作 : アーティット・アッサラット
共同製作 : ソーロス・スクム
アシスタント・プロデューサー : パッチャリン・スラワッタナーポン
助監督/プロダクション・マネージャー : プアンソーイ・アクソンサワーン
撮影監督 : パイラット・クムワン
編集/音響デザイナー : チョンラシット・ウッパニックキット
音響デザイナー/録音 : ソラヨット・プラパーパン
衣装 : ルジラムパイ・モンコン
作曲 : ウィティポン・リトラクーン
美術監督 : ラーシケート・スックカーン
美術監督 : イッティサック・トリーサガー
キャスト:コラミット・ワッチャラサティアン、ワンロット・ルンカムジャット
68分/タイ語/Color/2012年/タイ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=173
庵野秀明の世界
『監督他・庵野秀明(短編)』
『夢幻戦士ヴァリス CM/PV』 © SUNSOFT
※無料上映
上映作品
ビクター ハイパー・ロボットコンポ CM(1987)CM
夢幻戦士ヴァリス CM/PV(1987)CM/プロモーションアニメーション
アニメショップ 「パロディ」 CM/BATTLE MODE PV(1990)CM/プロモーションアニメーション
『炎の転校生』 特報(1991)オリジナルレーザーディスクアニメーション特報
LD Box 『ふしぎの海のナディア パーフェクトコレクション』 PV(1991)プロモーションアニメーション
コイシイヒト 松たか子 PV(2001)PV
流星課長(2002)ショートビデオ
アニメ店長 PV(2002)イベント用プロモーションアニメーション
空想の機械達の中の破壊の発明(2002)三鷹の森ジブリ美術館展示用短編映像
映画『恋の門』劇中アニメ 『不可思議実験体ギバレンガー』 オープニング映像(2004)
シュガシュガルーン オープニング/エンディング/新エンディング(2005)
『監督失格』 特報(2011) 劇場用実写映画特報
館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(2012)展覧会用CM
庵野秀明監修:円谷プロ作品 特撮映像集(2012)展示用映像
巨神兵東京に現わる 劇場版(2012)劇場用短編実写映画
追加上映
『キューティーハニー』 プレゼン用パイロット(2001)
『まほろまてぃっく』 オープニング(2001)
『空想の機械達の中の破壊の発明』 初稿画コンテ撮(2002)
『Re:キューティーハニー』 オープニング(2004)
『スカイ・クロラ』予告編祭り 庵野秀明監督バージョン(2008)
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=205
庵野秀明の世界
『アマチュア・庵野秀明』
浪人時代の庵野が監督・作画したペーパーアニメ。バイトで貯めた貯金で上京した際にPAF(プライベートアニメーションフェスティバル)のはらひろしのペーパーアニメ作品に衝撃を受け、アニメはセルで描くものという固定観念を捨て去り、紙にマジックを使って作画する手法で、79年夏と80年早春に2作品を制作した。作画枚数を気にすることなく実線だけで自在に描かれた映像は、庵野の作画作品の出発点と言える。「空中換装」は、「みず」を制作した際、余ったフィルムの端尺を有効活用すべく遊びで作ったもの。切り取った写真とセル画の単純なコマ撮りだが、放電エフェクトと記号化されたガンダムが庵野らしい。
※無料上映
上映作品
ことわざ辞典 へたな鉄砲も数うちゃあたる!(1979)
みず(1980)
空中換装(1980)
ウルトラマン(2014年オリジナル再現版)(1980)
バス停にて…(2014年再現版)(1980)
じょうぶなタイヤ! SHADOタイヤ(1980)
帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令(1983)
追加上映
宇部高美術部作品集(2005年再現版)(1978)
レーゾー庫を開けたら戦車がとび出した!!(2014年新撮版)(1980)
TEA TIME(2014年再現版)(1981)
パワードスーツ! 装甲強化服(1981)
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=175
庵野秀明の世界
『アニメーター・庵野秀明』
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』© BANDAI VISUAL/GAINAX
※無料上映
上映作品
超時空要塞マクロス(1982)抜粋
風の谷のナウシカ(1984)抜粋
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(1984)抜粋
王立宇宙軍 パイロットフィルム(~リイクニの翼~ 製作発表時映像)(1985)
メガゾーン23(1985)抜粋
王立宇宙軍 オネアミスの翼(1987)抜粋
メタルスキンパニック MADOX-01(1987)抜粋
火垂るの墓(1988)抜粋
江口寿史のなんとかなるでショ!(1990)抜粋
ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日(1992)抜粋
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=177
第27回東京国際映画祭
2014年10月23日(木)~10月31日(金)
会場: 六本木ヒルズ(港区)ほか
公式HP: http://2014.tiff-jp.net/